[主な生息地]
東京都・八丈島
和歌山県/三重県・紀伊半島
長崎県・五島列島
野武士のような風貌と強烈な引きで魅了する磯の王者
左右4枚の歯が癒合した鋭いクチバシ状の口を持ち、大型になると魚というよりも爬虫類、あるいは獣を思わせる独特の風格を備えるイシダイ。釣り人はその迫力と好敵手ぶりから、この魚を「磯の王者」と称える。なかには〝イシダイ師〟と呼ばれ、この魚だけに深く魅入られた釣り人たちが存在するほどだ。
生息域は北海道以南の浅海、および南シナ海の沿岸など。潮通しのよい岩礁帯に棲み、暖流の影響を受けた浅い海に多く泳ぐ。大きさは50cmを超えれば大ものと呼べるが、70cm・6~7kgクラスも釣られており、最大では80cmに達すると考えられている。成魚は岩の穴や隙間などに潜み、海底付近を泳ぎ回って生活するが、一方で幼魚は堤防の周辺や海水浴場などでも観察できる。
イシダイは成長とともに姿を変える。幼魚・若魚には7本の明瞭な黒色の縞があり、メスは成長してもこの縞が残る一方、オスは老成するにしたがって縞が消失していき、やがて体色は銀色を帯びる。またオスメスともに成長すると口の部分が黒くなる。このようすから、大型に育ったイシダイは〝クチグロ〟と呼ばれる。さらにオスの成魚は〝銀ワサ〟とも称される。その姿は前述のとおりどこか威厳を感じさせるほどだ。
釣りは丈夫な歯で噛み切られないよう、また、イシダイの棲み処である岩場で根ズレにより切れないよう、丈夫なワイヤーをハリスに使う。その先には太く重いイシダイバリを取り付け、エサはイセエビ、アワビ、サザエ、ウニ、カニなどを噛み砕いて食べている食性に合わせ、ガンガゼ(ウニの一種)、マガニ、ヤドカリなどを使う。ハリに掛かると強烈な突っ込みを見せ、棲み処である根からいかに引き剥がすかの真っ向勝負。それだけでなく、丈夫な歯で何度もエサだけを噛みちぎって行く狡猾さもあるからこそ、イシダイを手にした釣り人は、知力と体力を駆使してついに磯の王者と巡り合えた幸福に酔いしれる。
タックル情報 & おすすめフィールド情報
タックル情報
強靭なタックルに太いイトとワイヤーのハリスを使い、ブッコミ釣りや南方宙釣りと呼ばれるスタイルでねらう。エサはウニやヤドカリ、サザエなど
- ブッコミ釣り
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置きザオを基本としたスタイル。サオは5~5.4mのイシダイ専用ザオを使用。リールはナイロンの20号を200m以上巻ける大型両軸リールをセットする。イシダイの通り道となる磯際にエサを置いて待つため、仕掛けは根掛かりを考慮した捨てオモリ仕様。瀬ズレワイヤーの先に三ツ又サルカンを取り付け、一方に捨てイトとオモリ、もう一方にワイヤーハリスにセットしたイシダイバリ14~18号をセットする
- 南方宙釣り
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主に九州で見られる、手持ちで急深の足下をねらうスタイル。サオは軽めのイシダイ専用ザオ4.8~5m、リールはナイロン20号を100~150mほど巻ける両軸受けタイプになり、仕掛けは瀬ズレワイヤーに中通しオモリを通した先に、ワイヤーハリスにセットしたイシダイバリ14~18号をセットする
おすすめのフィールド3選
1.東京都・八丈島
伊豆七島の最南に位置する八丈島は、磯釣り天国ともいわれるほど数多くの釣り場を擁し、イシダイや近縁のイシガキダイ(クチジロ)の釣りも盛ん。島はひょうたん型をしていて、八丈富士と三原山のふたつの火山からなり、風が強くても風裏をねらえば釣りができる。過去には10kgオーバーの超大型イシダイも釣られている
2.和歌山県/三重県・紀伊半島
太平洋に大きく突き出た紀伊半島は、本州最南端の町・串本の先で太平洋に突き出た潮岬周辺、熊野灘に面した三木里周辺、さらに志摩半島の東端にあたる大王崎周辺など、地磯から少し離れた無数の沖磯まで、各地の渡船店を利用して渡れる多数のイシダイ釣り場が広がる
3.長崎県・五島列島
長崎の五島列島は、周辺に浮かぶ大小の島、独立した岩礁を含め、一帯が全国でも有数のイシダイ釣り場となっている。白瀬灯台、沖黒瀬、帆揚瀬、三ツ瀬、大瀬崎などのポイントは特に有名。さらに、かつてはイシダイ釣り場といえば、切り立つ高所が相場だったが、近年は遠投釣りの発展とともに、さらにイシダイがねらえる場所が増えている
- このページの情報は2017年9月現在のものです。