海外交流の窓口
アジアへの玄関口といわれる九州。その中にあって、とりわけ対馬は韓国との国境の島として長い歴史を持つ。古くは朝鮮通信使を受け入れ、晴れた日には朝鮮半島が遠望でき、本土よりも韓国のほうが近いというのはよく知られた話。現在も島には多くの韓国人観光客が訪れている。そんな島のもうひとつの特徴が釣り。対馬暖流に恵まれた漁業の要衝でもあるこの島は、南北に長く、大きさは五島列島に匹敵する。上対馬と下対馬に分かれ、両島は橋でつながり地続きとなっている。
オススメはエギング
島で楽しめる釣りは、磯釣り、沖釣り、投げ釣りなど枚挙に暇がない。豊かな自然が今も息づく対馬で、島を縁取るリアス式海岸とそこに形作られる大小の入江は、波穏やかなゆりかごとなって多くの魚を育む。
そんなリアス式海岸をドライブがてら釣って楽しむのであれば、まずはアオリイカのエギングがおすすめだ。釣り人の間では、対馬のアオリイカは「ウブ」であるとか「スレていない」と形容される。
エギングとドライブの相性がよいのは、この釣りの特性による。漁港や岸壁、小磯を自分の足で探り歩き、一通りチェックし終えたら別の釣り場へと移動。つまり「走って、釣って、また走る」のである。いわゆる「ラン&ガン」の釣りで、対馬にはこうした釣りに適したポイントが1日では回りきれないほどある。だからこそ、対馬の釣りは数日の滞在がぜひおすすめだ。
エギングでは餌木と呼ばれる漁具由来のルアーを使う。使用するロッドも入門者にも扱いやすい。ロッドとリール、ラインに数本の餌木があればすぐに釣りができるため、道具立てもシンプルで旅との相性もよいのだ。釣り方の基本は、餌木を投げたあと、底に着くまで待ち、着底したらサオをシャクって躍動的に餌木を動かし、一転、静かに沈めてアタリを待つ。多くの場合、シャクったあとに餌木が沈む間にアタリがある。特に春は大型のアオリイカがねらえる時期。気軽に釣ったにもかかわらず、大型とされる2kg、さらには3kg級も夢ではない。それが対馬なのだ。
クロダイやヒラマサにチャレンジ
クロダイ、マダイ、イシダイ、メジナ、ヒラマサ、シロギスなど、対馬にはそれぞれの魚種を目当てに、ほかにも多くの太公望が来島する。特にクロダイは釣り人の夢とされる60cmオーバーの実績も多い。エギング同様、地続きの漁港や岸壁からねらえるのも魅力で、アクティブなエギングとは対照的にクロダイの釣りはじっくりと腰を据えてねらう。のどかな対馬の漁港で、独り、あるいは気心知れた仲間と静かに闘志を燃やすのは、よい思い出となる。
また、力強い魚を船に乗って沖釣りでねらうのも楽しい。暖流がぶつかる対馬の沖は、ヒラマサ、ブリ、マグロなど大型魚の漁場としても有名。特に春は大型ヒラマサの産卵期で、1mオーバー、10kgの釣果が聞かれる季節。エサ釣りとルアーフィッシングの両方でねらえるが、より気軽にチャレンジできるのはルアー。遊漁船によってはレンタルタックルもある。
古代からの時間を偲ぶ
3世紀の魏志倭人伝には「(韓国から)はじめて一海を渡り、千余里にして対馬国に至る。……居る所は絶島にして、森林多く、道路は鳥と獣の小道のごとし。千余戸あるも、良田なく、海物を食らいて自活し……」と記述されている。
現在は道路も多く整備されている対馬だが、島内は今も山また山であり、漁港では昔ながらの漁法で魚をねらう漁師に出会うことも。風光明媚な自然と人情味豊かな島は、日本の原風景に触れられる旅先でもある。
この釣り場へのアクセス
福岡空港から対馬空港へ。空港からはレンタカーが便利。
釣り場情報
〈対馬/アオリイカ、クロダイ、ヒラマサ〉
シーズン | 春がおすすめ |
問合先 | 梅乃家(民宿・瀬渡し船・遊漁船/対馬市。http://www.q.turi.ne.jp/umenoya/) |
- 釣り場情報は2015年5月現在のものです。