Interview
他空港に駐在する仲間とともに、
ヨーロッパ全体のANA運航便の整備技術を支え合う。
#グローバルスタッフ職
田中 浩幸
ANA ブリュッセル支店 整備(インタビュー当時)
2003年入社 システム人間系専攻 機械科学分野卒
Interview 1
経験や専攻にとらわれず整備技術系領域の仕事にチャレンジ、そして海外勤務へ
私が航空会社における仕事の中でも"技術系領域"への興味を持った理由は、縁の下の力持ちといった大切な仕事だという印象があり、就活を重ねていくうちに興味が一層増したからです。整備技術領域へのエントリーは、私の経験や大学での専攻分野を思うと自分でもチャレンジングに感じた部分もありましたが、ご縁もあってANAに入社しました。
私は学生時代に海外経験が無かったので、ブリュッセル支店勤務の内示を受けたときは率直に驚きました。前任の方はさらに別の海外支店へ異動となっていたことから『自分も海外で活躍するんだ』という気持ちが湧いてきて、これから広がるキャリアの豊富さにも楽しさを感じました。
異動の内示を受けた当時はコロナ禍の影響でブリュッセル便は運休しており、自分自身が担う役割も不明でした。そもそもベルギーへ入国できるかという不安や家族帯同の難しさもあったのですが、家族は私の赴任から2か月ほど後に帯同することができました。ベルギーの公用語はフランス語とオランダ語ですが、業務においては英語ができれば問題ありません。英語のブリーフィングもありますが現地スタッフにも日本語を話せる方が多く、語学について不安を感じることはほぼ無いです。
Interview 2
より効果的な人員体制を構築し、
ヨーロッパ全体のANA航空便を支え合う。
ブリュッセル支店における私の現在の業務は、ANAが就航するヨーロッパの各空港に駐在している整備系マネジャー4名とともに、ヨーロッパ全体のANA運航便の整備技術に関する業務を担当しています。その内容は主に【(1)より効果的な整備人員数で、ヨーロッパのANA就航先空港の全てを支える体制の構築 (2)技術系駐在員の空港オペレーション(旅客ハンドリングなど)への積極的な参画 (3)定時通りに便を出発させるための事前点検等、さらなる工夫の追求】の3点となっております。
また、ANAが就航する海外空港には整備委託契約を結んでいる会社があり、ANA便の運航を一緒に支えていただいております。航空機の運航においては様々なケースのイレギュラーが発生します。海外という限られた人員の中で安心してお客様にご利用いただくためには、ヨーロッパの各空港に駐在するANA社員間、および委託契約会社との連携が非常に重要です。社員一人ひとりがフットワーク軽く、普段から綿密に情報交換もしながら業務にあたっており、お互いに支え合って航空機のオペレーションを行っています。
ANAでは、社員の誰もが「便の安全を最優先に考え適切に判断ができるように」明確な基準を設けています。仮に機材に不具合が発見された場合でも、整備士ごとに出発の可否判断が異なることは基本的にありません。一方で、機材不具合の修復に要する時間などは、各整備士個人の知見や技量・創意工夫によって"より良い結果"を生み出すことができるため、整備士の腕の見せ所でもあります。一例をあげますと、運航乗務員や客室乗務員がフライト前に点検する各項目について、整備士の視点であらかじめ点検を実施するなど、より事前準備に工夫を図ることで、不測の事態があった場合にもお客様へご迷惑をお掛けすることなく、定時通りに便を送り出すことができます。
この例のほかにも、より効果的な人員体制で仕事を効率よく推進できるよう、整備技術の組織全体でより良い体制を創り上げていきたいです。このような日々の業務の積み重ねが、新規就航路線の開設などを含めた機動力のある会社経営につながり、さらにはANAという航空会社を世界中に認識していただくきっかけになると考えております。
Interview 3
日頃からイレギュラーに備え、必要に応じて支援に駆けつけ、臨機応変に対応していく。
今年度は私自身も複数回、駐在先であるブリュッセル以外のヨーロッパの各空港へ支援に行く機会がありました。私たちが駐在するヨーロッパでは、仮に航空機の技術不具合が発生し運航便が予定通り出発できなかった場合にも備え、日頃から自身の駐在先の空港のみならず常にヨーロッパの就航路線全体に注意を払い、必要に応じてすぐに支援に向かう体制を構築しています。駆けつけた空港で業務にあたる社員とも連携しながら臨機応変に対応していく仕事のスタイルが、私にはマッチしているようにも感じています。
