「秋田県/青森県・白神山地」釣り旅の記録
“山で、海で、豊かな白神の恵みに舌鼓”
雪解けが終わった北国の山は、さまざまな植物の若芽が日の光を感じ取り、山肌に姿を見せる。
秋の山の恵みといえばキノコだが、今の季節は山菜だ。
フキノトウ、タラノメ、コシアブラ、ヤマウド、コゴミ、ミズ、ワラビ、ワサビ、野ゼリ、ネマガリダケ。
渓流やその周囲には、自然の恵みが想像以上に多くある。
今回、秋丸さんが川の入り口で出会った地元のご夫婦も、香り高い山菜をうれしそうに見せてくれた。雪国の人たちにとって、春の山菜採りは季節の訪れを実感する大切な行事。瑞々しい山の恵みには、だいたい鼻に抜けるような独特の香りがあって、その刺激には体の奥の細胞まで活性化してくれるような不思議な生命力がある。
「周りをよく見れば、山菜はいくらでもある。けっして特別なものではないんだよ」と谷地田さん。川原や山の斜面を指差しながら、「あれはウドだよ。さっとゆがいても生でも美味しく食べられる」「これはミズ。これもちょっと茹でてやればすぐに食べられるよ」と次々にアドバイス。指摘されるたびに、「えっ、こんなにたくさんあるんですか? でも教えてもらえなければ全然気が付かない!」と秋丸さんも驚きだ。
川原での休憩時、谷地田さんがザックから取り出したのはアウトドア用の携帯バーナー。湯を沸かすとヤマウドとミズをゆがき、川の水にさらしてからミョウガと塩昆布と混ぜて、即席の和え物にしてくれた。さらに、近くで見つけたネマガリダケは、アルミホイルに包んで炙り焼きに。ヤマウドとミズはシャッキリとした歯応えと清涼感のある味わい。アツアツの皮を剥いてかぶりつくネマガリダケは、深いコクと旨みがある。山の恵みをいただくと、体も心もいっそう周囲の自然に馴染んで行くから不思議だ。
「いいイワナも釣れたし、今日は早めに宿に移動しましょう。少し走りますが、日本海に出て青森県の深浦町にある不老ふ死温泉まで行きます。途中の夕日もきっときれいですよ。山の幸は味わったから、あとは海辺の宿でお風呂と海の幸ですね」と谷地田さん。なんともぜいたくな1日目となった。
青森県の深浦町にある「不老ふ死温泉」は、美肌効果の高い源泉掛け流しの塩化物強塩泉と、白神の森の養分がたっぷり注がれる日本海の幸が自慢の人気宿(https://www.furofushi.com/)。複数の内湯のほかに海辺に面した露天風呂も楽しめる
サザエ、アワビ、本マグロ、ヒラメ、地のワカメなど、深浦沖や近海の海の幸がたっぷり並んだこの日の夕食。いくらご飯やデザートも出てすっかりお腹も満たされた
- このコンテンツは、2017年6月の情報をもとに作成しております。