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    【極上の釣り旅】栃木県・日光(中禅寺湖・湯川)の釣り旅

    鱒釣りの聖地でいただく、こだわりの一杯。

    中禅寺湖、戦場ヶ原、華厳滝など、景勝地の多い日光。かつてトーマス・グラバーが湯川などに鱒類を放し、釣り場として開拓したこの地は、今も変わらず釣り人たちを魅了してやまない。北海道から当地を訪れた矢野元基、愛実夫妻が、水辺で極上のひと時をすごす――。

    SCENE01 80cmを超す鱒が潜む中禅寺湖

    中禅寺湖にはブラウントラウト、
    レインボートラウト、レイクトラウト、そしてビワマスとサクラマスの
    中間種とされるホンマスなどが棲む。50cmを超える魚体も多く、
    時には80cmオーバーも釣られており、
    そのパワフルなファイトのとりこになる釣り人は多い。

    そもそもこの地で鱒類の釣りが盛んになったのには、
    今年でちょうど150周年を迎える明治維新が関係している。
    維新の際に活躍した坂本龍馬などと交流があったトーマス・グラバーが、
    無類の釣り好きであり、この地で釣りを楽しむために鱒類を放流したのである。
    かつてグラバーが放した鱒の末裔と遊ぶ……。
    それだけでもロマンがあるのだが、
    中禅寺湖にはここでしか釣ることができないレイクトラウトや、ホンマスも生息している。
    国内屈指のトラウトフィッシング・エリアといえる北海道から、
    わざわざ足を延ばす価値があるフィールドなのだ。

    中禅寺湖では、鱒類に関しては
    ルアーやフライ(毛バリ)といった疑似餌を使った釣りしか認められていない。
    グラバーが楽しんでいたのも、英国が発祥といわれるフライフィッシングだ。
    この湖では、そのような西洋風の釣りがよく似合う。

    この日、湖を訪れていたベテランたちは、
    フライフィッシングでホンマスやレイクトラウトなどをキャッチしていた。
    これからの季節は、避暑地としても人気の高い中禅寺湖。
    静まりかえった水辺でのんびりとロッドを振っていると、
    突然すぐ近くの水面が爆ぜて「ゴボッ!」と音を立てる。
    水面に落ちたハルゼミやモンカゲロウ、そして接岸したワカサギなどを、
    大型鱒が捕食するのだ。
    その音に刺激され、釣り人は黙々とルアーを引き続ける……。

    SCENE02 戦場ヶ原を流れる湯川

    中禅寺湖に注いでいるのが、
    戦場ヶ原を縫うように流れる湯川。
    湿原を蛇行する湯川には、
    ブルックトラウトの魚影が多い。
    大型のレインボートラウトも悠々と泳ぎ、ゆったりした流れはグラバーが釣りをしていた当時の面影が残る。

    水草の隙間、倒木の下などに潜むブルックトラウトは、
    キャスティングのテクニックが試される相手。
    岩盤の溝でルアーを通していた矢野愛実さんのロッドが、グッと曲がった。
    「ヒットしました!」
    しばしのファイトの後、賢い魚はフックを外して深みに消えたが、
    宝石をちりばめたような体は、いつまでも目に焼き付いていた。

    SCENE03 静謐の夜

    日光を訪ねて、釣りしかしないのはもったいない。
    中禅寺湖から流れ出す華厳滝の威容は、ぜひ目に焼き付けておきたいもの。

    国の重要文化財になっている日光二荒山神社や、
    今シーズンは100年以上前のフライフィッシング道具を展示している
    日光自然博物館など、
    湖畔を少し歩くだけでも、見どころはたくさんあるのだ。

    そして、日光の老舗ホテルといえば日光金谷ホテル。
    ここでは100年以上前に釣りをしていたようすが、今も写真で残されている。

    釣り人にとっては、中禅寺湖の湖畔にたたずむ中禅寺金谷ホテルもおすすめの宿だ。
    正面に暖炉が据えられたロビーを抜け、客室で一休み。

    夕食には、とちぎ霧降高原牛フィレ肉を、
    ふきのとうなどの香りが漂うソースでいただく。
    街の喧騒から離れ、その土地ならではの美味に舌鼓を打つ時間は、
    長旅と釣りに疲れた身体をゆっくりとほぐす。

    SCENE04 湖畔で飲むコピ・ルアク

    今回の旅で、
    どうしてもやってみたかったのが、
    「中禅寺湖の湖畔で極上の
    コーヒーをいただく」ということ。
    新緑のこずえを揺らす
    涼風を感じながら、
    ロッドを置いてちょっと一息。

    ほんの短い時間だが、まさに至福を感じるコーヒーブレイクのために、
    用意したのはコピ・ルアクというコーヒー豆。
    ジャコウネコが食べ、消化されなかったコーヒー豆を集めたという希少な品。
    独特の風味と、なによりその珍しさから、コーヒー通の間ではよく知られている。
    そんな豆を湖畔で挽き、ていねいにドリップして淹れた一杯は……さすがの味わい。
    旅を締めくくるにふさわしい、豊かな時をすごすことができた。

    釣り情報

    中禅寺湖の鱒釣り情報

    中禅寺湖では、現在ヒメマスを除く鱒類の持ち出しは禁止されている。またヒメマス以外の鱒類では、毛バリあるいはルアーを使った釣りしか認められていない。釣りができるのは岸ヶ渕より松ヶ崎を結ぶ線から東側の区域。遊漁時間は解禁日が5~18時で、4月2日~5月14日は4~18時、5月15日~8月15日は4~19時、8月16日~9月19日は4~18時。

       
    問合先 全国内水面漁連日光支所 TEL:0288-55-0702
    解禁期間 岸釣り=4月1日~9月19日、船釣り=4月20日~9月19日
    入漁料 券2,160円、6回回数券10,800円
       

    湯川の鱒釣り情報

    湯川はキャッチ&リリース河川なので、釣った魚は放すこと。また貴重な湿原を流れる川なので、湿原の植物などを踏み荒らさないように注意を払って釣りをしてほしい。

       
    問合先 全国内水面漁連日光支所 TEL:0288-55-0702
    解禁期間 5月1日~9月30日
    入漁料 日券2,000円、午後券1,500円(解禁日のみ日券3,000円)
       

    中禅寺金谷ホテル

    栃木県日光市中宮祠2482
    TEL:0288-51-0001
    (http://www.kanayahotel.co.jp/ckh/)

    • このコンテンツは、2018年6月の情報をもとに作成しております。
    写真:浦壮一郎

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