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    【鹿児島県・錦江湾の釣り旅】伝統漁具×最先端の釣法、そして海の幸

    「鹿児島県・錦江湾」釣り旅の記録

    SCENE 01
    心に迫る錦江湾の歴史と釣り
    SCENE 02
    伝統漁具×最先端の釣法、そして海の幸
    SCENE 03
    繊細な釣趣が醍醐味のマダイ釣法
    SCENE 04
    幕末のヒーローが憩った湯と決意の地

    “伝統漁具×最先端の釣法、そして海の幸“

    錦江湾奥の霧島市隼人町周辺には天降川や別府川といった河川の流入があり、
    桜島周辺は起伏に富んだ地形に加えて200mを超える水深が控え、多様な魚を呼び込んでいる。

    錦江湾は南北に長く、距離にしておよそ270km。そのため、湾口と湾奥では海の穏やかさに違いがある。湾奥から中間部にかけては風の影響を受けにくく、シケにくいのが特徴だ。養殖イケスの多さがそれを物語り、特に垂水周辺はドンと構える桜島がさらに風を遮ってくれるため、連なるように設置されている
    隼人新港からいよいよ沖へ。期待に胸が踊り、話が弾む
    錦江湾奥の海の穏やかさは釣り人も歓迎するところで、よほどの荒天でない限り、船に乗って釣りに出られるのが長所だ

    釣りのターゲットはクロダイ、スズキ、アジ、タチウオ、カンパチ、ブリ、オオモンハタ、そしてマダイにアオリイカ。

    松岡さんは、「懐の深い湾の奥なので台風がきても子イカが死滅しにくいところが個体数の多さにつながっている」と分析している。

    初日はアオリイカをねらった。釣法はティップランと呼ばれる最新のスタイル。繊細な穂先のサオを使い、15~40mの水深に定位したアオリイカへコンタクトする。

    ティップランでは感度のよいサオを使い、穂先に注意を集中させておく。穂先はティップと呼ばれ、それ(穂先)が走るようにアタリが出るところからティップランと名づけられた
    アオリイカは水温が高い季節には浅いところに差し、浮いていることも多いが、水温が下がるにつれて深場へと落ちていく。ティップランは秋以降に深場の海底近くに定位した群れをねらう釣法で、春まで楽しめる

    釣り場に着くと、松岡さんから「餌木(えぎ)を着底させたらサオを数回シャクりながらイトを巻き取り、餌木を海底から少し浮かせてください。その後はイトを張ったまま船体の流れに任せて餌木を水平移動させるイメージでアタリを待ってくださいね」とアドバイスがあった。

    しかし、なかなかアタリがない。厳しい出だしだ。船長も「う〜ん」とうなった。そして厳しさの理由をこう教えてくれた。

    ティップランは、「風が吹いて船を流してくれることではじめて餌木の水平移動が連続し、それが誘いになる」のだ。つまり、船体を流してくれるだけの風が頼り。

    風はそよとも吹かず、肌でも感じられないほどだった。

    船長と松岡さんが会話を進め、「エギングに切り替えます」という判断になった。エギングだと釣り場は深くて10m前後。今度は浅い場所にアオリイカがまだ残っているかがみんなの気がかりとなった。

    予定していたティップランが無風のため、まさかの絶不調。そこで釣り方をエギングに転換。途中には予報になかった雨まで降り始め、雲行きの怪しさにハラハラした一行であった

    釣り場を見渡す船長の眼差しには真剣さが増していた。松岡さんからは「エギングはティップランとアプローチが異なりますからね。餌木を着底させ、海底に着いたらシャクリ上げるところまでは同じですが、その後はイトを緩めて餌木を潜行させてください。餌木が再び沈んでいくときにヒットしますから」と解説。

    エギングに切り替えて間もなく、お手本を示すように松岡さんが掛けた。「キビキビと動かしたあとにピタッと止めて、餌木が沈み始めたと思ったらすぐに抱いてきました」とメリハリのある誘いが有効との感触が伝えられた。

    エギングに切り替えた直後、松岡さんが名刺替わりの1パイをキャッチ

    松岡さんに続いたのは阪本さんだ。餌木を遠くまで飛ばせるようにしっかりと投げ、餌木が着水したら余分なイトを回収して、最初からイトを張った状態でアプローチした。イトを張っておくとアタリがわかりやすくなる。阪本さんの1パイは、サオ先まで引っ張っていくほど鮮明な反応で掛かってきた。

    そんなふたりの釣れぐあいから、船長は「浅場にはそこまで多く残ってないけれど、残っているのはとてもやる気があるので期待できる」と釣り場とイカの状態を読んだ。

    エギングでアオリイカをキャッチした阪本さんは、ボートからアオリイカを釣るのは今回が初めてだった。錦江湾も初釣行。初めてづくしの釣り旅を満喫した
    ティップランと通常のエギングでは、釣り場の水深やアプローチに違いがある。ティップランのほうが深い場所でやり、水平移動でアプローチする。通常のエギングは主に10mまでの浅場でやり、潜行させてアプローチする
    着々とアオリイカをキャッチする松岡さん。鹿児島は江戸の薩摩藩の時代からアオリイカ釣りが盛んで、餌木発祥の地のひとつ。木を焼いて黒いすすが着いた状態にして使ったのがルーツで、木を削り出して布を巻く作りは、江戸時代から今日まで引き継がれている。特に指宿市の山川は、山川型と呼ばれるほどの名産地。鹿児島では餌木専用の布が現在も生産され、餌木の故郷といえる

    夕方に差しかかる頃、沈黙を続けてきた伊東のサオに変化が現われた。流れに変化のあるスポットが目に止まり、そこに餌木を投入。基本どおりに着底。餌木が流れを受けているのを感じ取って、柔らかくシャクった。それに反応が出た。

    海中の相手は、雨に濡れた伊東の手元がサオのグリップから滑りそうになるほどの勢いでアタックしてきた。

    キャッチも決まって破顔一笑。人生初アオリをその手に収めた。

    釣行の終盤、潮の流れに着目し、そこに餌木を送り込んで優しく誘ってねらいどおりに掛けた。アオリイカが最後の抵抗を見せて激しく墨を吐く
    不思議なもので、釣れ始めると少々の雨はまるで気にならなくなるのが釣り人だ

    こうして全員安打が決まると、次は釣りたての味が気になるところ。

    港から10分ほどの海鮮料理店「魚処うえやま」は、釣果を持ち込めば、それも調理して提供してくれる。

    釣りたてのアオリイカのほか、鹿児島の味覚に舌鼓を打った3人は、一日を振り返りつつ明日のマダイ釣りに期待を寄せた。明日は復路便に乗って帰途にも着くが、時間が許す午前中はめいっぱい鹿児島の海を満喫する、と盛り上がっていた。

    釣りたてのアオリイカは柔らかくて甘かった
    昭和16年創業の老舗鮮魚店・植山水産が手掛けた海鮮料理店・魚処うえやまに釣果を持ち込み、さばいて提供してもらったアオリイカの刺身
    アオリイカのゲソは天ぷらでいただくのが定番だ
    小鉢で提供されたカメノテ。ツメの部分を摘み、こげ茶色の皮をはいで中の身を食す。カメノテは海岸線の岩場などでよく目にする
    ワタリガニの蒸し上げ。これも鹿児島県産
    地鶏の刺身。これも鹿児島県産。魚処うえやまは地元の食材にもこだわっている

    〈魚処うえやま〉
    http://uodokoro.wixsite.com/ueyama

    • このコンテンツは、2017年11月の情報をもとに作成しております。
    写真:津留崎 健

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