全国のファンが憧れる大もの釣り場
高知県宿毛市の南西沖約24kmに浮かぶのが沖の島。隣の鵜来島と合わせて、高知県内でほかにない有人離島となっている。
周囲は黒潮が踊る真っ青な海に囲まれており、足摺宇和海国立公園の一部だ。透明度は日本有数であり、数多くのダイビングスポットがあるほか、魚類やサンゴ礁などの海洋生物も豊富で約1000種類を超すといわれる。また、四国一早く海開きする「うどの浜」など海水浴場も2ヶ所あるほか、キャンプ場などもあって訪れやすい。
アクセスは宿毛の片島港から沖の島の母島(もしま)港、弘瀬港と鵜来島港に寄港する定期船が1日に2往復する。港周りでの釣りも楽しいが、この島で人気があるのはなんといっても磯釣りだ。
現在のように多くの磯釣りファンが島を訪れるようになったのは昭和40年代からのこと。昭和40年代前半に、まず四国西南部、豊後水道沿岸の磯釣り場が空前のブームに沸き、大型のメジナが釣れることで有名になった。ただ、連日のように好釣果があがれば釣り人も増える。数ある磯釣り場はやがて満員御礼状態となり、そこで一部の釣りファンが、さらに南の豊後水道出口に浮かぶ沖の島・鵜来島エリアに目を付けた。
初期はメジナの中でもクチブトメジナがよく釣れたようだが、徐々に大型のオナガメジナが釣れだし、さらに同じ磯からねらえるクチジロ(イシガキダイの大もの)やヒラマサも注目を集めて時代は平成へ。平成14年にクチブトメジナの67.5cmが出たこともあり、あらためて全国にその存在を知られるようになった。
渡船は沖の島地区に7軒、鵜来島地区に5軒あり、それぞれ日替わりで担当磯着けエリアをローテーションしている。また、各渡船店直営もしくは斡旋の民宿で宿泊すれば、翌朝は優先的に好みの磯に上がれるシステムをとっている。特に関西方面からの釣り人に沖の島や鵜来島の人気が高いのは、こうしたシステムによるところも大きい。四国の高速道路もどんどん延長されて、関西圏からであれば日帰りも不可能ではないが、沖の島・鵜来島の魅力を知るならやはり1泊2日以上の滞在に分がある。
タックルは頑丈なものを
4~6月の春~梅雨シーズンはオナガメジナ釣りの絶好期。特にゴールデンウイーク前後はフカセ釣りで大型が釣れる。オナガメジナをねらう場合は、サオは2号、ミチイトは3号、ハリスも2.5号よりは落とさないほうがよい。クチブトメジナがメインの釣り場の場合でも、サオは1.75号以上、ミチイトはナイロンの2.5号、ハリスもフロロカーボン2号以下には落とさない。
また、フカセ釣りでメインのエサはオキアミになるが、注意点として、沖の島・鵜来島では生のオキアミと配合エサの使用が禁止されている。そこで、実際はボイルされたオキアミ、赤アミ以外は持ち込まないことになり、1日の釣りで必要なエサはボイルのオキアミが6~9kg、赤アミが4~8kgが標準になる。
メジナだけでない魅力的な対象魚
また、春は同じフカセ釣りでねらえるイサキも楽しい。年によっては30~40cmの良型がひとつの磯で何十尾と釣れることもある。また、春から初夏は前述のイシガキダイやイシダイ、ルアーフィッシングでねらえるヒラマサ、ブリなどの青ものも好シーズン。さらに港周りの堤防釣りでも、磯釣りに負けないような型のよいメジナやイシダイ、そして特大サイズのアオリイカなどがロッドを絞り込んでくれるチャンスがある。
島の集落は急傾斜地に段々畑のように家が立ち並んでいる。花崗岩を使った美しい石段や石垣がとても印象的で、時間がゆっくり流れている。そんな人の住む離島の魅力も兼ね備えた釣り場に滞在しながら、思う存分大ものをねらう時間はなんともぜいたくだ。
この釣り場へのアクセス
松山空港や高知龍馬空港から、沖の島への渡船が出る宿毛市の片島港までレンタカーを利用。両空港から高速道路利用で約3時間。車は各渡船店の駐車場、もしくは渡船組合の協同駐車場へ停められる。
釣り場情報
〈沖の島・鵜来島/メジナ、イサキ、ヒラマサ、ブリ〉
シーズン | 通年(台風などにより釣りが不可能な日もあり) |
---|---|
問合先 | 沖の島渡船連合会(渡船は要予約。すべて片島港から出船。島に宿泊の場合は磯付け前に最寄りの港へ迎えに来てくれる。 http://www.oki-shin.com/isoduri.htm)、 片島磯釣りセンター(エサの販売のみ。TEL:0880-62-1091)、 宿毛市営定期船片島扱所(https://www.city.sukumo.kochi.jp/docs-05/p0325.html) |
- 釣り場情報は2015年5月現在のものです。