CONVERSATION3

マーケティング

ANA 人事部
ANA人財大学 業務推進・
採用チーム
キャリア採用担当

土方 さやか

ANA CX推進室
レベニューマネジメント部
プロフィットマネジメントチーム
アシスタントマネジャー

坂下 大輝

ANA CX推進室
CX戦略部
CXマネジメント推進チーム
マネジャー

泉 隆之

2018年・2019年に
ANAにキャリア入社し、
現在、マーケティング部門(CX推進室)で働いている
2名の社員にお話を伺います。

Chapter 1

  • 土方 さやか
    (以下:土方)

    入社後~現在の仕事内容を教えてください。

  • 坂下 大輝
    (以下:坂下)

    私は2018年にキャリア入社して以来、マーケティング室(現CX推進室)レベニューマネジメント部に所属しております。レベニューマネジメント部は適切な座席管理や運賃コントロールを通じて、旅客収入の最大化をミッションとする部署です。ANAの事業の根幹である旅客収入を司る部署ですので、会社を支える非常に重要な役割を持っています。私はその中で、国際線の路線収入計画の策定、需要予測、実績分析を担当しており、各方面・各路線の動向をとりまとめ、国際線全体の現況や今後の見通しについて、部内外の様々な関係者に情報を共有し、コミュニケーションする役割を担っています。

    国際線の特徴として、方面や国・地域、季節、時期によってマーケット環境が大きく変化する点が挙げられます。国際線は利用されるお客様のニーズも、出張、観光、訪日、三国間流動(日本を経由した北米・アジア間の流動)など、非常に多岐にわたります。このため自社の実績や動向の分析はもちろんのこと、他社動向、世界の経済情勢、各国・地域のイベント、燃油価格や為替の推移など、日頃から様々な分野に対するアンテナを高くすることを心がけています。

    現在私は、アフターコロナを見据え、国際線をどのように再成長させていくか、その中期的な収入計画を策定しています。

    国際線の旅客数はコロナ禍で一時的に大きく減少しましたが、今年に入り徐々に回復してきました。今後も段階的な回復を想定しますが、早期の回復が見込まれる方面や客体は何か、コロナ前からお客様のニーズはどう変化したか、これらのマーケット環境に関するデータや分析をもとに、機材・ネットワーク、運賃、プロダクト、セールスといった各部門や担当者とも議論しながら、中期的な収入計画を策定しています。

  • 泉 隆之
    (以下:泉)

    私は2019年9月にANAにキャリア入社し、入社時から現在まで所属するCX推進室 CX戦略部・CXマネジメント推進チームで働いております。入社後は主にリサーチ・分析を担当し、デジタルコミュニケーション施策の構築にも部分的に携わってきました。リサーチ・分析の内容は、空港等の個別課題の分析から会社横断的なプロジェクトの分析まで、規模や内容が多岐にわたります。

    現在はANA全体のKPI設計や、ANAグループ全体で横断的なプロジェクト判断を行う為の調査及び分析、中期戦略設計に向けたマーケットリサーチと分析、全社のカスタマー・エクスペリエンス向上に向けた分析プロセスの構築(調査設計〜分析設計〜BI設計等)などがメインの業務になっています。

Chapter 2

  • 土方

    前職の仕事内容と、当時転職を考えたきっかけを教えてください。

  • 坂下

    私は新卒で中央省庁に入り、約6年間働いておりました。最初の4年間は港湾政策に関わる仕事に携わり、コンテナハブ港湾の国際競争力を強化する担当となりました。実際に現場を訪れて様々な物流関連会社を直接訪問し、港湾に対するニーズを聞きに行くなど、物流の現場を肌で感じる経験になりました。

    その後、2年間ほど法令審査の業務に携わり、省内の各部局が作成する法令案の審査を担当しました。法令知識ゼロからのスタートでしたが、徐々に法令の世界の奥深さ・面白さにのめり込み、様々な分野の案件を担当しました。様々な経験を得て達成感も感じておりましたが、同時に、このまま公務員一本道で進んでいって、人生の選択肢を自ら狭めていないか、自分が本当にやりたかった事はなにか、と改めて考えるようになりました。幼少期から飛行機が好きだったこともあり、より航空業界に直接的に貢献できる形で働きたいという思いも込み上げて来ました。

    そうした時、ANAがキャリア採用を募集しているニュースを目にし、「ダメもとで受けてみよう!」と転職活動を開始しました。実は、新卒時にもANAの総合職に応募したのですが、面接で落ちたという苦い経験があります。再挑戦となった転職活動当時はまだ20代後半、社会人経験も5年余りと、大きく誇れる経験もほとんどありませんでしたが、航空業界に対する情熱は誰にも負けない自信はありましたし、何より好きな業界ならどんな困難や試練があっても乗り越えられるだろうと思い、応募しました。

