CONVERSATION6
整備技術
ANA 人事部
ANA人財大学 業務推進・採用チーム
伊藤 智子
ANA 整備センター 機体事業室機体計画部 整備体制チーム
リーダー
中島 郁朗
ANA 技術部 客室技術チーム
アシスタントマネージャー
多賀 慎太朗
ANA 整備センター 部品事業室
部品計画部 部品企画チーム
アシスタントマネージャー
藤代 和史
ここでは、2018年〜2020年に
現在、整備技術部門で働いている 3名の社員にお話を伺います。
Chapter 1
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伊藤 智子
(以下:伊藤)入社後~現在の仕事内容を教えてください。
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中島 郁朗
(以下:中島)私は、2018年にANAにキャリア入社しました。
入社1年目から4年目までは、「機体計画部 整備計画チーム」で整備生産計画の取りまとめの業務を行っていました。具体的には、(1)年度を通してどの様な方針で整備を実施していくのかを記載した整備生産計画書の策定 (2)航空機の重整備を行うドック整備部門の生産計画の策定 (3)整備士の控除(訓練や整備作業以外の業務を行う時間)の調整などです。
入社5年目から、現在所属する「機体計画部 整備体制チーム」に配属となり、(1)ANAが保有する航空機の重整備を国内・海外の整備専門会社に委託する際に発生する契約の締結および実施の調整 (2)国内エアラインからの整備受託調整などの業務を経験しております。
現在、ANAが保有する航空機の重整備は、ANAが自社で実施だけでなく、MRO(Maintenance Repair Overhaul)と呼ばれる整備専門会社にも委託しています。MRO各社はANAだけでなく、ほか多数のエアラインの重整備も受託しているため整備スロット(整備するための格納庫や人員等)が限られており、我々の希望の整備計画に近づけるためにはMRO各社との調整が必要です。現在、私は「重整備の国内・海外委託に関わる契約」をメインの業務としており、その業務の中では重整備の実施調整から契約締結まで執り行っています。
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多賀 慎太朗
(以下:多賀)2019年に入社して以来、技術部 客室技術チームに所属しております。私の所属するチームでは、航空機の客室内装部品に対して、技術検討・対策を行い、不具合改善や品質向上を図り、安全運航を支えています。その中でも私が担当する業務を大きく分類すると以下の3つに分けられます。
- (1)技術管理業務: 発生した不具合やこれから起こりうる不具合に対して分析し、検討して技術対策を行う。
- (2)開発業務:新しく導入する航空機の客室部品の仕様検討や搭載するシートの開発。
- (3)機体ペイント業務:特別塗装を含む機体のペイント業務の作業指示や管理。特別塗装の場合はデザイン検討から塗装完了までの一連業務を整備・技術の面から対応。
(2)の開発業務は私が今年度チャレンジする新しい業務であり、自ら手を挙げて担当になりました。具体的にはANAがこれから導入を予定している新機材のシート開発業務で、海外メーカーと一緒に進めていくので難しいことも多いのですが、
新しいANAの商品を作っていく開発業務 ということでワクワクもあり、大きなやりがいとともに取り組んでいます。 -
藤代 和史
(以下:藤代)私はちょうどコロナ禍が始まった2020年2月に入社しました。
入社して2年間は部品計画部 物流サポートチームに所属しておりました。業務ではANAが就航している空港での運航便のキャンセルや遅延を防ぐために、1機あたり数百万点とも言われる航空機部品を、各空港・基地にどのように配置するかなどの計画の策定を中心に仕事をしておりました。入社3年目から現在は、整備に必要な航空機部品の物流を企画する業務、新機種導入(B3MAX、B777-9)にむけた、航空機部品の整備体制の検討などの業務をメインに取り組んでおります。
Chapter 2
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伊藤
前職の仕事内容と、当時転職を考えたきっかけを教えてください。
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多賀
前職では自動車メーカーで開発業務を行っていました。具体的には、自動車の衝突安全の性能開発として
自動車のボデー、ほかシート等の内装品やエアバッグについて、初期検討・設計・試験を通して製品化まで を担っていました。転職を意識するようになったのは、キャリアの幅を広げたいと考えたからです。新しいことにチャレンジしたいという思いを持ちながら色々な求人を見ていたところ、ANAがキャリア採用を行っていることを知りました。ANAでは自動車の約100倍の部品点数となる航空機の安全を支えていることから、『今よりもより難しく、新しいチャレンジができるのではないか』という思いが湧きました。そして「安全」というキーワードは前職と重なる部分があるため、『前職の経験を活かしてANAでチャレンジしたい』という考えに至り、入社しました。
