私たちのDNAに息づく、モノづくりの心。類まれなる繊細な美的感覚や、コツコツ磨き上げる勤勉性、魂が宿るほどに想いを注ぎ込む、心の熱量。日本だからこそ生まれ、育まれてきた文化がある。そして、その文化を技術に変えることで、この国はモノづくり大国と称されるようになった。

今、日本のモノづくりは、踊り場にさしかかっているのかもしれない。しかし、大局的に見れば、永きに渡る進化の歴史の、いち過程にすぎないとも言える。 たかが10年や20年の事実を切り取って、結論を出すのは時期尚早ではないか。なぜならば、この国にはここ数年で、急速に進化を遂げてきた最先端の技術もあれば、1000年以上、同じ製造技法で磨かれ続けてきた伝統技術もある。形は違えど、どちらにも同じDNAが宿っているのだ。

日本のモノづくりは、決して息絶えてはいない。これまでも、これからも、確かにつながっていくはずだ。そんな期待をふつふつと感じさせてくれる、ある2つのモノづくりを紹介したい。