  • 私は、新卒後にIT業界で2社を経験したのち、日用消費財業界の会社へ転職しておりまして、ANAに入社するまで3社を経験しております。各社では一貫してマーケティング組織に所属し、主に分析を担当していました。その他にはデータを扱ったプロダクト開発にも多く関わり、キャリアの後半には、新規サービスの立ち上げに分析やデータプロダクト開発の面から関わること多くなっていました。

    前職2社目のIT関連会社では「データを扱ったプロダクト開発」の業務に多く携わるようになり、
    ① 顧客戦略策定、事業計画策定、プロモーション方針策定などのデータ分析
    ② 予測モデル構築、マーケティングオートメーション構築、BI構築などのシステム開発
    ③ ECサービス、O2Oサービス、クライアント向けマーケティングシステム等の、新規サービスに関する業務
    などのスキルを身につけました。

    3社目となる日用消費財業界の会社では、それまで得たスキルを軸に、
    ① データ分析においてはKPIモニタリング、マーケットリサーチ、ブランド戦略策定、プロモーション方針策定
    ② システム開発では、DWH構築、予測モデル構築、マーケティングオートメーション構築、BI構築、
    ③ 新規サービス関連では、次期什器の仕様検討及びPOC
    など、様々な業務に携わり、さらにキャリアを重ねることができました。

    2回の転職を経て更にANAへの転職を考えたきっかけは、前職では社内で環境を変えて新たなチャレンジをするには時間が掛かりそうだったので「別の会社に転職して新たなチャレンジをしよう」と考えるようになったからです。

    当時は、個別にお誘い頂いた会社へ時々お話を聞きに行っていたのですが、その中でANAからのお話に興味が湧きました。配属先の自身の役割について説明を受け、自身の今後の成長に繋がると感じたのです。ANAは、ひとつのブランドとしてとても規模が大きく、その中で"CX戦略を検討する"という事に対して、大きな役割や責任がある仕事だと感じました。

    私自身は「変化の中にいる事」が好きなのですが、今後の技術発展については、自動運転・生体認証といった技術や、それらを通じたサービスの無人化など、主にリアル接点との中でデジタル技術が融合され、進化していくのではと普段から感じていました。ANAは空港含めリアルとデジタル技術のアセットが多いため、これから提供するサービスの変化も多い会社だと思い、ワクワクしました。

Chapter 3

  • 土方

    入社後、やりがいや達成感を感じた仕事を教えてください。

  • 自身の分析を通して、組織に対して新たな発見を提供し、検討の方向性をより良く出来た時には、やりがいや達成感を感じます。特にコロナ禍以降は「コロナ禍の移動需要変化の顧客リサーチ及び分析」や「ラウンジWeb会議ブースの需要及びプロダクトニーズ分析」において、新たな発見を全社に提供することができ、大きなやりがいを感じました。

Chapter 4

  • 土方

    「コロナ禍の移動需要変化の顧客リサーチ及び分析」について、詳しく教えて下さい。

  • コロナに入って航空需要が消失してしまい、ANAは非常に困難な時期を過ごしていました。その中でCX部門では、お客様の移動を行う事に対する心情を把握して今後のANAの戦略に活かす為に、定期的な調査を実施しました。

    分析からは「お客様は世間で報道されるニュースによって、感染不安が上下する」という事実も把握できました。このことから、感染不安等の健康状態への懸念は「良い方向へも悪い方向へも、人は直接的になかなか実感できず、報道されているニュースによって決まる(機能性よりもイメージで決まる)」という傾向を掴むことができ、変化をもたらす要因を絞り込む事につながり、今後の見通しを立てやすくなりました。

    「コロナ禍の移動需要変化の顧客リサーチ及び分析」では、これらの結果の他にも「お客様の移動に対する心情が変化した際に、どのようなターゲットが動いたか」等、その後のプロモーション検討に資する分析へと繋げられたり、経営会議のコンテンツに組み込まれたりするなど、コロナ禍で先が読めない中の、会社の経営判断に貢献できたことに非常にやりがいを感じました。

