「北海道・阿寒湖」釣り旅の記録
“昔と変わらない森と水”
全国的に「トラウト王国」として知られている北海道においても、
自然の豊かさと魚影の多さという点で道東エリアは別格といっていい。
そのなかでも特筆すべきフィールドが阿寒湖だ。
北海道の自然が変貌していくなか、開発という魔の手から自然を守り続けている前田一歩園財団のおかげで、
阿寒湖周辺には昔と変わらない森と水がある。
阿寒湖漁業協同組合は北海道でいち早く釣り場管理に取り組み、日本のゲームフィッシングの指針をつくった。
トラウトアングラーにとって、阿寒を知らずして北海道は語れない。
阿寒湖は隣接する屈斜路湖、摩周湖とともに、火山活動によって生じたカルデラ湖。
狭い範囲に3つもの火山を抱える湖が存在するこの地域は、世界的にも珍しいといわれている。
10~15万年前、現在の阿寒湖がある場所には、阿寒火山と呼ばれる大きな活火山があり、盛んに活動していた。
大量の火砕流を繰り返し噴出した結果、やがて地下に空洞ができて陥没。そこに水が溜まって古阿寒湖ができた。
この頃の阿寒湖は隣のペンケトー、パンケトーも含んだ巨大な湖であったと考えられている。
そして1万年ほど前には雄阿寒岳が古阿寒湖を東側で堰き止めるような形で噴出。
その後、現在の阿寒湖、ペンケトー、パンケトーの姿に分断されたといわれている。
阿寒湖は年間200万人の観光客が訪れる湖畔以外、湖岸に人工物は一切なく、野生動物の息吹が聞こえてくる豊かな森に囲まれている。この豊かな森が素晴らしいトラウトを育むのだ。
すっかり秋が深まった11月下旬、巨大なシマフクロウとそれに負けないアメマスが迎えてくれるたんちょう釧路空港に降り立つと、凜とした空気に包まれていた。
この時期、阿寒湖を抱える釧路市の最高気温と、東京の最低気温は大体同じくらい。
この日、釧路市の天気予報は、最高気温4℃、最低気温1℃。
しかし、内陸部の阿寒湖だと、それよりもやや低いのが常で峠は雪のちらつく日が多くなる。
釣りをしていると指がかじかんでくる。それでも、阿寒湖に魅せられたアングラーがこの時期にこだわるのは、
厳しい寒さがトラウトの美しさに磨きをかけるのを知っているからだ。
今回、そんな晩秋の阿寒湖を訪れたのは、女性ファッション誌やHondaのCMなどで活躍するモデルの有村実樹さんと、ANAホールディングス会長の伊東信一郎。
有村さんは中禅寺湖でレイクトラウトを釣ったことがあるが、北海道でのトラウトフィッシングは初めて。
阿寒湖の雄大な自然を前に「最高のロケーションですね。
どんな魚に出会えるのか本当に楽しみ」と期待に胸を膨らませていた。
- このコンテンツは、2016年1月の情報をもとに作成しております。