伊豆半島の特異な成り立ち
「半島」とは、海に長く突き出した陸地であり、小さなものを岬という。三浦半島、房総半島、紀伊半島、能登半島、男鹿半島など、各地に半島はあるが、その中で他とは明らかに異なる独特の景観を有するのが伊豆半島だ。といっても熱海、伊東、下田といった名高い観光地を擁する東海岸には、特異な景観を有している場所は少ない。絶海に浮かぶ火山島のように断崖連なる勇壮な景観をみせるのは、半島先端部の南伊豆から西海岸にかけてである。
もともと、伊豆半島は南洋にあった海底火山の集まりで、フィリピン海プレートの北上とともに日本列島に衝突し、その衝撃で隆起し、今の形になったといわれる。およそ60万年前のことといわれ、本州でフィリピン海プレートの上にある唯一の陸地が伊豆半島なのだ。
足もとからドン深の釣り場
南伊豆の海岸線は屹立する岩山が波打ち際まで迫っているところが多く、陸地からアプローチできる釣り場は少ない。そのため、古くから渡船を利用して、岩肌の窪みや沖磯(離れ岩)に渡って釣りをする磯釣りが盛んだった。一般的に半島周りの釣り場というと、足もとから沖にかけてなだらかに落ち込んでいて、足もとの水深はたいてい5m程度である。ところが、南伊豆では足もとから20m以上の水深がある釣り場が少なくなく、イシダイ、メジナ、モロコといった磯魚の格好の住みかになっているのだ。海の色も外洋のような紺碧色で、半島でありながら離島さながらの釣りが楽しめるのが、南伊豆エリアなのである。
船で渡る冬の磯釣りパラダイス
半島先端部の石廊崎を中心に、東岸に大瀬、下流(したる)、西岸に中木(なかぎ)、入間(いるま)、妻良(めら)、吉田、伊浜(いはま)という釣り場が広がる。各エリアには数軒の渡船屋があり、点在する沖磯郡や陸地からはアプローチできない断崖の窪みに釣り人を渡してくれる。
特に冬場の人気ターゲットはメジナ。条件がよければ、40cm超のクチブトメジナが水深3mくらいまで浮いてくる伊豆半島のメジナ釣り場は、全国的に見ても指折りのフィールド。また、冬場がハイシーズンで、地元ファンに根強い人気があるのが、ヒジキをエサにしたブダイ釣りだ。さらに、近年人気のアオリイカもねらえ、2kg、3kg超の実績も高い。ルアーアングラーの憧れであるヒラスズキのストック量も多く、ヒラスズキ専門で通うファンも多い。場所によってはマダイの大型もねらえる。
ちなみに、春はイシダイもねらいめになり、2014年も7kgオーバーというトロフィーサイズがあがっている。初夏はイサキ釣り、秋はヒラマサやシイラなどの回遊魚も面白い。南伊豆の青野川河口部に位置する手石港や周辺の磯はクロダイの魚影が多く、近くでハゼも20cmどころか25cmの特大サイズがねらえる。
青野川沿いの下賀茂温泉は、釣り好きで知られた明治の文豪、幸田露伴がこよなく愛した名湯。日帰り温泉施設もあり、冬場の釣りで立ち寄るにもおすすめだ。
この釣り場へのアクセス
富士山静岡空港もしくは羽田空港から東名高速を利用。沼津ICから伊豆縦貫自動車道、伊豆中央道、修善寺道路を経由してR414に入り、天城峠を越えて南伊豆の各釣り場へ。
釣り場情報
〈南伊豆〉
シーズン | 通年(台風などにより釣りが不可能な日もあり) |
問合先 | 宝洋丸(渡船/伊浜エリア。http://www.cyber-anglers.com/~houyoumaru/) 五兵衛丸(渡船/妻良・吉田エリア。http://goheimaru.blog14.fc2.com/) 常進丸(渡船/入間エリア。TEL:0558-65-0854) 重五郎屋(渡船/中木エリア。http://www.nakagi.jp/j568/) 橋本屋 宮島丸(渡船/石廊崎エリア。TEL:0558-65-0108) 倉の下(渡船/大瀬エリア。http://kuranoshita.sakura.ne.jp/) 坂下丸(渡船/下流エリア。http://sakashita.web.fc2.com/) |
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渡船屋さんは朝が早いので、問い合わせなどで電話する場合は前日の夜7時までにしてください。
- 釣り場情報は2015年1月現在のものです。