良水で知られる山間の村
馬瀬川は岐阜県東部を流れる飛騨川の支流である。有馬温泉、草津温泉とともに日本三名泉のひとつに数えられる下呂温泉の山むこうを流れ、温泉街から10分程度でアクセスできる。馬瀬川が潤す下呂市馬瀬(旧馬瀬村)は「全国水の里百選」、「水源の森百選」、「平成の名水百選」に選ばれ、エメラルドグリーンに輝く美しい水は、眺めているだけでも英気が養われる。
シーズンを通じてアマゴ、イワナの好釣り場であり、夏はアユ釣りファンでにぎわう。水質のよい清冽ゆえアユは珠玉の味といわれる。
淵に泳ぐ美形のアマゴとイワナ
南北28km(七里)に10の集落がある馬瀬。地元の人は馬瀬川のようすを「馬瀬七里十里五十淵」と表わす。里を縫う流れにいくつもの淵が連続するからで、こうした淵は渓流魚の格好の棲みかとなり、朱点が鮮やかなアマゴや野武士のようなイワナが顔を出す。渓流釣りの解禁は例年2月下旬。上流部は雪深く渓魚の目覚めは遅い。活性が高まるのは4月下旬から。藤の花が咲く若葉あふれるころは、エサ釣り、フライ、ルアーとどんな釣法でも楽しめる。
川沿いに道が走り入退渓もしやすい。各集落の近くでも釣果は得られるが、美形魚が多いのは上流部になる。黒石集落より上流になると落差の大きな渓谷となる。カゲロウがハッチする5月下旬には魚が表層を意識しやすく、エサ釣りでも上層を流すと好反応を示す。深い淵だからといって底付近だけでなく、表層、中層とエサを流してみたい。夏の中下流部はアユ釣りファンが多いので、上流域にねらいを絞るとよい。活性が高いのは早朝。朝マヅメと呼ばれる、まだうっすらと明るい太陽が昇りきらない時間帯を外さないようにサオをだしたい。
全国一になった美味アユ
日本一アユが美味しい川はどこか?こんな楽しくも難しい問題に平成10年から取り組んでいるのが、高知県友釣連盟だ。全国のアユを一堂に集め、利き酒ならぬその名も「清流めぐり利き鮎会」を実施している。
この審査会で、馬瀬川のアユは平成19年にグランプリに輝いた。なぜ馬瀬川のアユは美味しいか。それには石と水が関連しているらしい。
アユは石に付いたアカ(藻)を食む。石質によって、水の成分によって、アカの種類は異なる。馬瀬川流域には石灰岩が多い。一説では石灰岩には良質なアカが生えるほか、カルシウムが含まれるので、これが溶け出して川の水を甘くするといわれる。
そこで育った馬瀬川のアユは、たしかに香りが強く、はらわたに苦みがなくほのかに甘い。馬瀬川の支流で同じく石灰岩の多い和良川は、この催しで3度グランプリを受賞している。
馬瀬川は夏も涼しく冷たい川なので、アユが盛んに動きだすのは水温が上昇し始める朝の9時頃から。アユがナワバリを張る石は薄黄色に見える(白っぽい石灰岩にアカが付くことで薄黄色く見えるため)。この川でアユを釣るなら、そんな石の周りをねらってみたい。
透明度が高いせいか、魚の警戒心は強い。水深のあるポイントにアユが密集しやすいことも覚えておくとよいだろう。岸際に草木が被さっているような場所も見逃せない。
のどかな時間と清冽な水が流れる馬瀬川。その流れは訪れる誰にでも、故郷の川のような安らぎを与えてくれる。
この釣り場へのアクセス
馬瀬川には中部国際空港セントレアを利用。東海北陸自動車道・郡上八幡ICを降り、R472で1時間ほど。
釣り場情報
〈馬瀬川/ヤマメ・イワナ〉
解禁期間 |
2月下旬~9/30 |
遊漁料 | 1日1,000円 |
管轄漁協 | 馬瀬川上流漁協(http://www.mazegawa.com/gyokyo/) |
問合先 |
丸八旅館(馬瀬/郷土料理も美味しい宿・オトリアユも販売。TEL:0576-47-2502) |
〈長良川/アマゴ〉
解禁期間 |
6月下旬 |
遊漁料 | 1日3,000円 |
管轄漁協 | 馬瀬川上流漁協(http://www.mazegawa.com/gyokyo/) |
問合先 |
丸八旅館(馬瀬/郷土料理も美味しい宿・オトリアユも販売。TEL:0576-47-2502) |
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釣り場情報は2020年7月現在のものです。