Message2022/10/1更新

社長メッセージ 「新・翼の王国創刊!」

「翼の王国10月号より」

いつもANA便をご利用いただき誠にありがとうございます。

さて、お蔭様でANAは今年の12月に創業70周年を迎えます。70年前、ANAの前身「日本ヘリコプター輸送株式会社」は、日本初の純民間航空会社として事業をスタートしました。第2次世界大戦終結後、日本の民間会社による航空機の運航は全面的に禁止されていたため、日本の定期航空事業は長らく壊滅状態にありました。 私たちの先輩方は、民間による定期航空事業の再興を期して、運航禁止解除のわずか2年後に会社を設立しました。

創業当初は2機のヘリコプターから始まった小さな企業でしたが、社員28名の志は高く、 「高潔な企業」 「権威に屈することのない、主体性を持つ企業」 「独立独歩できる企業」という確固たる理念のもと、 「いつか世界の大空に羽ばたく」という大きな夢を抱き、ゼロからの挑戦を成し遂げてきました。

資金力がなかったため、旅客機よりも安価なヘリコプターで事業を開始し、郵便の速達便輸送、広告ビラまき、農薬散布など何でも請いました。今では当たり前となったヘリコプターでの人命救助やマスコミ取材、山間輸送などのビジネスモデルも創出し、戦後日本に新しい価値を提供してきました。

私たちの先輩方の足跡を辿ると、彼らは現代で言うところの“ベンチャー企業”だったことがわかります。ANAの原点はベンチャー、すなわち「挑戦」でした。

ANAが現在に至るまで、3つの会社が合併してきたことはあまり知られていません。その合併の過程で、豊かな個性がぶつかり合いながらも互いを尊重し合い、挑戦を恐れない「野武士集団」と言われた独特の企業文化が形成されました。今でいう「DEI(※)」を尊重する風土が絶対的価値となっており、これが今後の競争環境を生き残る上で大きな強みになると期待しています。

  • DEI:Diversity, Equity and Inclusion(多様性/公正性/共生と受容)

ベンチャー企業としてスタートしたANAグループは、現在まで先輩方のDNAを継承し、一貫して「挑戦の歴史」を刻んできました。過去に幾度も逆風に見舞われて、記憶に新しいところでは米国同時多発テロやリーマンショックが挙げられますが、こういった未曽有の困難にも常に真正面から立ち向かい、困難を乗り越えただけでなく、宿願の国際線黒字化や復配を成し遂げるという功績を残してきました。

これらの成功は、当時の戦略が時代のニーズにマッチしていたからだという見方もあります。もちろんそれも間違いではないと思いますが、私はそれだけではなかったと感じています。経済学者のP.F. ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る(Corporate culture eatsstrategy for breakfast) 」つまり「企業発展の原動力は、戦略以上に企業文化」だとしています。まさにANAの企業文化(DNA)が、その功績を可能にしたと感じる場面を私自身いくつも体験しました。

70年の歴史が綿々と紡ぎ上げてきたこの企業文化を、さらに次の世代へ受け継いでいくためにも、ANAの創業70周年を機にベンチャー魂を持った創業時の想いに立ち返り、グループ社員一人ひとりがもう一度大きな志や夢を掲げ、心の底に秘めたパッションに火を灯し、自ら進んで役割を果たしていく集団へと進化していきたいと思います。

初代社長の美土路昌一氏は「現在窮乏、将来有望」という言葉を遺しました。どんな苦境に遭遇しても、明るい未来を信じて努力すれば、やがて必ず繁栄のときが来ると、創業当時の若い社員を鼓舞したそうです。創業70周年の今、ANAはまさに当時と似た環境にあります。美土路社長がいたら、 「令和の野武士集団たれ」 「Back to the venture spirit!」と言ったことでしょう。

今、皆さまにご覧いただいている「翼の王国」は62年の長い歴史を経て、読み物としての機内誌からANAの文化を発信するメディアへと進化を遂げました。70周年を機に、今月から翼の王国を「ANAとお客様を“つなぐ”メディア」と位置付け、コンテンツを一新することとしました。これからも、お客様に愛され選ばれ続けるANAグループの文化を、この「新 ・ 翼の王国」を通じてお客様とともに磨き上げる場にしてまいります。

お客様なくして事業の発展はありません。お気づきの点がございましたら、どうぞお声をお寄せください。ANAグループはこれからもお客様のお声を糧に、80周年、100周年に向かって努力して参ります。

引き続きANAグループに一層のご愛顧を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

全日本空輸株式会社
代表取締役社長
井上慎一

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