深い峡谷を縫う流れで迫力満点の川下り
坂東太郎の利根川、筑紫次郎の筑後川と並び、四国三郎の異名を持つ吉野川。本流は徳島県と高知県を流れますが、支流を含めるとその水域は四国四県すべてに広がっています。急しゅんな山から流れ出す大河は、かつては暴れ川としても知られ、激しい流れが山間部の岸壁を削ることで、「大歩危(おおぼけ)小歩危(こぼけ)」などの景勝地を生み出しました。
大歩危小歩危の絶景とその間を縫う吉野川の流れは、一年を通じて運航している観光遊覧船で楽しむこともできますが、夏季に訪れるならぜひ挑戦したいのがラフティング。激流の水しぶきを全身に浴びながら、迫力満点の川下りを体験できます。
流域の三好市には、経験豊富なインストラクターがガイドする複数のラフティングガイドサービスがあり、初めての体験者にも十分に配慮したプランのもと、誰でもダイナミックな川下りを体験することができます。半日コース、1日コース、ファミリーコースなど複数あり、流れの緩やかな場所では、川に飛び込んで泳ぐといった遊びもできます。
【複数のプランが選べるラフティングガイドサービス】ゴーゴーアドベンチャー
- 住所:徳島県三好市山城町信正1153
- TEL:090-4505-5515
- ウェブサイト:ゴーゴーアドベンチャー
全国のファンが憧れる夏のアユ釣り
また、吉野川の夏の名物には、全国からファンが訪れるアユ釣りがあります。吉野川の源流部には樹齢100年を超える広葉樹の天然林が広がっており、川の水は真夏でも冷たく清らか。そのおかげで、夏の間に川の中の石に生える新鮮なコケを食べて成長するアユが、吉野川では特に大きく太く育ちます。
そのたくましい魚体で水量豊富な流れを下るため引きの強さも圧倒的。その感触を一度でも味わってしまうと、アユ釣りファンは遠路はるばる訪れる必要があっても、毎夏の吉野川詣が欠かせなくなります。
秘境の温泉宿で過ごすゆったりとした時間
そんな吉野川の支流には、日本三大秘境に数えられる祖谷渓(いやけい)があり、深く切り込んだ谷の中には「祖谷温泉」があります。周辺には日本三奇橋に数えられ、国の重要有形民俗文化財にもなっている「祖谷のかずら橋」などがあり、散策で小腹が空いたら、険しい山間の地で代々受け継がれてきた祖谷そばを味わうといった時間が過ごせます。
和の宿 祖谷温泉
- 住所:徳島県三好市池田町松尾松本367-28
- TEL:0883-75-2311
- ウェブサイト:和の宿 祖谷温泉
かずら(正式にはシラクチカズラ)は、別名サルナシとも呼ばれる、山に自生するつる植物で、本来であればより丈夫な木材で作るべき橋に利用したのは、その昔に山深いこの地に逃れて来た平家の落人が、万一追っ手が迫った時もすぐに切り落とせるように考えたのが始まりともいわれています。
祖谷そばは、米の栽培に適さない急しゅんな土地で、山間部ならではの寒暖差を生かし育てられるそばが特産品になったもので、つなぎを使わないため切れやすいのが特徴。静かな宿で良質な湯につかり、悠久の歴史や自然にも触れながら、素朴な味わいを楽しめばどこか心が落ち着きます。
夏の徳島が華やぐ阿波踊り
そうした自然の中での時間も魅力的な徳島ですが、チャンスがあればこちらもおすすめなのが阿波踊り。発祥は城の完成を喜んだ殿様が「好きに踊れ」と命じたからともいわれますが、徳島空港もある徳島市では、毎年8月12日から15日まで、国内外から100万人以上が見物に訪れる本場の「阿波おどり」が開催されます。連(れん)と呼ばれる複数の団体が、それぞれの踊りを披露しながら練り歩く様は活気に満ちて壮観。艶やかな女踊り、振りが大きくダイナミックな男踊り、どちらも引き込まれます。
【徳島市阿波おどりの最新情報】 阿波おどり未来へつなぐ実行委員会
- ウェブサイト:阿波おどり未来へつなぐ実行委員会
なお、徳島市内の居酒屋や焼鳥店では、阿波踊りにちなんで名づけられ、現在では生産量日本一の地鶏となっている「阿波尾鶏」も食べられて非常に美味。県内では徳島市以外でも食べられますが、地元では骨付き肉を焼いただけのものが特に愛されています。お店によっては、ひな鳥と親鳥があって、肉が固いものの滋味が深い親鳥はぜひ味わってほしい逸品です。
アクティビティもグルメもユニークな体験が待っている夏の徳島に、ぜひお出かけになってみてはいかがでしょう。
- 記載の内容は2023年4月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
協力:つり人社