世界屈指のマス釣り場
世界各地から釣り人が訪れるニュージーランド南島の魅力は、風光明媚さと釣れるマスの大きさに尽きる。青すぎるほどの青空、乾いた風、氷河を頂く山脈、鬱蒼と茂るブナの森、可憐な花の咲き乱れる草原。その多くの場所に悠然と泳ぐ大きなマスの姿がある。平均で50~60cmの大きなマス。澄んだ流れの中で、ゆっくりと流れるエサを食べる様子は、どんな釣り人も興奮と歓喜の世界へといざなう。
ニュージーランドのマスが白昼堂々と泳いでいるのは、天敵がいないからだと言われている。大型のマスを襲う哺乳類がまずいない。そして釣り人となる人口そのものも少ないからだ。オーストラリアの東に浮かぶ細長い国土、同じ島国の日本と比べて面積で7割ほどの土地に人口は450万人、日本のわずか28分の1。南島はその少ない人口のうちの100万人ほどしか住んでいない。また、西岸海洋性気候という温暖な気候も大型のマスを育む素地となっているようだ。
南島の釣り場は大きく分けて四つのエリアに分かれる。北部の広大な森林地帯を擁するネルソン地区、島の中心都市であるクライストチャーチと島中央部に広がる乾燥した高原地帯、島を縦断するサザンアルプス山脈の西側で山岳渓流の多いウェストコースト地区、そしてクイーンズタウンを中心とした氷河湖周辺や、南部の穏やかな農作地帯にあるサウスランド地区。どのエリアも魅力が尽きないが、とりわけサザンアルプス山脈を見渡せる島中央部から南部にかけての美しい高原地帯は、氷河から流れ出る青い川の風景と相まって、ニュージーランドのマス釣りのハイライトといって過言ではないだろう。
魚を見つけて攻略するサイトフィッシングの醍醐味
大型のマスが多く生息するニュージーランドではあるが、緩い流れで泳いでいるマスたちは簡単には釣れない。日本と同じ感覚で、ポイントに近づくと「スプーク」といって気配を察して逃げて行ってしまうからだ。魚がいそうな場所を見つけたら、下流からそっと近づいて、まずは魚の姿そのものを捜す。見つけたら気付かれる前に、相手の鼻先にフライ(毛ばり)を投じるのが、「サイトフィッシング」という現地の伝統的なフライフィッシングの釣り方。この釣りが世界中のフライフィッシャーを夢中にさせる。
毛ばり=フライは魚の食べているものと似た姿かたちのものを用意する必要がある。10~11月の早期はカゲロウなどの水生昆虫の羽化があり、その姿を模したドライフライが有効だが、川の水位が下がり気候が安定する夏場は陸生昆虫のパターンが効果的だ。盛夏にはグラス・シケーダと呼ばれる小型のセミが羽化し、川辺の草原から落下するのを待ち構えるマスもいるため、セミなどのやや大型のパターンも有効である。ニンフフライという沈めて使う小型の毛ばりはどんな場面でも効果があり、ドライフライには見向きもしないマスもこれで容易に釣れることがある。
釣りをする際は、一般的に現地のフィッシングガイドを雇う。国の好調な経済発展を受けて、ガイドフィーは上昇しており一日600~800ドルほど。それでも人気で予約は取りにくい。早めの計画がおすすめである。あるいは、レンタカーを借りてあちこちにあるキャンプ場などを利用しながら星空の下で眠り、気ままに釣り旅を楽しむのも贅沢な時間の過ごし方かもしれない。
この旅のインフォメーション
行き先
- ニュージーランド・南島
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日本からはオーストラリアのシドニーや北島のオークランドを経由して南島のクライストチャーチ、あるいはクイーンズタウンなどの各地へ。降機地からはレンタカーを利用する。
気候(クライストチャーチ) | 平均最高/最低気温(℃):22.5/11.1(1月)、22.5/11.6(2月)、20.2/9.7(3月)、17.7/6.9(4月)、15.6/4.4(5月)、12.3/1.6(6月)、12.1/0.6(7月)、12.4/2.2(8月)、14.4/3.8(9月)、17.2/5.7(10月)、18.9/7.6(11月)、21.3/10.7(12月) 降水量(mm):44(1月)、35(2月)、72(3月)、44(4月)、50(5月)、85(6月)、46(7月)、51(8月)、36(9月)、51(10月)、40(11月)、53(12月) |
通貨・公用語 | 通貨はNZドル(1NZドル≒73円)。公用語は英語。道路は日本と同じ右側通行。 |
ビザ | 3ヵ月以内の観光目的の渡航にビザは必要ない。 |
釣り場情報
対象魚 | ブラウントラウト、レインボートラウト |
シーズン | 南島の釣りの解禁期間は、河川によってややバラつきはあるが、概ね現地で夏にあたる11月から4月末まで。好天が多く風の弱まる1~3月がベストシーズン。南半球のニュージーランドは日本と季節は真逆になる。 |
ライセンス | Fish & Game NZのウェブサイトでの購入が一般的。釣りショップ、雑貨屋などでも購入することができる。非在住者は大人1日20NZドル、一年券が169NZドル。 |
タックル | ニュージーランド南島でのマス釣りはフライフィッシングが一般的だがルアーが可能な場所も多い。河川によってレギュレーションは異なる。大きな川や湖ではエサ釣りが可能な場所もある。マスの大きさが50~70cmに達し、また強い風が常に吹く状況もあるため、それに見合った強めのタックルが必要な場合と、逆にナーバスな魚を相手にすることもあるため、インパクトの少ない繊細な釣りができるタックルの両方が必要になる。 ルアー:ロッドはライトなULとパワーのあるMLで、6~7フィートが一般的。ルアーはトラウト用のスピナー、スプーン、ミノーの各種。ワームは禁止されている場合があるので注意が必要。 フライ:5番か6番の8フィート5インチ~9フィートのロッドがおすすめ。フライではフックサイズ10~18番のドライフライとニンフ、湖や大川ではストリーマー。フライと一体になっていないスプリットショットなどのオモリは使用が禁止されているので注意が必要である。 |
ウエア | ウエーダーやウエーディングブーツは日本で使われる一般的なもので充分。ブーツのソールはフエルトが禁止されているのでラバー製でなければならない。また各装備はすべて充分に洗浄され、かつ乾燥されていないと国内に持ち込むことができない。入国審査時に厳重なチェックをされる場合があるので、新品の持ち込みが確実。 天候が悪化すると夏でも気温が一桁になることがあるので、レインウエアの他にインサレーション入りのジャケットがあると寒さをしのげる。日差しが非常に強いため、日焼け止めなどの対策も必要。また森にはサンドフライという吸血虫が多いので、虫除けも必須アイテムである。 |
- 釣り場情報は2018年9月現在のものです。