イトウが棲む湖
日本最古にして最大の人造湖である朱鞠内湖は、鬱蒼とした原生林に囲まれ、湖面に大小13の島々が浮かぶ。ダム湖でありながらも自然に溶け込んだ景観と壮大なスケールから、たびたび北欧や北米にたとえられる異国情緒あふれるロケーションが魅力だ。
そんな朱鞠内湖を代表するターゲットといえば、何といっても北海道にのみ天然分布する国内最大の淡水魚イトウだろう。イトウは"幻の魚"と称えられて久しいが、漁業権が設定されていて漁協による資源管理が徹底している朱鞠内湖なら幻にならない。さまざまな保護策によって、生息数が安定しているだけでなく、イトウとの出会いをサポートしてくれるシステムが整っているのもうれしい。
地域活性化が注目されるなか、当地では『NPO法人 シュマリナイ湖ワールドセンター』スタッフが、漁協の業務や湖畔に建つ宿泊施設の管理運営を行なっている。釣り好きのスタッフが多いので、釣り人にとってたいへん心強い。
2013年9月1日からは、イトウ釣りにおける「キャッチ&リリース(釣ったら放す)」に加え、魚のダメージを最小限に抑えるタイプの釣りバリの使用も義務づけられた。今後はさらに、出会えるチャンスが増えるかもしれない。1mを超えるイトウは、昔も今も釣り人の憧れ。その夢が叶う可能性をおおいに秘めている。
北海道の冬の楽しさを満喫
また、朱鞠内湖を擁する幌加内町は、マイナス41.2℃という日本最低気温を記録したことでも有名だ。冬の寒さは確かに厳しいが、豪雪地帯ならではのアイスフィッシング(氷上の釣り)が釣り人を熱くさせてくれる。漁協はワカサギの増殖事業にも力を入れていて、旭川以北の道北エリアでは最も注目度の高いアイスフィッシング・フィールド。天気のよい週末になれば広大な氷上にカラフルなテントの花がたくさん咲く。
人気の背景にあるのは魚影の多さはもちろん、各種レンタルグッズが充実し、スノーモービルによるポイント送迎もあり、釣れないときにスタッフが助けてくれる無料のミニガイドサービスなどがあるため。文字どおりの手ぶらで氷上釣りを満喫できる。
主役はもちろん冬のアイドルであるワカサギだが、通は釣ったワカサギをマスバリに背掛けしてサクラマスをねらう。手が痺れるほどの湖水を泳ぐサクラマスの味も格別だ。
北国の冬は長い。2013年から冬期の解禁期間が従来の3月31日から4月10日に延長されたのもありがたい。
この釣り場へのアクセス
旭川空港からレンタカーを利用して約1時間半。
ちなみに、数年前からの動物園ブームの火付け役になり、全国にその名を轟かせる旭山動物園は空港から約30分。釣りプラス観光のプランで冬の釣り旅はもっとホットになるだろう。
釣り場情報
〈朱鞠内湖 / ワカサギ、イトウ、ヤマメ、アメマス〉
解禁期間 | (冬)1/10~4/10、(夏)5/1~12/10 |
遊漁時間 | (冬)日の出~午後4時、(夏)日の出~日没 |
遊漁料 |
1日1,100円(中学生以下半額) |
管轄漁協 | 朱鞠内湖淡水漁業協同組合(http://www1.odn.ne.jp/syumari/) |
交通 | 旭川空港から道央自動車道へ。士別剣淵ICで下車し、R239で士別峠を越え、R275を経由して朱鞠内湖南岸 |
問合先 | 朱鞠内湖 総合情報サイト(釣り・宿泊情報/幌加内町。http://www.shumarinai.jp/) |
- イトウはキャッチ&リリースでシングル&バーブレスフックによる釣りのみ。ただし冬シーズンは65cm未満で1尾だけならキープ可
- 釣り場情報は2015年1月現在のものです。