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【北海道・阿寒湖の釣り旅】小春日和、ドラマの予感……

「北海道・阿寒湖」釣り旅の記録

SCENE 01
昔と変わらない森と水
SCENE 02
ボイルに釘づけ!
SCENE 03
釣りの素晴らしさとは?
SCENE 04
小春日和、ドラマの予感……
SCENE 05
道内最大のアイヌコタン、真ん丸のマリモ

“小春日和、ドラマの予感……”

冬によく現われる神秘的な現象「毛嵐」
毛嵐とは北海道の方言で、海面から立ち上る水蒸気が、陸上からの冷たい空気に触れて発生する霧のことをいう。冬によく現われる神秘的な現象

2日目は、午前8時過ぎからスタート。

昨晩から今朝にかけて雪が降ったらしく、路面にうっすらと積もっている。
山々の雪化粧も少し濃くなった。
未明はけっこうしばれたはずだが、今朝は昨日と打って変わって空は晴れ渡り、晩秋としては珍しいぽかぽか陽気。
まさに小春日和。

数分のクルージングの途中、毛嵐が見られたのも、今日の釣りの吉兆を予感させた。
毛嵐が現われた日中は晴天に恵まれることが多いからだ。
気温の低い時期は釣り人の集中力が持続するよう、天気が良いのに越したことはない。

前日とは風向きも異なり、北西の風が吹く予報。
そこで桶屋さんは、阿寒湖最大の島、大島に舵を向ける。
「この風向きなら、大島の裏に魚が回遊してくるはず」。

風を遮ってくれる島の裏はワンドを形成し、岸近くから急深になっている。
回遊してきた魚は手前でヒットすることがほとんどで、遠投する必要はない。ウエーディングもひざ下で充分だ。

渡船やボートフィッシングで使われる「あめます号」
渡船やボートフィッシングで使われる「あめます号」には、船の乗り降りの際に梯子が利用できる。釣り初心者や女性でも安心
釣りの条件としては絶好
ほどよい波で岸近くは濁っていた。この程度の濁りなら魚の警戒心は緩むと考えられ、釣りの条件としては絶好。ロッドを握る手に力が入る
ニジマスがヒット!
伊東のロッドに、元気印のニジマスがヒット!
小さくても価値ある一尾
小さくても価値ある一尾に、つい頬が緩む。
この40分後にドラマが待っていた

昨日の状況からルアーに追いが悪いと判断し、今日は2人ともフライロッドを握っている。
有村さんはドライワカサギ、伊東はインジケーターフィッシング。
ワンドの左端からはビュービューと北西風が吹き抜け、沖に向かって明瞭な潮目ができている。
その潮目に乗って入ってきた魚が、ワンドの中に入って来てくれるといいのだが……。

そう願いながらキャストを繰り返していると、すぐ目の前でボイルが起きた。
「よし、魚が入ってきた!」。
そう桶屋さんが言ってまもなく、伊東のロッドが心地よく曲がる。
姿を現わしたのは、小さいながらもピンと尖ったヒレが印象的なニジマス。

「インジケーターがスーッと吸い込まれていったので合わせた」と伊東は頬を緩めた。
その一尾から40分後の9時10分、またも伊東がヒット。
しかも、良型であることはロッドのしなり具合から明らかだ。ラインを手繰り寄せてくると、大きな玉虫色の尾ビレが水面を叩いた。
アメマスだ! 伊東が焦ることなく岸に寄せたのは、黄金色の魚体に明確な白い斑点を散りばめた阿寒湖らしい一尾。
サイズは優に50cmを超え、風格さえ感じられる。「とても奇麗ですね、素晴らしい」。
有史以来、阿寒湖で脈々と受け継がれてきた野生のアメマスの末裔に触れ、伊東は満面の笑みを浮かべた。

アメマス(エゾイワナ)
学生時代に山岳渓流を詰めていた伊東にとって、アメマス(エゾイワナ)は特別な魚だろう。このサイズなら言うことなし
逞しい尾ビレ
筋肉の躍動が伝わってくる、逞しい尾ビレが水面を叩き、水しぶきを上げる
艶やかな肌をした一点の曇りもない魚体
艶やかな肌をした一点の曇りもない魚体にしばし見入る
阿寒湖特有の緑がかった湖水
阿寒湖特有の緑がかった湖水が、アメマスの美しさを引き立てる
熱心にキャストを続ける有村さん
阿寒湖の宝石を間近で見て、有村さんも熱心にキャストを続けた。時折起きるボイルを前に、休憩を取ることさえ忘れるくらい

その後もわずかながらチャンスがあり、ドライワカサギでもヒットしたが、残念ながら有村さんのロッドが曲がることはなかった。
それでも、「美しい景色と魚が見られ、とても満足しました。次は冬、ワカサギ釣りで来たいですね」と阿寒湖を堪能したようだった。

  • このコンテンツは、2016年1月の情報をもとに作成しております。
写真:津留崎 健
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