[主な生息地]
北海道・猿払川
北海道・朱鞠内湖
北海道・天塩川
アイヌが敬い、ペリーが世界に紹介した大型淡水魚
イトウは日本に生息する淡水魚の中でも、最も大きく育つサケ科の魚。
北海道の先住民族であるアイヌには、イトウがヒグマを飲み込んだという伝説がある。
実際、道東の十勝川では昭和12年に2m以上が、道北の天塩川でもそのクラスが過去に網で捕獲されている。
近年、そこまでの大ものは見られないが、釣り人の憧れであるメーターオーバーは存在する。
学名は「フーコ・ペリー(Hucho perryi)」。黒船のペリー提督が函館に寄港した際に本国に持ち帰り、英国の生物学会でその学名が付けられた。世界でも日本の北海道、ロシアの沿海州、サハリンにしか生息しておらず、近縁種にはモンゴルやシベリアに生息するタイメンや、ヨーロッパに生息するヨーロッパイトウがいるが、一生を川で過ごすタイメンやヨーロッパイトウに対し、イトウは海と川を行き来する。さらに、サケやマスの仲間は多くが川で産卵すると死んでしまうが、イトウは産卵を繰り返しながら20年以上生き続ける。その結果、1mを超える魚体にまで成長する。
イトウは80cm台から力が強くなり、90cmを超えると全く別の魚と思えるほどのパワーを見せる。1m超えの超大ものとなれば、そこには想像以上のファイトが待ち構えている。ハリに掛けることができても、流れの底に張り付いて頭を振っているのが分かるだけで、何をやっても引き寄せられなかった。そのうち、上流や下流にじわじわと走られ、どうすることもできないうちにイトを切られてしまった……。イトウ釣りのファンからは、そんな武勇伝を聞くことが珍しくない
イトウのメーターオーバー。それはただ大きいだけでなく、実際に見るとあまりに神々しい美しさを備えている。
まさに生涯をかけて求めるのにふさわしい魚。
広大な川のどこかに今も驚くようなサイズが潜んでいる……。
イトウ釣りにはそう思わずにいられないロマンがある。
タックル情報 & おすすめフィールド情報
タックル情報
イトウ釣りはルアーフィッシングまたはフライフィッシングがおすすめ
- ルアーフィッシング
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ロッドは10フィート前後のヘビークラス、リールは3000~4000番、ラインはPE1.5号以上、ショックリーダーはフロロカーボン6号以上
- フライフィッシング
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ロッドは10番以上のダブルハンド、ラインはインターミディエイトを基準にタイプ2~4、リーダーはマイナス1~4x、ショックリーダーはフロロカーボン6~8号
おすすめのフィールド3選
イトウが一定の生息数確保されているフィールドは、現在とても貴重。そのことを肝に銘じて細心のキャッチ&リリースで釣りを楽しみたい
1. 北海道・猿払川(さるふつがわ)
日本最北端の稚内宗谷岬からオホーツク海側を30~40km南下したところに位置する猿払村の猿払川。数多くのイトウが生息し、魚影が安定している数少ない河川だ。主なポイントは、河口から約2km上流の猿払橋周辺まで。潮の影響を大きく受けるエリアで、潮が動いているときがよく、どちらかといえば下げのタイミングがチャンスといわれる。シーズンは5月下旬~6月の初夏と10~11月の秋。湿原を流れ、水色はコーヒーブラウン
2. 北海道・朱鞠内湖(しゅまりないこ)
イトウの漁業権を持つ幌加内町の朱鞠内湖淡水漁業協同組合は、イトウの管理や増殖事業に熱心に取り組んでいる。それが実を結び、魚影はとても多く、2016年には1m1cmが釣られたほか、近年は大ものの釣果を聞くことが増えた。遊漁規則等はNPO法人シュマリナイ湖ワールドセンターhttp://www.shumarinai.jp/fishing/trouts/rules/ で確認できる
3. 北海道・天塩川(てしおがわ)
北海道4大本流のひとつで、長さ250kmを超える大河。ウグイやウチダザリガニといったイトウのエサが多く、流れが速いため、天塩川のイトウは特にコンディションがよいというファンは多い。猿払川と同様、下流域がメインポイントだが、近年はウライと呼ばれるサケを捕獲するための施設が長期間に渡って河川を横断し、イトウの遡上を阻んでいるのが気がかり
- このページの情報は2017年6月現在のものです。