歴史の舞台
余呉湖は滋賀県北部の琵琶湖国定公園内に位置する周囲5kmほどの陥落湖である。北を行市山、南を賤ヶ岳、東を大岩山に囲まれ、それらの山の姿を四季折々に映し出す穏やかな湖面は、別名「鏡湖」とも呼ばれている。
神秘さを感じさせる静謐なたたずまいから、余呉湖は古来より湖を舞台とした伝説に彩られてきた。なかでも代表的なものは、白鳥に姿を変えて水浴びを楽しんでいた8人の天女のうち、羽衣を取られた末妹だけが天に帰れなくなり、やがて人間の夫と夫婦になって二男二女をもうけたという羽衣伝説。その子の一人は菅原道真と伝えられる。また、干ばつに苦しむ村を救うため、湖に身を投げて、その後の余呉地方を飢饉から救ったという菊石姫の伝説も残る。湖畔には、これらの伝説にゆかりのヤナギの木や石碑が今も残っていて、静かに時を刻んでいる。
また、余呉湖周辺は、安土桃山時代になると、織田信長亡き後、豊臣秀吉と柴田勝家の間で繰り広げられた「賤ヶ岳の合戦」の舞台にもなった土地である。賤ヶ岳の合戦の拠点として重要な役割を担った長浜城も近い。長浜の中心地には今も伝統的な商家があり、瀟洒な黒壁作りの建物が軒を連ねている。
鏡湖とも呼ばれる神秘的な湖面を前に大ゴイをねらう
春は大ゴイラッシュに期待
自然と歴史が彩る余呉湖は釣りも盛んだ。なかでも訪れる人が多いのは春のコイ釣りと秋からのワカサギ釣り。コイ釣りでは、周辺の琵琶湖や三方五湖(そのうちの水月湖と三方湖)も有望な釣り場だが、余呉湖もそれらと並び大ゴイが釣れるチャンスのあることで知られる。ワカサギ釣りは例年11月下旬から解禁するが、寒くなるほどよい釣果があがるといわれ、なかでも湖西側の川並桟橋と東側の江土桟橋に多くのファンが集まる。
コイ釣りでは、ダンゴ状に丸めた練りエサを使う釣り方も行なわれるが、近年釣果が上がっているのはボイリーという直径15~20mmの固形のエサを使う方法だ。特に2009年の春には、ボイリーを使ったコイ釣りで大ものラッシュともいえる釣果があがり、90cmを超えるずっしりとした大ものが数多く釣れた。そして2014年には110cmの記録級の大ゴイが釣られている。
ワカサギ釣りは例年11月下旬から3月下旬頃までが解禁。余呉湖のワカサギ釣りは桟橋から3~4mのノベザオを使って釣るか、小型両軸受けリールを付けた短めのサオで釣るスタイルで楽しまれている。仕掛けは1.5号程度のナス型オモリを付けた7本バリ仕掛けを用いる。これらの仕掛けは、ワカサギシーズン中であれば湖畔の漁協事務所で購入できる。
トレッキングやそのほかの釣りも
そのほか、春の余呉湖周辺は、新緑のブナ林を歩くことができるハイキングやトレッキングも人気が高い。琵琶湖に注ぐ高時川の余呉地区を流れる上流部は地元では丹生川と呼ばれ、海抜700m以上のエリアはブナやミズナラなどに囲まれ、新緑が大変美しいことでも知られる場所。
トレッキングのコースとして人気がある。また、丹生川は釣りも盛んで、余呉地区ではアユ、アマゴ、イワナなどの釣りが楽しめる。アユ釣りは例年7月中に解禁し9月まで、アマゴ・イワナ釣りは3月に解禁し9月まで楽しめる。どちらも滋賀県下でも有数の釣り場とされており、余呉湖の観光やそのほかの釣りと合わせて楽しむのもよいだろう。
この釣り場へのアクセス
中部国際空港セントレアから名古屋鉄道で名鉄名古屋駅(JR名古屋駅に隣接)まで行き、東海道新幹線米原駅からレンタカー利用が便利。そのほかの空港からは、レンタカーで北陸自動車道・木之本ICからR365で5kmほど。
釣り場情報
〈余呉湖/コイ、ワカサギ〉
シーズン | コイ釣りのおすすめ時期は5~11月、ワカサギ釣りは11月下旬から |
遊漁料 | 1日1,100円(ワカサギ釣りの桟橋利用の場合は環境整備協力金300円が別途必要) |
管轄漁協 | 余呉湖漁協(http://www.ozatoya.co.jp/kumiai/yogoko_fishing.html) |
問合先 | タックルベリー北びわ湖長浜店(釣具店/長浜。http://www.tackleberry.co.jp/shop/news/index.cgi?cid=109) |
〈丹生川/アユ、アマゴ、イワナ〉
解禁期間 | 3月1日~9月30日 |
遊漁料 | 1日3,000円(アユ)、1日2,000円(アマゴ、イワナ) |
管轄漁協 | 丹生川漁協(http://nyu-gyokyo.com/) |
問合先 | タックルベリー北びわ湖長浜店(釣具店/長浜。http://www.tackleberry.co.jp/shop/news/index.cgi?cid=109) |
※釣り場情報は2015年5月現在のものです。