日本一の内陸港跡
京都の南の玄関口にあたる伏見は、桂川、鴨川、宇治川の3つの川が流れる平野部にあって、豊富な水脈に恵まれている。江戸時代、ここには日本一の内陸港があった。
豊臣秀吉が晩年を過ごすため伏見城を築いたのは安土桃山時代。この時、周辺の交通路の整備と水害対策のため、宇治川の大規模な改修が行なわれた。大阪と京都を結ぶ物流の要としての内陸港・伏見港も整備され、江戸時代の享保年間(1700年頃)には淀川と行き来する船が「過書船742艘、淀船507艘、伏見船200艘、高瀬船128艘」を数えるまでになった。ただ、かつての日本一の港も、さらに時代が下るとモータリゼーションの進展とともに埋め立てられることになる。
現在、この港跡一帯にあるのが伏見港公園である。そして、公園の周りには宇治川派流という、大正から昭和初期にかけて行なわれた「宇治川大改修」で、宇治川本流から分離された自然豊かな水路が流れている。
公園で楽しむ和の小もの釣り
駐車場も整備され緑の多い伏見港公園では、岸からサオを伸ばし、オイカワやタナゴといった和の小魚の釣りを気軽に楽しむことができる。なかでも夏の終わりから秋の間まで、人気が高いのがカネヒラの釣りだ。カネヒラは日本産のタナゴの中で最も大きく、最大で12cmほどまでに育つ。日本のタナゴの仲間は多くが春に産卵期を迎えるため、オスの体が鮮やかな婚姻色に染まるのも春頃になることが多いのだが、ことカネヒラに関してはそれが夏の終わりから秋にかけてとなる。その姿はまるで、水中に輝く宝石のようだ。
エサはベニサシ。シモリ仕掛けで岸際をねらう
カネヒラ釣りの道具はサオが7尺(2.1m)ほどの川釣り用のノベザオ。これにタナゴ釣り用として釣具店で販売されている、小型の親ウキ、シモリウキ、板オモリ、タナゴバリなどが付いたタナゴ仕掛けをセットする。エサはベニサシを使う。カネヒラは流れてくるエサに反応し、また、岸際のカケアガリや川の中にたなびいている藻の際に沿って泳いでいることが多い。そこで仕掛けをやや上流に振り込み、エサを付けたハリが見えるか見えないかくらいの深さまで落ちながらスーッと流れて行くようにしてアタリを待つ。水面下に入ったウキの動きが止まったり、ツンと引き込まれたらそれがアタリだ。
宇治川派流は休日になると観光十石舟が走り、シダレヤナギが垂れる岸辺には伏見の酒蔵や坂本竜馬が襲われた寺田屋などの見どころが建ち並ぶ。京都らしい観光や散策も楽しみながら、のんびりとサオをだすのがおすすめだ。
この釣り場へのアクセス
伊丹空港からレンタカーを利用。阪神高速11号池田線を利用して巨椋池ICで降り、R1経由で伏見港公園へ。
釣り場情報
〈伏見港公園/オイカワ、カネヒラ〉
シーズン | オイカワ:通年、カネヒラ:8~11月 |
問合先 | 伏見港公園(交通などの問合先/京都市伏見区。 http://www.kyoto-park.or.jp/fushimi/) |
※釣り場情報は2017年9月現在のものです。