Chapter 5

  • 土方

    コロナ禍の中で行われた「ラウンジWeb会議ブースの需要及びプロダクトニーズ分析」とは、どのような調査・分析だったのでしょうか。

  • コロナ禍に入って間もなく、ラウンジ利用者のお客様の調査データから「リモート会議用のブースを設置して欲しい」というニーズが見られました。これを受けて商品企画部と連携し、どれ程のニーズがあるのか、どういったタイプのブースが良いのか、主なターゲットが誰なのかの分析リサーチを行いました。

    当初、社内では"半個室タイプの仕切り板がついたWEB会議ブース"が主に検討されていましたが、それにはスペース上の問題から"完全個室タイプを設置しにくい"という背景もありました。しかし調査結果から、Web会議ブースの需要は非常に高く、さらに「半個室タイプか完全個室タイプか」という点で、社内の方向性とお客様のニーズの間に大きな違いが見られました。

    また、お客様が欲している"WEB会議ブースの機能"を深く分析していくと「周囲からPC画面が見えない」「会議中の声が周囲に漏れない」という2つの軸に非常に高い相関が見られました。つまり「根本的に社外で会議を行う際には、セキュリティ観点を担保する事が重要であり、両方が重要(どちらかを捨てられない)」と判ったのです。

    これらの結果を基に、その後、商品企画部で完全個室タイプのブースを設置する方向で具体的な開発が進み、リリース後のお客様の利用状況も好調だと聞いています。当初に社内で想定されていた内容が、分析結果を通じて違った方向に進み、お客様にも支持される形になった事に非常にやりがいを感じました。また、コロナ禍だったからこそ生まれたニーズであり、「新しいANAの形」の一助となれた事は非常に嬉しく思いました。

Chapter 6

  • 土方

    それでは坂下さん、ご自身が入社後、やりがいや達成感を感じた仕事を教えてください。

  • 坂下

    コロナ禍に入った直後(2020年春)、国際線・国内線ともに予約の大半がキャンセルになり、またそれに伴い多くの便を運休・減便せざるを得なくなるなど、過去経験したことのない事態に直面しました。2022年に入り国際線も明るい兆しが見えてきましたが、コロナ禍の当初は非常に困惑し不安を抱えました。これまでの2年間は、多くの人がこうした大きな不安の中で仕事に向き合ってきたと思います。

    その一方でポジティブに捉えられる一面もありました。一つは、先行きが不透明な状況になったことで、明確な"正解"が誰にも判断できなくなり、これによって経験が浅い人もベテランの方も、等しく意見を交換する機会が増えたことです。私も、コロナ禍で国際線の収入計画を策定するにあたって、過去実績がほとんど参考にならない状況となり、最初は不安や迷いも多くありました。しかし、目の前の状況を冷静に見極め、何をなすべきか、何が必要かを追求しながらCX部門の様々な部署の方と議論を進めいていくうちに、少しずつ"コロナ禍におけるお客様の動き"が見えるようになり、次第に明確な根拠と期待を込めて計画を策定することが出来るようになりました。

    もう一つ、やりがいを感じる点としては、これは社外の方からよく励ましを頂くことでもありますが、やはり航空会社はどういう状況にあっても必要な公共交通機関としての社会的使命を有しているという点です。入国規制が厳格化された状況であっても、海外に在住する駐在員が日本に帰国するための足となったり、離れて暮らす家族や親族に会いに行くための足となったり、航空会社は大きな役割を持っていると気付きました。友人から「今は辛いけど頑張って、落ち着いたらANAに乗って海外に行くね」と声を掛けていただく機会も多く、自分の仕事に誇りと自信をもって取り組むことが出来ました。

Chapter 7

  • 土方

    将来、実現したいキャリアや夢を教えてください。

  • 私は、将来的にはプロダクト開発に力を注いでいきたいと考えており、特に空港などのリアル領域のデジタルプロダクト開発に重点を置きたいと思っています。空港などのリアル領域は、自動追従車椅子や生体認証等、最先端の技術を取り入れる事で、サービス向上を見込める可能性が大きく感じられます。今後も技術発展と共に試行錯誤を繰り返し、新たなスタンダードが生まれると考えています。

    またリアル領域では分析・リサーチで示唆を出す役割のおよぶ範囲が多くあるため、現在の業務ではANAのモノやサービスを作る過程の中の「最初のきっかけやコンセプト部分」に主に関わっているのですが、将来は「実際にモノやサービスという形にするまで」の役割も経験したいと思っています。

    大きな夢としては、エアラインの新たなサービス形態やプロダクトを生み出したいと思っています。ANAの歴史の一つになれるような"形"を作り上げたい。ANAという変化が多いステージだからこそ、チャンスも多く、チャレンジしがいがあるとワクワクしています。