駐在中の思い出深い仕事の一例をご紹介します。過去にブリュッセル空港を離陸したANAの便が上空で技術的な不具合をかかえ、ブリュッセル空港へ引き返したという事例がありました。到着した飛行機を点検したところ、すぐには運航できる状況にはなく、安全を最優先に運航を取りやめる判断をしました。その後は当該便をいち早く修復するために、羽田空港の整備技術スタッフをはじめ多くの関係各署と情報連携を図りながら、一方では現地の整備委託先会社との修復にあたる人員の調整や交換部品の調達、そして修復にむけた全体スケジュールの管理も推し進めました。加えて、通常の運航便の整備も同時に進め、駐在員としてできうる最大限の対応を行いました。
海外空港は日本国内の空港に比べて便数が少ないため、イレギュラーが無ければ時間的なゆとりも比較的感じられますが、イレギュラー時こそ自身の力が試されると思うとともに、この仕事のやりがいを強く感じます。様々な仲間との連携により、最短期間で便の修復を完遂させ、お客様へ便をお届けできた時の充実感は、非常に大きいものがありました。
Interview 4
仲間とともに取り組む「航空教室」にワクワクする。
私自身のキャリアにおいては、日本国内の現場を経験した後に海外(マニラ)で実務研修を受け、再び日本の整備技術スタッフとして勤務してからブリュッセル支店へ赴任した一連の経験は非常に良かったと思っています。様々な部署での経験によって、現場でのコミュニケーションのあり方だけでなく、他部署との連携の取りやすさも変わってくるように感じています。仲間と支え合いながら不具合の修復にあたり無事に解決したときに"お客様の笑顔"を拝見した瞬間や、仲間から『応援に来てくれてありがとう!助かった』と感謝の言葉を貰った時には率直にとても嬉しいですし、明日への原動力となります。
また最近、私が「ワクワクの種」として取り組んでいることの一つに、ブリュッセル支店の仲間とともにベネルクス3国※の日本人学校・日本人補習校に出向いて、将来、社会に羽ばたく学生の皆さんへ向けて行っている「航空教室」があります。航空会社をより身近に感じていただくことはもちろん、『ANAという会社を知っていただく・好きになっていただく』きっかけになればと思っています。
※ベネルクス(Benelux)3国:ベルギー・オランダ(ネーデルランド)・ルクセンブルクの3国、またはこの3国の集合体。
私自身は、これまでに航空教室を5つの学校で実施し、現在も新たに2校での開催に向けた準備を進めています。航空会社の仕事は運航乗務員や客室乗務員、空港で働く旅客係員や整備士などの姿がイメージしやすく、小学生・中学生のみなさんが将来の夢を考える一助にしていただきたいと思っています。航空教室の活動は地域貢献の機会であるとともに、将来有望な学生に"ANAの良さ"を伝えられる絶好の機会だと考えており、今後は在欧日本人学校全てに行ってANAのプレゼンスを向上させたいと考えています。
ブリュッセル支店は小さい所帯なのでとても風通しが良く、仲間と和気あいあいと仕事をしています。現地スタッフの方とも、日本ほど多くはないけれども歓迎会・送別会・クリスマス会などで親交を深めたり、年始には餅つき大会を開いて現地スタッフの方にも餅を振舞ったりしています。現地スタッフの結婚式にも参加したことがあり、海外の文化に直に触れることができました。
Interview 5
異文化に興味がある人は、
きっとどんな場所でも活躍できる。
私が思う"仕事ができる人"や"一緒に働きたい人"に共通するのは、フットワークが軽く、色々な事に興味を持ってくれる人です。日本国内勤務では就航便の数も多く目の前の仕事ばかりになりがちですが、海外支店勤務では就航便が週2回ということもあり、現地での生活や文化に触れることも楽しみ、多様に学ぶ機会がとても多いように感じます。
私は学生時代の海外経験が無いのですが、それでもうまくやれています。新しいところに住み、新しい人と触れ合うことが好きです。部署異動や海外勤務は自分自身を成長させてくれるし、そこで新たな気づきも多くなります。異文化に興味がある人は、きっとどんな場所でも活躍できる。就活生の皆さんにも将来はぜひ、ANAで海外勤務にチャレンジしていただきたいです。
career
- 2003年4月
- ANA 機体メンテナンスセンター 整備6課
- 2010年7月
- ANA 千歳空港支店 整備課
- 2015年12月
- ANA マニラ支店(実務研修)
- 2017年4月
- ANA 機体事業室 機体計画部整備体制チーム
- 2020年4月
- ANA ブリュッセル支店 整備