グレ釣りに熱くなる
本州最南端である潮岬を境に、東の熊野灘、西の枯木灘に面した和歌山県南部の沿岸は黒潮洗う温暖の地で年間平均水温も高く、大小さまざまな磯魚を育む。なかでも人気の釣りは、今も昔も多くのファンが集う磯釣りだ。
良型グレの宝庫
田辺、白浜周辺の磯は低く平坦で比較的穏やかな表情を見せるが、すさみ町あたりから切り立った荒磯の風情が顕著になる。特に潮岬の沖に点在する磯々の周囲には激流が渦巻き、離島に匹敵する豪快さでファンの心を熱くさせる。潮岬のアシカという磯に出没する70cmオーバー、80cmはあろうかという巨大な夫婦のオナガグレ(オナガメジナ)「太郎と花子」伝説は、あまりにも有名だ。磯のグレ(メジナ)釣り全体では、メインの対象魚となるのはクチブトメジナで、良型の40cmオーバーが高確率でねらえる。
一方、オナガメジナも伊豆や九州の離島ほどの大型は釣れないが、それでも50cmクラスの可能性は低くなく、まれにファンのステイタスであるロクマルサイズも釣りあげられる。エサ取りと呼ばれる小魚が多く、釣りづらい夏の時期から徐々に海水温が20℃前後にまで低下すると、いわゆる寒グレシーズンに向かってねらいやすくなり、そのピークは秋11月頃だ。
多彩な秋の対象魚
また秋は魚種が多彩な時期。グレねらいの外道にハマチ、メジロ、ヒラソウダ、ナンヨウカイワリなどの回遊魚から、地元で人気のアイゴやイガミ(ブダイ)などがひっきりなしにサオを曲げてくれる。さらに近年はアオリイカ、メバル、アジなどをねらうルアーフィッシングの人気も高い。エギングでねらうアオリイカは秋の深まりとともに大きく育ち、晩秋から初冬には1kgオーバーもヒットするようになる。各漁港周りや地磯からねらう釣り人の姿が目立つが、昔ながらに生きたアジを泳がせてねらうヤエン釣法のファンも健在だ。また沖合で楽しむティップランというタイプのエギングも注目株で、陸からの釣りよりも一回りも二回りも大きいサイズが釣れる。また、串本周辺から東の勝浦、新宮周辺は良型メバルのポイントとして知られており、アジも良型が多く、近年は大いに盛り上がっている。
人気のカカリ釣り
串本湾内のカカリ釣りも面白い。点在する養殖コワリ(イケス)などにかけられたカセからの釣りで、チヌ(クロダイ)のほか、メジロ(ワラサ)やマダイ、グレ、マトウダイなどバラエティーに富んだ魚たちの引き味が楽しめる。チヌは大型で60cmクラスも珍しくなく、一般的なカカリ釣りスタイルのダンゴ釣法でねらう。その他の魚たちはオキアミをエサにカゴ釣りをするのがここでの定番だ。
この釣り場へのアクセス
関西国際空港や大阪空港から南紀方面へは京阪神地区から阪神高速、近畿自動車道、阪和自動車道を利用して終点の南紀田辺インターまで。田辺からはR42号を南下し各釣り場へ。渋滞がなければ大阪空港から南紀田辺ICまで2時間半。田辺から串本までは1時間半~2時間。
釣り場情報
〈南紀〉
シーズン | 通年 |
---|---|
問合先 | ベイマルチョウ(田辺市/磯釣り、カカリ釣り、ティップランエギングなど南紀西部の釣り情報全般・釣具店。http://www.marucho.co.jp/bay) フィッシングベース海クン(白浜町/磯(フカセ)釣り情報・エサ・ウキ・釣具店。http://www.kaikun.jp/index.html) 紀南釣具センター(新宮市/メバリング・アジング・磯釣りなど南紀東部の釣り情報全般・釣具店。TEL:0735-22-5834) |
- 釣り場情報は2014年度のものです。