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ANA Professionals 青い翼にかけた想い 責任と重圧が訓練の重さになるパイロットという日常 あこがれだけではなれない、努力の仕事 子供たちにとってのあこがれの職業といって過言ではないだろう。狭き門であるがゆえに、印象としては“雲の上の存在”なのかもしれない。しかし当人にとっては、日々繰り返される“毎日の仕事”である。そこにあったのは特別な才能というより、努力のストーリーであった。

ANA Professionals #05 小林 正樹 ボーイング747-400 機長

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パイロットへの道のりは入社後に険しさを増す

「飛行機へのあこがれ…はなんとなくあったんでしょうね。ただ私の場合は、他業界より早く試験が始まるのもあって志望しました。正直、選ばれるとは思っていませんでしたね」ANAで、ボーイング747-400の機長を務める小林正樹に、パイロットになった経緯を尋ねて出てきた話。そしてすんなりと道が開けた…わけではない。ここからがスタートラインだったのだ。「英語の研修、基礎訓練と学科試験の後、カリフォルニアのベーカーズフィールドで飛行訓練と実技試験。帰国後も訓練と試験が続き、入社して6年経過して、ようやく飛行機を操縦できる立場になりました」だが実に、この時点ですでに数名の候補生が脱落しているのだ。

たたき込まれる基礎と経験から生まれる練度

訓練を経ても、やっと“あこがれのパイロットに”という雰囲気でもなかったという。副操縦士時代の思い出を訪ねると、ほろ苦いものもあった。「昔は失敗もありました。たとえば機内アナウンス。間違えないようにとか、安心感を持っていただくために低い声で話すとか、コツがあるんです。新人副操縦士時代、アナウンスした後に機長から褒めてもらったんですが、どうやらお客様向けのチャンネルではなく、地上スタッフ向けのスイッチに入っていたようで…。言い直すのが気恥ずかしかったですね」基礎は徹底的にたたき込まれているとはいえ、経験のなかで自然と仕事が身につくのは当然のこと。「自信が付いたのは、副操縦士として2年目。春は春一番、梅雨は雨、秋は台風で冬は雪。1周目に体で覚えて、2周目で知識が定着しますから」
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機体に惚れ、曖昧を廃し、連携を密に。パイロットの仕事術

副操縦士を経て、今や機長になった小林の一日は、飛行機に合わせて決まる。“愛機”は747-400。2014年3月に退役を迎えるジャンボ機だ。「やっぱり寂しいですよ。訓練時代に『いつかは…』とあこがれもありましたから」気も引き締まるというが、仕事のうえでなにより大切なことは「その意気込みを常に維持すること」。「今朝は7:45羽田発沖縄行きの便でしたので、業務開始は6:35。出発の約1時間前に、カウンターで出社報告と残留アルコールの呼気チェックを行い、チャートと呼ばれる航空図や気象図、スケジュールを確認し、伝達事項を頭に入れます。フライトで大事なことは、曖昧さを排除するということです。地上スタッフやほかのパイロットと連携して、操縦のための“足がかり”をいかに用意できるかが、安全につながると思います」パイロットであっても、チームで空の安全を保証するのだ。それを端的に著すエピソードがある。冒頭の採用の話には、続きがあるのだ。
「——私の同期は120人いるんです。先日退職した採用担当キャプテンに聞いたんですが、採用時に『“いかにもパイロット”ばかりを取るのはやめよう』と。120人もいれば立派なコミュニティ。バラエティ豊かな人材を揃えたんだそうです。パイロットといえば、頭脳明晰でスポーツ万能というイメージがあるかもしれませんが、私ものんびりした方ですから」だからこそ組織が活性化し多様性が生まれる。この柔軟性も、堅固な安全性にまた一役買うのである。 ボーイング747-400機長 小林 正樹

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