航空機は自動車と比較すると運用されている環境などが全く違うため、自動車メーカーでの知見がそのまま活きてこない場面も多くあります。しかしながら他部署を巻き込んだ仕事の進め方やコミュニケーションスキルが必要とされることはどの企業も共通で必要とされることであるため、前職の経験は非常に大切だったと感じています。新しいことにチャレンジする日々ですが、海外メーカーと直接やりとりする機会も前職と比較すると増え、グローバルに仕事が出来ていると実感でき、やりがいも感じられています。
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中島
私はANAに入社する以前に他業種2社を経験しています。新卒のときは旅行代理店に入社し、店頭営業を1年経験した後、法人営業に3年間携わりました。店頭営業ではJRや航空機等のチケット販売など、法人営業では企業や学校法人の旅行・イベント等の企画・営業のほか、日帰りバス旅行の企画業務も経験しました。2社目はメーカーに転職し、国内工場の生産管理(工場勤務 計10年)と、本社にて国内工場の需給調整(本社勤務 計4年)を勤めました。
ANAへの転職のきっかけは、メーカーの地方工場に管理職として勤務していた2017年当時、『このままでいいのかなぁ。なにかもっと違うことしたいなぁ。もっと人の役に立てる仕事はないかなぁ』と思い始めていたタイミングで、ちょうどFacebookにANAのキャリア採用の広告を見つけたことです。実はその広告を発見した日が
明日応募締め切り という日で(笑)、とにかく必死に応募した記憶があります。ANAについては、旅行代理店で働いていた時にANAの営業担当の方と関わることがあり、その方がとてもエネルギッシュであったことが印象深くずっと心に残っていて『とても良い会社なのだろうな』と、漠然と感じていました。また『ANAの仕事では、人の笑顔に触れ合うことができるのでは』という期待も感じながら、入社の日を迎えました。
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藤代
前職では重工系プラントメーカーに勤務し、エネルギープラントを建設するために、お客様や関係する会社と共に
見積もり・設計・調達・建設・引き渡し までの一連のプロジェクトコーディネートをしていました。転職を考えたきっかけについて本音でお話しますと、家族の事情があり当時住んでいた関西から、関東へ戻るために転職活動をしました。転職するにあたって、『これまで従事していた
B to Bビジネス とは方向性を変えて、オペレーターとしての B to Cビジネス や、事業会社として利益をより生み出すような仕事にチャレンジしてみたい』と考えて、ANAに入社しました。転職活動中に ANAの仕事 でやってみたいと考えていたことは、『完成された飛行機を扱い、現在ある技術を知識や経験として積み、その上でオペレーターとしてのノウハウをメーカにフィードバックすることでさらに良いものを作ってみたい』ということでした。そうしてANAへ入社したのですが、入社当時はコロナ禍の影響などにより、なかなか活発な仕事が出来なかったのも事実です。しかし、『事業会社として何を考えて業務をしなければならないか』と常に考えることの大切さや、『過去を大事にしながらも、さらに改善・強化していくこと』の重要性などは、ANAに入社したからこそ改めて気づけたことだと考えています。
Chapter 3
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伊藤
入社後に感じたANAならではの企業風土と、やりがい・達成感や
ワクワク を感じた仕事を教えてください。 -
藤代
企画担当としてのやりがいを大きく感じるのは、10年後〜20年後のANAの姿を想像して航空機部品整備部門や部品物流のあり方や方向性を考えて方針を企画し、その企画した方針に対して、関係者が一緒の方向を向き、日々のオペレーションを実施している姿と見たときです。
転職前に外部から見たANAは、洗練されていてブランディング力があり、働き方や社内システムにおいて時代の最先端を行く企業だと感じていました。しかし実際に入社してみると業務やシステムをもっと効率化して洗練させることができるのではと思う場面も多くありますし、別業界で働く友人との会話、報道・ニュース等で触れる最先端の情報を目にすると、まだまだANAは良い企業になれる!ANAは成長できる伸びしろまだまだある!と考えるようになりました。そんな将来のANAの姿を考えながら、前職の経験や入社後に得た新しい知見をベースにして、まずは自分が所属する整備部門から変えていくこと。それが私のワクワクかもしれません。
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中島
現在担当している「重整備の国内・海外委託に関わる契約」の業務に、とてもやりがいを感じています。MRO各社との適切に契約を締結し、重整備の実施調整を完了させることは、ANAの安全・安心・快適な運航オペレーションを堅持するために必要不可欠ですし、その重要な役割を自身が担っていると自負しています。
