CEOメッセージ
ANAは1952年に、「日本ヘリコプター輸送株式会社」として事業をスタートしました。第2次世界大戦終結後、日本の民間会社による航空機の運航は全面的に禁止されてきましたが、私たちの先輩は「日本の空を民間の手に取り戻す」という熱い想いで、運航禁止解除のわずか2年後に会社を設立したのです。2機のヘリコプターと28名の社員で始まった大変小さな会社でしたが、「高潔な企業でありたい」「独立独歩できる企業でありたい」という高い志を持っていました。限られたリソースの中でできることを社員全員で日夜真剣に議論し、郵便の配達、農薬散布、ビラ配りなど「やれることは全てやった」という逸話が残っています。時代のニーズを敏感に捉え新たな価値を創造した点では、現代の「ベンチャー企業」と呼ぶに相応しいものだったと思います。
ANAグループはその後、成長の過程の中で幾度も逆風に見舞われてきましたが、常に真正面から困難に立ち向かい、ピンチをチャンスとして乗り越える「挑戦の歴史」を刻んできました。これも、先輩方から継承してきた「ベンチャー精神」がDNAとして息づいているからです。
私たちを象徴するもう一つのキーワードが、「多様性」です。ANAが現在に至るまで、3つの会社が合併してきたことはあまり知られていません。その過程で、豊かな個性がぶつかり合いながらも互いを尊重し合い、挑戦を恐れない姿は「野武士集団」とも呼ばれ、まさに現在の「DEI」につながる企業文化を紡いできました。背景や価値観、意見の違いを超えて徹底的に議論し、一つの目標・目的が定まったら一致団結して突き進んでいく、このANAの企業文化は今も深く根付いており、ベンチャー精神と共に過去幾多の困難を乗り越えるための礎となっています。
経営学者のピーター・ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る」という言葉を残しています。企業の発展には企業文化が大切であること、また「企業とは人であり、その知識、能力、絆である」という言葉も、まさにANAが大切にしている価値観そのものです。
ANAは今、第二の創業期を迎えています。予測困難な時代が続く中、大事なことは「未来をどう読むか」だけではなく、「どのような未来を創りたいか」、「それに向けてどのように行動を起こすか」です。この価値観を大切に、私たちと一緒に未来を切り拓いていける皆さんの挑戦を、心よりお待ちしています。
私たちは、創業時の、熱い志を胸に挑戦し続けます。
どうせやるならあかるく楽しく、
社員みんながワクワクする魅力ある会社を一緒に創っていきましょう!