  • 坂下

    国際線の中長期的な課題は「海外市場の成長をいかに取り込めるか」だと考えています。これまでANAの国際線は大きく成長してきましたが、それでも海外市場における認知度は十分ではなく、これまで以上に競争力を高め、国際線の更なる成長に繋げていく必要があります。こうした課題を解決すべく、まずは海外地区でのマーケティングを経験したいと考えています。ANAの認知度が日本市場と比較して相対的に低いマーケットでどの顧客にどのようにアプローチすべきか、また、一度ご利用いただいたお客様に対してどうすれば再びご利用いただけるかなど、国内とは大きく異なる課題を有しているのが海外市場です。困難もあるでしょうが、新たな需要を開拓していく面白さもあると思っています。

    その先の目標として、アフターコロナにおいてANAが世界のリーディングエアラインとなるよう貢献したいです。そのために今の目の前の仕事に一生懸命に取組み、ANAとともに自分自身も成長していきたいと思っています。

    プライベートでは、半分冗談・半分本気ではありますが、私の小さなころからの夢である"パイロット"になりたいです。いつか自家用操縦ライセンスを取得して、自分の手で飛行機を飛ばすことができたら、もっと航空業界や空のことが好きになると確信しています。

Chapter 8

  • 土方

    将来、ANAのマーケティング部門。その中でも特に「CX推進室」で一緒に働く仲間にメッセージをお願いいたします。

  • 坂下

    ANAのCX部門に向いている人は「社会や世の中の"動き"や"変化"に興味がある人」なのではと思います。CXの目的は「顧客のニーズを先回りして把握し体験価値を高めること」ですが、世の中の変化が激しいこの時代、ANAのCXでは「そういった変化を楽しんで次なる打ち手を提示できる人」が特に求められています。

    加えて言えば、データや数値に基づく定量的かつ高度な分析や評価については今後ますます重要になりますので、やはり経験や勘だのみではなくデータや数字に興味がある人なら、より楽しく仕事が出来るのではないでしょうか。

    また「自分なりの信念をしっかり持ちつつも、周囲の状況に応じて柔軟に対応できる方」も、ANAに向く人だと思います。変化の激しい航空業界ですから、その変化に翻弄されることなく信念を貫く力強さと、同時に、環境の変化に適切に対応する柔軟性が特に求められるのではと思います。

    ANAも航空事業の一本足からの脱却、環境問題への取り組みなど、新たな課題へチャレンジする局面にあるので、そういった変化や新しいことにチャレンジする意欲のある方には是非、応募して頂きたいですね。そしてANAの合言葉である『あんしん、あったか、あかるく元気』な人、コロナ禍のような辛い時期でも、声を掛け合って、互いを励ましあい、みんなで乗り越えようとする人が、ANAでは求められています。

    航空業界は外から見える景色以上に、中から見える景色は非常に複雑多様で、思いもよらない発見が多くある世界です。ご自身の経験が役に立つかどうか自信がない…という方も「こういう事に興味があるので仕掛けてみたい」という気持ちを自ら表現してみれば、そこから色々な反応が生まれ、ANAや航空業界を大きく変える原動力となっていくのではないかと思います。

    最後に、プライベートな出来事ですが今年に入って子供が生まれまして、育児休業を2ヶ月取得しました。生まれて間もない子供の育児に専念し、仕事とは違う育児の大変さや喜びも体験することができ、いま振り返っても育児休業を取得して本当に良かったと感じています。

    育児休業の他にも、ANAには様々な働き方をサポートする制度が豊富にあり、とても働きやすい環境だと思います。ANAのCX領域で何かを成し遂げたいという情熱があれば、年齢、経験問わず広くチャレンジして頂きたいと思います。ぜひ一緒に働きましょう!

  • ANAでは「業務を通して会社を前進・進化させる事にモチベーションを感じる人」が求められていると思います。「辛抱強く、信念を持ち、チャレンジし続けること」や「他人に流されない・あきらめない」という心を持ち続けることも大切です。

    また仕事の進め方では、前後の工程を意識しながら自身の役割の仕事に取り組める人、周囲を説得し巻き込む事に労力を厭わない人などが向いていると思います。泥臭くも冷静に物事を進める人や、困っている人がいたらつい声を掛けてしまうなど周囲に配慮できる方も、ANAでは活躍の場が広がると思います。

    ANAのCX領域における業務は非常に幅広く、今後もサービス形態が大きく変化していくと思います。大きなチャレンジをしたいと考えている方には、きっと数多くのステージがあります。私たちとともに「次世代のスタンダード」を作っていきましょう!