勤務中は羽田空港にある格納庫(ANAエアフレームメンテナンスビル)に常駐しているので、直接お客様と接する機会はありませんが、空港で業務する際や自分自身が航空機に搭乗する際に、
これから飛行機に乗って出かける方々 を見ていると、たくさんの方々の笑顔を見ることができ、自分の業務が お客様の笑顔 に貢献出来ていると実感できて、嬉しいですね。 -
多賀
ANAに入社して
やりがい・達成感 を感じた仕事といえば、ANA Future Promise Jetやアニメキャラクターなどの特別塗装の対応業務が思い浮かびます。特別塗装機においては初期のデザイン検討の段階から整備・技術の面で参加し、多くの関係者と協力して、決定したデザインを機体に反映する作業指示から完了まで対応していきます。特に作業実施段階では複雑なデザインを機体に正確に表現するため、作業実施に立ち会い、実際の整備作業者や管理者と細かいデザインの表現や作業品質について調整しながら完成させていくのに苦労しました。特別塗装は特別な作業であるため予期せぬトラブル等の発生に対しても迅速な対応が求められますが、最終的に特別塗装の機体が完成した時には、感無量でした。また多くの関係者と進めてきたその特別塗装機を見て、お客様が楽しんでいただけていることも、嬉しかったのを覚えています。
もう一つ、とても嬉しかった出来事は、自身が担当した「客室内搭載物の廃棄率低減」への取り組みが、2023年度の「ANA's WAY KAIZEN AWARD 優秀賞」に選出され、社内表彰されたことです。環境負荷低減を趣旨として実施した取り組みが社内的に評価されたこと、また大きな効果が得られて会社に貢献できたことは大きな達成感がありました。
Chapter 4
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伊藤
将来、実現したいキャリアや夢を教えてください。
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中島
将来的には、機体整備の企画部門を経験してみたいと思っています。また、グループ会社への出向というのも選択肢のひとつだと思っています。グループ会社ではかなりの業務の幅が求められると聞いているので、新しいことにチャレンジするステージとしては最適かもしれません。あるいは、整備センターから一度他部門へ出て、整備とは別の経験するもの良いかもしれないとも考えています。
我々がキャリア採用された当時は
整備部門≒理系 という枠組みでしたので、整備部門と事務系部門との行き来というのはあまり考えられなかったのですが、今はこうした概念も変化しています。結果として、人材の交流が更に活発に行われるということになりますし、とても良いことなのではと感じています。プライベートでは、来年度から下の子供が大学生になることで家族としても自由度が増えるので、家族全員で国内外問わずたくさん旅行に行きたいと思っています。ここ8年くらいは子供が学校や部活で忙しく家族旅行が出来なかったので、今から楽しみにしています。これからは、旅行先で触れ合うことのできる人々や文化から様々な刺激を受けて、仕事もプライベートも更に充実させていければいいな、と思っています。
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多賀
現在は客室技術チームとして客室内の部品を整備・技術面で担当し、専門性を深めているところですが、エアラインのGS職には幅広い業務が存在しますから、今後は、客室部品や整備以外の新しい分野の業務も経験して、エアラインのGS職として専門性の幅を広げてみたいと考えています。また、機会があれば駐在など海外でのチャレンジもできればと思っています。
プライベートでは、エアラインに就職した利点を活かして『子供がもう少し大きくなったら家族で海外旅行にたくさん行きたい』という夢があります。まずは子供も喜びそうな「A380フライングホヌ」に乗ってハワイに行ってみたいです!
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藤代
将来のキャリアパスとしては、現職での企画能力の向上をした上で、部品手配、空港支店の新規開設、支店などでの一通りの業務やエアラインの根幹であるネットワークを経験していき、航空会社ならではのキャリアを得た上で、社内外問わずに協働しながら新たな価値創造をしたいと考えています。
整備部品物流の目の前の仕事では、ANA社内だけでなく、他社も含めたサプライチェーン全体でDX化することによる
全プロセスの共通の見える化プラットフォーム など出来たらな、という夢を描いています。たとえば、飛行機の部品が必要だとなったときに『不具合箇所を写真に撮れば、あるいは航空機自体から不具合の情報を受信すると、自動的に機体の横にいつの間にか部品がある』ようなサービスなどです。プライベートでは、前職のつながりから得た
秘伝の餃子レシピ をさらに進化させ極めるために、 世界餃子ツアー を企画して旅立ちたいという夢があります。実現の際にはもちろんANAの飛行機で行こうと思っています。
Chapter 5
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伊藤
今、ANAの整備技術の領域では、どんな人に来てほしいですか?
