「高知・仁淀川」釣り旅の記録
“究極の仁淀ブルー・安居川の釣り”
仁淀川の“気持ちのいい釣り”を満喫していると、入れ掛かりを終えた内山さんが近づいてきた。
「もっと水のきれいな川があります。アユも元気でアユ釣りの桃源郷ですよ」
柳瀬橋から車で30分あまり、四国山地の山々が目前にせまる仁淀川町池川地区を流れる支流・安居川だ。
橋上から見下ろす安居川は大岩・小岩が点在する渓流相だが、流れは静かで穏やか。水色はガラスのように清冽な濃いブルー。
水底の石のひとつひとつを数えたくなるほど透き通っている。まさに、究極の仁淀ブルー。
岸辺を歩くと、アユの黒い影が八方へ走る。こういう川はアユのプレッシャーが強く、オトリを足もとから静かに泳がせるに限る。背後の樹林の枝も気になるので、サオは短ザオ・8mを選択。
オトリが足もとから上流へ、ユラユラと泳いでいくのが手に取るように見える。そのとき、閃光が流れ星のように川底を走った。
反射的にサオを立てた。グリグリッとした手ごたえの後、サオが軽くなって、オトリアユだけが水底から飛びだして青空にはずんだ。
野アユの追いが見えてあわててサオを立てたため、ハリがしっかり食い込んでいなかったのだ。水がキレイすぎるための失策といえるだろう。水のきれいさになれることも、この川では必要だ。
下流を見ると、内山さんが次々とアユを抜き上げている。その飛び散るしずくは森の緑を映し、何だか夢を見ているように美しい。
- このコンテンツは、2015年7月の情報をもとに作成しております。
ライター:世良 康
写真:浦 壮一郎