懐深き駿河湾
西伊豆は極めて多彩な魚をねらうことができる豊饒の釣り場である。その最大の理由は日本列島でもっとも深い湾として知られる最大水深2500mの駿河湾にある。また、伊豆半島南側から入ってくる暖流の黒潮も釣り人にとっては恵みの潮だ。
日本には淡水・海水を合わせて2300種類の魚類が確認されているが、駿河湾にはそのうち1000種類が生息しているといわれる。たとえば西伊豆を代表するスキューバダイビングポイントである大瀬崎では、過去に深海魚のリュウグウノツカイや本来は外洋性のジンベエザメが目撃されたこともある。
海岸線に目を向ければ、複雑な海岸線に島が点在し好ポイントが次々と現われる。海に山が迫る地形のため足もとから深い地形が多く、比較的水が澄んでいるのが特徴。釣り人の高揚感を掻き立てる断崖が連なる景観は伊豆半島の大きな魅力のひとつだ。
土肥や黄金崎、松崎など、西伊豆全域に散らばる温泉も釣りの充実度をさらに高いものにしてくれる。釣りを終えたあと、海を眺めて川のせせらぎを聞きながら入る湯は最高だ。また、黄金崎や恋人岬などでは駿河湾に夕陽が沈む絶景を堪能できる。
アオリイカ、ハタ、マダイ、青もの…… さまざまな魚種がねらえるルアーパラダイス
西伊豆のルアーフィッシングでねらえる魚種は極めて多い。田子の沖堤防はその多彩さを堪能できる釣り場のひとつ。春の乗っ込みシーズンにはエギングで2kg級のアオリイカがねらえ、ジグを遠投すればカンパチやイナダ、サバなどの各種回遊魚がアタックしてくる。時にはメータークラスのシイラも跳ねる。5kgクラスのマダイが出たこともある。回遊魚の姿がなくとも、ジグやソフトベイトを中層で引けばハタが食ってくる。
田子の沖堤防に限らず、近年は西伊豆全体でアカハタやオオモンハタ、キジハタなどハタ類の釣果がかなり増えていることも見逃せないトピック。なかでもオオモンハタは50cmクラスも期待できる。
シイラ、イナダ、アオリイカ。すべて同じ日に田子の沖堤防でルアーを襲った。このほかキジハタやカサゴの釣果もあった
9~12月も40cmオーバーのメジナがねらえるロマンに満ちた磯
西伊豆を語るうえで外せないのが磯釣り。雲見や田子、仁科には名礁がいくつもある。荒い根や深場など地形的なメリハリがきいており、刻一刻と変わりゆく状況に対してあの手この手で対応する必要があるため磯釣りファンを決して飽きさせない。
2月下旬~3月のシーズン終盤は50cmオーバーの超大型メジナの実績がある。また、駿河湾の水温は若干低い傾向があるためほかの釣り場がなかなか本格化しない9~12月の高水温期でもコンスタントに40cmオーバーのメジナをねらうことができるエリアとして知られている。足もとから水深10mあるドン深の磯も多く、メジナだけでなくマダイやイシダイ、クロダイの大型も期待できる。
秋風に吹かれながら渓流釣りが楽しめる
西伊豆の魅力は海だけではない。一度味わってほしいのが10月の渓流釣りだ。全国の多くの河川では渓流釣りの解禁期間は9月いっぱいで終わってしまうが、伊豆半島を流れる一部の河川では10月30日までが解禁期間に設定されている(年によって変更の可能性があるので要確認)。あまり川に行けないままシーズンを終えてしまった……そんな渓流釣りファンの駆け込み寺といえる存在である。
この釣り場へのアクセス
羽田空港から東名自動車道に入り、沼津ICから各釣り場へ
釣り場情報
〈西伊豆/アオリイカ、イナダ、クロダイ、ハタ、マダイ、メジナ、アマゴなど〉
シーズン | 通年(台風などにより釣りが不可能な日もあり) |
問合先 | 愛海丸(渡船・遊漁船/雲見エリア http://www.narumimaru.com/) 龍海丸(渡船/仁科エリア http://www.glafis.com/ryukoumaru/) とび島丸(渡船/小下田エリア https://tobisima.jp/) 福由丸(渡船/田子エリア http://www.izu-tago.com/) |
- 渡船屋さんは朝が早いので、問い合わせなどで電話する場合は前日の夜7時までにしてください。
- 釣り場情報は2020年8月現在のものです。