出張時に手放せない、キャリーバッグ。大荷物でも手持ちのカバンとは比にならないほど力はいらず、重宝している人も多いだろう。そんなキャリーバッグをつくっている会社のひとつ、スワニーをご存知だろうか。実はこのスワニーのキャリーバッグは中高年者に対して絶大な支持を誇っている。市場全体での認知は正直なところまだまだではあるが、スワニーには毎月利用者から何通ものはがきが届く。CMなどのマス媒体に対してはほとんど投資をしていないのだが、この不況下においても販売は増え続け、届くはがきも増える一方だ。1度購入した利用者を熱烈なファンに変えるキャリーバッグ。人気の秘密は、「引く」ではなく「押す」という全く新しい発想だった。

もともとは本社所在地である、香川県東かがわ市名産の手袋を製造するメーカーとして1937年に創業を始めたスワニー。創業者である三好冨夫氏は、日本手袋工業組合長を務めるなど、業界内においても重要な役割を担っていた。一方バッグの事業部が発足したのは1994年と、会社の歴史としては実はまだ浅い。では手袋業界で名の知れたスワニーが何故バッグを作り出したのか。その発端は2代目社長でありこれまで同社キャリーバッグ開発の最前線として走り続けて来た現会長、三好鋭郎氏によるものだった。