CSR
2017年1月16日
フライト中、手つかずだった機内食の行方

ANAの国際線でお客様にご提供している機内食。路線や時間帯によってお食事の内容はさまざまですが、フライト中にお客様にご提供することなく、手つかずとなった機内食の到着後の行方をご存知でしょうか。

機内に搭載する機内食の数は、ご予約いただいたお客様の人数に応じて出発の数十分前に決まります。その後に予約の取り消しがあっても、基本的には数を減らすことはなく、余剰分のお食事は到着後には廃棄することとなります。

今回は、様々な理由で余剰となって到着した機内食が、何か役に立つ道はないか?という思いから、ANAシンガポール支店/空港所 アジア・オセアニア室が取り組んだプロジェクトをご紹介します。

シンガポールには、廃棄される運命にある食品を引き取り、食べ物を必要としている施設や人に届ける活動を行っているFood BANKというNPOがあります。2016年6月、ANAはFood BANKと協力し、余剰分の機内食を寄付することを決めました。

しかし「寄付する」ためには「寄付できる食品の2つのルール」が大きな壁でした。

第一に、食品が集められてから、必要としている人たちにお届けするまで長期間保存が可能か、というもの。ANAの機内食を担当する、株式会社ANAケータリングサービスと様々な検討をした結果、ANA843便(羽田―シンガポール)のエコノミークラスで提供されている、「スナックバッグ」が条件にあてはまることが判明。
数日間検証すると、1便あたり5個程度が未使用のまま廃棄されていました。今までどれだけもったいないことをしていたかがわかります。

第二に、「日本から国際線で到着した機内食がシンガポール国内で寄付できるのか」という点。シンガポールのSATS株式会社(ケータリング)、AVA(農食品・獣医庁)とも調整を重ねた結果、いくつかのルールの下で寄付の許可をいただくことができました。

そして2016年10月17日、国を超えたチームワークで運用を開始。フライト中に未使用だったスナックバッグを到着時にCAがまとめ、SATS株式会社が収集・保管、Food BANKが月に一度、回収・寄付をすることとなりました。

1回目の回収までの23日間で、168個も集まり、1日あたり7~8個という計算に。集まったスナックバッグを前に、「たくさんの食料が、日々未使用のまま廃棄されてしまっていることを改めて感じた」、と担当者は語ります。

回収したスナックバッグは今後Food BANKによってさまざまな所に届けられます。
今回はFood BANKのスタッフとともに、シンガポール中東部のアルジュニードという地域に行き、Bethel Community Servicesの学童保育所にお届けしました。
運ばれてきた大量のスナックに、子供たちも大喜び。その光景に、担当者は胸が熱くなったそうです。

「何も行動を起こさなければ無駄になって廃棄されてしまっていたスナックが、子供たちの手元へと届き、キラキラした笑顔につながっている。そんな瞬間を目の当たりにし、とても喜ばしく感じました。」

今はシンガポールだけで実施しているこの活動ですが、日本や他の国々でも実現できるかもしれません。世界をつなぐこころの翼として、国内外各地でANAグループならではの活動を続けてまいります。