
2018年3月11日
東京大学人工物工学研究センタ−
株式会社ANA総合研究所
『おもてなし』の科学的理解に向けた共同研究の成果を発表しました。
~サービス学会 第6回国内大会~
東京大学人工物工学研究センタ−※(太田順教授、原辰徳准教授/サ−ビス工学)と、ANAホ−ルディングス傘下の株式会社ANA総合研究所※(本社:東京都港区、代表取締役社長 岡田晃)は、2015年5月から取り組んできた『おもてなし』の科学的理解に向けた共同研究の成果を、本日東京で開催されたサービス学会 第6回国内大会で発表しました。
東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の立岡宏治さんは、「旅客心理に寄り添う客室乗務員の気づきのスキル習得を促進する学習教材」と題して、共同研究の成果を新人客室乗務員の接遇力向上をサポートする『訓練教材』として発表しました。
共同研究では、5年連続で英国SKYTRAX(スカイトラックス)社※が運営するエアライン・スター・ランキングで最高評価を獲得しているANAの客室乗務員の接遇を、サ−ビス工学※の研究手法を用いて科学的に分析して、『接客過程モデル』として図式化しました。客室乗務員は日常の乗務経験の中で接遇力を培っていますが、この『接客過程モデル』に基づいた訓練教材を導入することで、より接遇力の高い客室乗務員の育成に寄与することが期待されます。
この共同研究の成果である『接客過程モデル』については、2016年、2017年のサービス学会で発表しており、更にANAホールディングスの雑誌「ていくおふ」147号(2017年7月)においても紹介し、広く国内のホスピタリティ産業での応用を可能としてきました。また、ANA客室センターは、本日発表した研究成果である『訓練教材』を取り入れ、客室乗務員の訓練に活用していくほか、ANAグループのカスタマーフロントでもこの研究成果を活用してまいります。
※参考
東京大学 人工物工学研究センター:
1992年設立。越塚誠一センター長。学問領域の細分化による弊害を無くし、人間・人工物・社会の新たな関係の可能性を求め、従来の方法論にとらわれない取組みを行っている。2002年にはサービス工学に関する研究部門を国内において先駆けて設置。現在も、観光や看護などの新たな分野を対象に工学的アプローチと人文社会科学的アプローチとを融合させながら、サービス学、サービス工学研究を推進している。
株式会社ANA総合研究所:
2006年設立。2004年に全日本空輸株式会社内に設置された「ANA総合研究所」を前身とする。航空事業に関連する幅広く横断的な戦略を調査研究するとともに、ANAグループで蓄積した知識を大学教育、地域活性化や観光振興等で活用し、航空会社の事業範囲に捉われず、産官学での連携を推進している。
サービス学会/サービス工学:
2012年に設立したサービス学会は、これまで個別的に取り組まれてきたサービスに関する広範な知識を体系化することで、様々な産業課題の解決に寄与し、サービスに関わる「社会のための学術」を構築することを目指している。サービス工学は、サービス学に関わる個別領域のひとつである。従来は勘や経験に頼りがちであったサービスに対して工学的な計測・分析・設計手法を導入することで、多様化する顧客ニーズへの適応や新しい価値の発見による満足度の高いサービスの創出、および従業員の負担軽減や能力向上などの支援を目的とする。
SKYTRAX社:
1989年創立、英国ロンドンに拠点を置く航空業界の格付け会社です。航空会社を格付けする「エアライン・スター・ランキング」のほか、SKYTRAX社独自のWEBアンケートなど各種顧客調査に基づき200社を超える航空会社を対象に評価・表彰を行う「ワールド・エアライン・アワード」も毎年行われている。
ANA広報部 TEL 03-6735-1111
東京大学 原 e-mail hara_tatsu@race.u-tokyo.ac.jp