日本の希望溢れる未来のために
万博に行こう!

 新年おめでとうございます。今年もANAにご搭乗いただき、誠にありがとうございます。

 さて、今年の4月、いよいよ「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開幕します。
ANAグループは「ワクワクで満たされる世界を」というビジョンのもと、昨年12月に特別デザインの「EXPO2025 ANA JET」の就航など、さまざまな取り組みを通じて、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の共創を目指しています。

 実は私自身、今回の万博に特別な想いを持って心待ちにしている一人です。1970年、当時小学6年生の私は、両親に連れられて神奈川から初めて新幹線に乗り、その速さに驚きながら、大阪・千里で開催された「大阪万博」を訪れました。敗戦から立ち直り25年経った日本は高度経済成長期の真っ只中で、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国となっていました。大阪万博は日本中がそんな熱気と未来への希望に包まれる中で開催されたのです。

 会場に近づくと、巨大な「太陽の塔」が目の前に現れ、その壮大さに思わず息を呑みました。「この塔には3つの顔がある」と、父が教えてくれました。未来を象徴する光り輝く「黄金の顔」、現在を象徴し苦悶の表情にも見える「太陽の顔」、そして過去を象徴する「黒い太陽」。その時の感動は今でも忘れられません。この塔はただのオブジェではなく、日本が「暗い過去」から「黄金の未来」へと進むというメッセージが込められていると、私の心に強く響いたのです。

 また、初めて海外の方と出会ったのもこの万博でした。各国のパビリオンでは、目や髪や肌の色が異なる人々が、さまざまな国の衣装に身を包み、それぞれの母国語で私たちを歓迎してくれました。言葉はわからないですが、その笑顔とエネルギーが真っすぐ伝わり、私の心に「まだ見ぬ世界への憧れ」が芽生えました。今の私の原点が、まさにこの瞬間にあったと感じます。

 1970年の大阪万博で小学生の私が受けたインパクトは計り知れません。万博は世界各国が一堂に会し、未来の可能性を共有する場です。その場が放つ異次元のオーラの力は、実際に会場にいなければ感じ取ることは難しいかもしれません。

 今回の大阪・関西万博も、これからの時代を築く若者たちが、かつての私のように、世界への興味と未来への希望を抱くきっかけとなればと期待しています。時代は変われど「未来は創るもの」であることに変わりはありません。そのお手伝いをぜひANAがさせていただきたいと思います。

 巳年の今年、「巳」にあやかり、皆さまとともに繁栄・成長し、健康で豊かな年にしていきたいと、新春の決意を新たにしています。

 今年も皆さまにとって、よい年でありますようお祈り申し上げます。

全日本空輸株式会社
代表取締役社長 井上慎一