2024年5月31日
機内で使用されているカーテンの再生利用を開始しました。
機内ではギャレーとクラス間の仕切りとして、カーテンが使用されています。その他にも機内では乗務員が使用する休憩室でもカーテンが使用されており、機種によって枚数は異なりますが、ボーイング787型機の中で最も装備数が多い仕様ではなんと1機あたり38枚のカーテンが機内に取り付けられています。そのカーテンは、定期的にクリーニングを実施していますが、クリーニング後に糸のほつれや破損等状態が良くないものは廃棄されていました。整備部門が中心となって、自社でカーテンを修理することでカーテンの廃棄量を削減できないかという観点でカーテンの再生利用を開始しました。
カーテンの再生利用開始までには、多くの困難がありました。担当者のANA整備センター所属の市川さん、國武さん、新井さんは、約1年の間、クリーニング後のカーテンのうち廃棄と判断されたものを約200点収集し、廃棄の原因の究明に加え、修理が可能かを一つひとつ精査し、不具合の傾向を特定した結果、約8割のカーテンは再生が可能ということがわかりました。修理に用いるマテリアルの調査と入手には機体メーカー、カーテン製作会社や部品製造会社との調整が必要で、多大な時間を要しました。また、修理を行うために工業用ミシンを新たに購入して4名の整備士にミシンの使用方法を訓練し、修理の体制を整えました。カーテンの種類や枚数は機種によって異なりますが、エアバスA320型機、エアバスA321型機、ボーイング777型機(一部仕様除く)から運用を開始しており、2024年4月からANAが最も多く保有しているボーイング787型機のカーテンの一部で運用を開始しました。廃棄されるカーテンの約半数はボーイング787型機から排出されるため、今後カーテン再生利用の大きな効果が期待されます。
コロナ禍前の2019年度には年間で約600枚ほど廃棄されていた客室カーテンですが、客室カーテン再生利用を開始した2023年7月から2024年4月現在までの10カ月間で約100枚の廃棄量を削減できました。2024年4月からボーイング787型機の一部のカーテン再生利用が開始となり、より多くの廃棄量削減が見込まれます。
ANA整備センターの市川さん、國武さん、新井さんにインタビューしました。
客室カーテンの修理再生に向けて、私たち整備部門では機体メーカーとの調整、整備士が使用する手順書の作成、修理用部品の調査などの準備を行ってきましたが、その他にクリーニング後の検品方法の見直し、修理用部品の調達、工業用ミシンの購入、整備士によるミシン操作の習得など、社内外との調整にも時間を要しました。今回カーテンの修理が実現できたのも、社内外含め多くの関係者の方々にご協力いただいたおかげです。
最近修理を始めたボーイング787型機には多くのカーテンの種類がありますが、まだ一部しか開始できていないため、今後はより多くの種類のカーテンにも展開していきたいと考えています。また、カーテンだけではなく航空機には多くの部品が使用されています。日々私たちが点検を行っている身近な部品の中にもまだ使えるのにも関わらず廃棄しているものはないか着目しながら、SDGsに取り組んでいきたいと思っています。
ANAグループはこれからも資源の再利用や廃棄量削減に取り組んでまいります。
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