AIと人権に関する有識者との対話

2024年度の主な活動

AIと人権に関する有識者との対話

2024年5月29日に、AIに関する有識者との対話を実施しました。AIでも人権の観点を取り入れた活用とガバナンスについて、グローバルの最新動向やどのように人権尊重への取り組みを進めていくべきか等ご意見をいただきました。

テーマ:「AIと人権」に基づくAIの活用・ガバナンスについて

日時:2024年5月29日(水)15:00~17:00

有識者

  • Daniel Neale, Responsible Investment-Social Themes Lead- at Church of Commissioners for England
  • Rishi Sher Singh, 経済人コー円卓会議日本委員会アドバイザー

全体コーディネート
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛氏(事務局長)

ANAホールディングス株式会社
宮田 千夏子(上席執行役員 サステナビリティ推進部長)ほか

有識者からの主なご意見

  • 責任あるAI=責任あるビジネスである。「責任あるビジネス」は、長期的な価値創造、人権尊重やSDGsの推進、公正な社会の観点から重要であり、社会の安定化に不可欠な存在であるとともに、公平さを提供する社会的ドライバーである。責任あるビジネスを続けていくためには責任あるAIの企業行動が不可欠になる。
  • AIは、規制、スピード感のある進歩、既存テクノロジーとの融合等、様々なことが同時に起きており、全ての情報を完全に網羅して把握することは難しい。AI関連法案は増加傾向にある。国連は、193か国がAI倫理に関する史上初の世界的な総意を発表した。AI規制のグローバルフレームワークは未だないが、責任ある企業行動は存在する。その考え方をAIにも組み込み、人権と同様、企業の取る行動や決定がどのような結果をもたらすか、どのような影響があるかしっかりと確認すること、また、人権に関する課題があれば真摯に対応することが重要である。
  • 顕著なAIに拘わる人権リスクはいくつかある。それらは、プライバシーにもかかわるものがあるが、差別や職や生活を失うなど大きな影響も起こりえる。AIは多くの人に影響を与え、その影響を与える範囲が広い。例えば、画像認識のような技術では、身体的、宗教的等特徴を基にマイノリティを含む、個人の属性のプロファイリングを可能にするが、このような人の識別はリスクになり得る。また、会社内での従業員モニタリングも人権の観点でリスクになり得る。
  • 航空業界は、AI活用の影響が大きいと認識している。コストプレッシャーもあり難しい業界と個人的に認識しているが、テクノロジーの利用で、コスト最適化、収益管理、予知保全、CO2排出削減の可能性がある。事業が与える影響について、優先順位をつけ、影響がより大きいところから目を向けることが重要である。国連のビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)には優先順位付けのプロセスがあり、人権デュー・ディリジェンスを通じて、実験的にでもこの優先順位付けプロセスをAI関連の影響やリスクに活用すべきと考える。
  • AIは様々な領域に関わり、生活の一部になってきている。倫理的課題はどこにあるか確認が必要である。責任あるAIのあり方を考える必要がある。リスク評価や影響評価のプロセスを構築し、事業活動の中でそれを実装し、同時に今何が起きているか確認することが重要である。さらに、この継続的な確認をどのように行うか、進化の早いAIの日進月歩の進化するスピードにキャッチアップしていくことが重要である。また、強力なガバナンスと説明責任が求められる。人権デュー・ディリジェンスの原則に則り展開できるかが肝要である。
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