暗いところで写真を撮る時、ストロボを使用する。被写体には光が反射し、奥行きのない写真が仕上がってしまう。逆に、ストロボが発光しないモードで写真を撮る。すると、今度は手ブレにより、画像がボケてしまう。このようなジレンマは、少し写真に興味がある人であれば誰もが感じたことがあるだろう。しかし、この問題はPowerShot Sシリーズの登場によって、大きく進化の一歩を踏み出すこととなる。そのきっかけになったのはなんと、社内で行われていた食事の場。同社幹部が口にした「居酒屋のような薄暗い室内でも、ストロボを使わずに手ブレなく撮れるカメラをつくれ」という一言から始まったのだという。

コンパクトデジタルカメラ随一の明るさを持つレンズ、進化した映像エンジンDIGICシリーズ・・・。キヤノンの技術の結晶がふんだんに詰め込まれたPowerShot Sシリーズが可能にした撮影品質。今回は、キヤノンのコンパクトデジタルカメラのハイエンドに位置づけされるPowerShot Sシリーズと、その開発に携わる人達の思いや開発にまつわるストーリーを紹介したい。