人と川がつながる流域
流域人口86万人の暮らしの中を流れながら、全国でも屈指の清流を保つ岐阜県の長良川。長良川は2015年、世界農業遺産に認定されました。その内容は「清流長良川の鮎(里川における人と鮎のつながり)」というもので、観光でも人気の鵜飼いや、流域で盛んな鮎釣りも含め、澄んだ流れがつなぐ人と魚の交わり、それらに基づいた地域の伝統文化や歴史が高く評価されたためです。
長良川へは中部国際空港セントレアを利用。ここから郡上八幡までは車で約1時間。鵜飼観覧ができる岐阜市内までは40分ほどなので、レンタカーを事前に予約しておくのがおすすめ。鵜飼いは例年5月11日から10月15日がシーズン。鵜を操る鵜匠と鵜が一体になって次々と鮎を捉えます。
鵜飼いは1300年以上の歴史がある伝統的な漁で、現在もいくつかの地域で行なわれていますが、なかでも長良川の鵜飼いは、獲れた鮎が皇室に献上もされる由緒正しいものです。松尾芭蕉もこの地の鵜飼いを見て感動し「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」という句を残しました。その心は何か?実際に観覧することで、感じとってみてください。観覧には岐阜市内にある事務所で受付をして船に乗りますが、長良川の穏やかな流れの上は揺れも心配なく、夏休みの家族旅行でも非常に人気があります。
夏を彩る鮎釣りの魅力
長良川に鮎が多いのは、今も天然遡上の鮎が海からやってくるためです。現在、下流には長良川河口堰がありますが、本流域にはその長さに比して、魚の遡上を阻害するその他の大きなダムがありません。そのため、鮎のほかにサツキマス(渓流魚のアマゴが海に降りて大型化するもの)も棲息できる貴重な環境が残されています。
流域にはかつて鮎やアマゴを釣って生計を立てる職漁師がいて、その卓越した技術や理論が現在の鮎釣りや渓流釣りにも受け継がれてきました。鮎釣りのシーズンは例年6月から10月中旬。天然遡上の魚に加えて漁協による放流も多く実施されており、釣り場も下流の関市内から上流の郡上市までと広大です。ポイントも瀬、落ち込み、淵、トロと絶え間なく変化して釣り人を飽きさせません。釣れる鮎の味の良さも折り紙付きで、郡上地域で釣れる「郡上鮎」は、平成19年に地域団体商標に登録されブランド魚にもなりました。
もうひとつの宝石、サツキマスとアマゴ
また、前述のサツキマスやアマゴ釣りでも多くの釣り人が訪れます。その際は長良川の本流だけでなく、吉田川や亀尾島(きびしま)川など、無数にある支流も人気の釣り場です。渓流釣りは鮎釣りよりも早い2月に解禁しますが、盛期はサツキの花が咲く5月前後で、この頃になると海に下っていたサツキマスも伊勢湾から遡上してきます。
郡上踊りと川遊び
そんな長良川ですが、観光も兼ねて訪れるなら夏は非常に魅力的な季節。「水の町」として知られる郡上八幡は、今も水路が縦横に走るかつての城下町で、散策するだけでも楽しめますが、例年、7月中旬から9月上旬頃には郡上踊りが開催されます(※2022年はコロナ対策により変則的なスケジュール。詳しくは郡上踊りの案内サイトをご確認ください)。その起源は江戸時代に城主が士農工商の融和を図るため、盆の4日間は身分の隔てなく無礼講で踊るがよいと奨励したもので、今も地元の人と観光客がともに輪になって踊り明かします。
また、郡上八幡では夏になると、大勢の「川ガキ」たちが川で遊ぶ光景が見られます。「町裏」と呼ばれる町の中心部を流れる長良川の支流・吉田川で、泳いだり魚取りをしたり、めいっぱい遊びます。県外から訪れても、もちろん一緒に楽しめますので、昼は川遊びや散策、夜は盆踊りで水辺の文化に触れるのも楽しい体験です。旅の醍醐味のグルメ。郡上周辺にはマイルが貯まる食事処もありますので、ANAグルメマイルをチェックしてみてください。美しい川を見ながら飛騨牛や地元の食材を食して旅の思い出を刻みませんか。
- <釣り場へのアクセス>
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中部セントレア空港から郡上八幡までは車で1時間30分ほど
- <釣り場情報>
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- 長良川/アユ、アマゴ、サツキマス釣り
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「長良川中央漁協」
※下流区間の釣り場案内、釣果情報、遊漁券販売店情報など -
「郡上漁協」
※下流区間の釣り場案内、釣果情報、遊漁券販売店情報など -
「岐阜県/川釣りチャレンジ アユ釣り場MAP」
※郡上漁協管内の詳しい鮎釣り場マップ
- 記載の内容は2022年5月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
文・写真:つり人社