それは、なぜですか? -
中島
ANAの整備技術で求められる人材像としては、まず、色々な角度から考えることができる人、そして視野の広い人が挙げられると思います。整備技術に限らず、ANAではどの仕事も一人ではできず、様々な人と一緒に業務を進めることが必要です。その様な状況では、ひとつの視点だけでなく、幅広い視野を持っていて色々な角度から考えることがとても重要だと思います。
そして
考動力 、考えて動く力がある人も大いに求められています。ANAには「やってみよう」という言葉があり、まずはやってみるという姿勢には周囲の人も応援してくれます。ですが、やっぱりしっかりと考えて動くことが重要だと思います。もう一点、周りの人を巻き込むことができる人ということも付け加えたいと思います。一人では業務はできないという大前提を理解し、一人で背負い込まずに周りを巻き込みながら進めば、ANAではみんな協力してくれますし、助けてくれるのでとても大事なことだと思っています。
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多賀
ITスキルのある方は歓迎されると思います。分析・検討などが必要な業務へより多く注力できるよう、どの領域においても自動化・DX化が可能な業務には取り入れながら効率化していくことが必要だと感じています。そのため、マクロやプログラミングスキルなどITスキルを用いた効率化・プロセスの改善ができる人には、どの部署・領域でも来てほしいと思っているのではないでしょうか。
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藤代
新たなことや、変えるべきことを発信し、実践していける人だと思います。私自身もANAに入社したときに、良くも悪くも、いくつか違和感を感じた部分がありました。その違和感は、長く一つの職場で過ごす人にとっては
気づきにくくなってしまっている ことだと思いますので、私たちキャリア入社の社員が社内へ向けて忘れずに発信し『変えていこう!』と呼びかけ続けることで、ANAは更に良くなると考えています。
Chapter 6
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伊藤
将来、ANAのグローバルスタッフ職(GS職)、その中でも特に、整備技術領域で一緒に働く仲間にメッセージをお願いいたします。
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中島
自分の意志・意見を持っていて、伝えることができる人が求められていると感じています。ANAはキャリア入社される方の考え方や経験にとても興味があると思います。キャリア採用で入社する方々には、ANAでの業務を通して、他業界で得られた様々な知見や経験を是非とも生かしてほしいと思います。
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多賀
当たり前のことかもしれませんが、自ら考えて動ける人はANAに向いていると思います。ANAでは多くの部署の方々と協力して進める業務・新しい業務も多いことから、自ら考えて動き、他者を巻き込みながら仕事を進めていく必要があります。キャリア採用で入社してすぐの頃は、わからないことも多いので自ら聞きにいったり、協力いただくため相談や説明に伺ったりする機会も多いことから、自分で考えた上で積極的に行動に移せる方は向いていると思います。
整備系のGS職の人は、飛行機の安全上の「最後の砦」だとも言えます。サッカーでいうところのゴールキーパーのような人というのが浮かんできます。基本的に私たちは整備の面から航空機の安全運行を支えていますが、不具合というシュートが飛んでこないよう、味方のディフェンダーである関係者と協力して不具合をそもそも発生させない体制を作ること、そして不具合が発生した場合は安全運航できるよう自らが最後の砦として考え、責任を持って対応していくことが求められるためです。安全への意識が高い方や責任感の強い方には、ぜひチャレンジしていただきたい仕事です。
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藤代
ANAには面倒見がとても良い先輩がたくさんいらっしゃるので、果敢にアイデアを共有し、到達点を見つけ、推進していける方はぜひ、ANAのGS職に挑戦していただきたいと思います。会社を良くするために意見が対立することはありますが、それは「お客様の安全・安心」を守り抜くという、同じ方向を見つめているからです。そして議論が終われば、みんな明るく仕事しながらお互いをフォローアップしてくれます。
航空業界は今、コロナ禍を経て大きな転換点にいると感じています。大きな転換点では社内のみの知識や経験だけではなく、社外で培った知識や見識を取り入れていくことが、とても重要だと考えています。『みんなの意見でANAの将来を創っていきたい』と考える方と一緒に、私もまた、より
ワクワク なANAを創って行きたいです。