この日は、4月から始まったANA『STAR WARS プロジェクト』の旗印である、『R2-D2™ ANA JET』遊覧フライト当日。羽田空港に集まったのは、事前応募の中から選ばれた50名のお客様。思い思いのコスチュームに着替え、熱気に満ちていた。
間近で見る機体は大迫力だ。シリーズお馴染みのドロイド『R2-D2』をモチーフに特別な塗装が施された巨体が、多くの人目を引いていた。まるで、地球の外に飛び立つ宇宙船のような佇まいだ。
その光景を感慨深く見つめているのは、このプロジェクトの当初から携わってきた、マーケットコミュニケーション部の谷口真平。発端は、昨年4月にさかのぼる。
谷口「弊社の社長や役員、私の上司含め、最初の『スター・ウォーズ』ブームを体験した世代だったので、やろう!と」
ANAマイレージクラブ会員の満足度向上の施策を行うロイヤリティマーケティング部の久保田真平も、当時からのメンバーだ。
「会員数は現在約2800万人。そこには当然スター・ウォーズファンも多くいらっしゃる。既存のお客様、そしてこれからお客様になる方々にも、喜んでいただける素晴らしい機会だと思いました」
かくしてANA『STAR WARS プロジェクト』が発表されたのは、今年の4月。
谷口「この4月16日に米国で『スター・ウォーズ・セレブレーション』という世界一大きなファンイベントがあって、そこで1/20サイズの模型をお披露目しました。多くの方の反響をいただき、うれしかったですね」
SNSでも拡散し、世界中のメディアで伝えられた。その一方『R2-D2 ANA JET』の製作は着々と進められていた。
「基本セットはヘッドレストカバー、紙コップ、紙ナプキンで、どれも『R2-D2』をイメージしています。搭乗中には有名なテーマが流れ、ライトセイバーをイメージした、ブルーとレッド基調のLED照明が点灯。光と音のショーが始まるんです」
シリーズの大ファンだという商品戦略部のクズネツォヴァ・エフゲニアの談。さらに、絵はがきや玩具、アナウンス前に流れる『R2-D2』の電子音など、ファンにはたまらない演出が目白押しだ。加えて世界初となる、歴代『スター・ウォーズ』シリーズ映画の機内上映も期間限定で提供する(11月〜12月:EPS 4,5,6 12月〜1月:EPS 1,2,3)。
エフゲニア「さらに機内販売も予定しているので、期待してください」
谷口「すごく楽しい仕事をさせていただいています。各部署が集まった連携はこれまでもあったのですが、ここまで大規模なものはありませんでしたね」
エフゲニア「チームワークを感じながら仕事をしました。いろんなアイデアをいろんな人からいただいて、ワクワクしながら仕事に臨めています」
なにせANAとしても大型プロジェクト。それだけに、それぞれが得るものも非常に大きかったようだ。
久保田「普段、お客様と直接お会いする機会が少ないのですが、お客様の笑顔を拝見できたときは本当にうれしくてモチベーションがさらに上がりました」
現在、ANA『STAR WARS プロジェクト』は、運航中の『R2-D2』仕様に加え、12月公開の新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に搭乗する新型ドロイド『BB-8』仕様、2体のドロイドが機体に描かれた仕様の2機が、国際線と国内線で順次就航予定だ。しかしプロジェクトはこれにとどまらない。なにせ、契約期間は5年。取り組みはまだ始まったばかりなのだ。
谷口「今年の新作公開からの3部作、来年のスピンオフ作品公開など、『スター・ウォーズ』はしばらく続きますから、ANAのプロジェクトのこれからにもぜひ期待してください」
やがて空港では、お客様を交えたセレモニーと記念撮影が終わり、搭乗が始まった。機内には、特別なアメニティや内装、特別プログラムの機内放送が準備されていた。
ストームトルーパーやチューバッカ、ダース・ベイダーやデス・スター(!)とシリーズお馴染みのキャラクターに扮したお客様で、機内は活気に溢れていた。
乗務員たちも心なしか楽しそうに見える。たとえば機内アナウンス。「ハン・ソロ(ハリソン・フォード演じる人気キャラクター)に代わりまして」と前置きした機長によると、「安全上の配慮からハイパードライブ(劇中で登場するワープ航法)は用いないことになっています」とジョークを交えながら、「R2-D2 ANA JETはミレアニム・ファルコン(劇中で大活躍する宇宙船)の約2倍の大きさです」と説明。「フォースと共にあらんことを」と締めくくった。
谷口「離陸のときからウルッときてしまいました。やっと飛んだという思いがありました。温かい雰囲気のなか、お客様にも一緒に盛り上げていただいて、本当に感動しました」
エフゲニア「みなさん楽しんでいただいているようで、すごくうれしいですね」