ダイナミックな磯釣り
天保12年(1841年)、漁に出ていた船が嵐に遭遇したのち、伊豆諸島の鳥島でアメリカの捕鯨船に救助され、その後、太平洋を渡ってアメリカで英語、数学、航海術、造船技術を学んだジョン万次郎。間もなく明治維新が始まろうという激動の時代に帰国し、江戸、明治にわたって、当代きっての世界情勢通として活躍することになる国際人は、足摺半島の南端、足摺岬の西側にある中浜地区に生まれた。
足摺岬は太平洋の荒波が打ち寄せる景勝の地。磯釣りも盛んで、半島の西の付け根にある竜串、足摺岬の西側にある松尾、伊佐、半島の東側にある竜串など、各所の港には磯釣りファンを沖の磯場に乗せる渡船店が営業しており、磯釣りで人気のメジナ、イシダイをはじめ、イサキ、ヒラマサ、カンパチなどを求めて多くの釣り人が訪れる。磯釣りは秋が深まり冬に入るこれからが本格シーズン。渡船店の中にはレンタルタックルによる釣り体験コースを実施しているところもあり、港から近い場所でメジナ、イサキ、小型のハタの仲間などを釣ることもできる。
港内のクロダイねらいもおすすめ
また、足摺半島の中心地である土佐清水市内の清水港などでは、型のよいクロダイがねらえる。クロダイは川(真水)が注ぐ穏やかな港内や湾を好み、足摺半島にはこのような条件を満たしている場所が意外に多い。メジナやイシダイに比べると、地元の釣り人にねらう人は少ないが、清水港ではクロダイの稚魚放流が実施されたこともあり、観察して歩くと50cmほどの型のよいクロダイが泳ぐ姿を見つけられる。土佐清水市内には釣具店がいくつかあるので、必要な釣り具を購入するついでに、釣り場選びのアドバイスをお願いすれば、思わぬ大ものに出会える可能性も高い。
黒潮洗う沖合の船釣り
そして、足摺半島に来たら太平洋の大海原に出ての船釣りも楽しい。足摺の沖合には、大陸棚が落ち込んで壁になり、そこに黒潮が直接ぶつかってプランクトンやそれを食べる小魚、さらにその小魚を捕食する大型魚が集まる、六の瀬、高取の瀬、太田の瀬、森の瀬といった好漁場がいくつも展開している。代表的な対象魚はカツオ、キハダ、ビンチョウ、ハガツオ、カンパチなどの回遊魚。釣り方はルアーを使うジギングや、生きた小魚をエサにする泳がせ釣りだ。また、ジギングは沖合の釣り場だけでなく、陸から比較的近い釣り場でも楽しめる。マダイ、キダイ、ハタの仲間などがより手軽にねらえて楽しい。
沖合では深海釣りも人気だ。いずれも美味なことで知られる、ハマダイ、メダイ、アオダイ、クロムツなどが対象魚。こちらはサバやイカの切り身を付けたハリを多数取り付けた深海釣り仕掛けと専用のタックルでねらう。
食も見どころも充実
土佐清水市内の居酒屋などで食べられる「清水サバ」は、生きたまま水揚げされ、刺し身で食べられるブランド魚。しっかりした歯ごたえと旨み充分の刺し身は一度試してみる価値がある。カツオのタタキも、発祥の地は土佐清水という説があり、新鮮なものが各所で食べられる。お土産には名産の宗田節(ソウダガツオの鰹節)もおすすめだ。
前述の竜串には、土佐湾の海を再現した巨大水槽のある足摺海洋館があり、一帯は日本初の海洋公園。また、清水港や窪津漁港からは、体長7~8mのニタリクジラやイルカの群れを眺められるホエールウオッチング船も出船している。
釣りも観光もメニュー豊富な足摺半島は、四季を通じて旅を楽しめる。
この釣り場へのアクセス
高知空港からレンタカーを利用。高知自動車道南国ICから終点の四万十町中央ICを経由して、R56、R321経由で土佐清水市内までおよそ3時間。
釣り場情報
〈足摺岬/メジナ、カンパチ、クロダイなど〉
シーズン | 通年(台風などの影響で海に出られない場合をのぞく) |
問合先 | 岡野渡船(足摺。https://okanotosen.jimdo.com/)、 中澤渡船(足摺。https://nakazawatosen.com/) 西本渡船(竜串。http://nishimoto-tosen.official.jp/)、 竹本釣具店(土佐清水市内。http://asmh.sakura.ne.jp/) |
- 釣り場情報は2016年10月現在のものです。