多彩なゲームフィッシュ
江戸時代には大井川と並び、東海道きっての難所として知られた神奈川県の箱根。「入り鉄砲に出女」を改める関所も設置された険谷には、コバルトブルーの水を満々とたたえる芦ノ湖がある。
箱根の山中に位置する芦ノ湖の水源の大部分は湖底からの湧き水といわれる。都心から2時間掛からずアクセスできる好立地にありながら、風光明媚な景色を求めて国内外から多くの観光客が訪れる景勝の地だ。
澄んだ湖水には釣りの対象となるゲームフィッシュも多く泳ぐ。ニジマス、ブラウントラウト、サクラマス、ヒメマスなどのマスの仲間のほか、ヘラブナ、ワカサギ、コイなど実にさまざまな魚が生息しており、大ものねらいの釣り人も少なくない。
秋はワカサギが人気
神奈川の名産100選にもなっている芦ノ湖のワカサギは、毎年10月1日の刺網漁の解禁日には宮内庁にも献上される。釣りは例年8月からスタート。芦ノ湖は標高が高く、夏でも水温が低いため、他の湖と比較してワカサギ釣りが早く開幕する。ワカサギ釣りというと冬場の氷上穴釣りも各地で楽しまれているが、ここでは穏やかな気候の秋がハイシーズンのため、ワカサギ釣り初挑戦の人にもおすすめなのだ。
ワカサギはボート釣りでねらう。ボートは湖畔に複数あるボート店でレンタル。手漕ぎボートでも釣り場はボート店のすぐ近くの場合が多く、遠い場合でもポイントまで曳航してもらえるので心配ない。そして芦ノ湖のワカサギはエサを付けない空バリでねらえる。ファミリーフィッシングにもぴったりで、美味しい魚が鈴なりで釣れるから、一度その楽しみを味わうと病み付きになる。
コイ釣りやマス釣りもチャンス
晩夏から秋にかけてはコイ釣りもおすすめ。この時期はコイが越冬に向けて体力を蓄えようとするため食欲が旺盛になる。芦ノ湖のコイは体が砲弾型をしており引きが強い。深みのある黄金色をした美しいコイが多いのも特徴で、昔から足繁く通うベテランファンも多い。なお、コイ釣りは湖岸からリールザオで楽しむが、芦ノ湖では寄せエサの使用が禁止されているので注意すること。
夏に上がった水温が下がり始める秋は、ヒメマス、ニジマス、ブラウントラウトなどのマス類の釣りも再び好機を迎える。
ヒメマスは春の釣り解禁から5月中旬までと、秋の11月から12月中旬までが解禁期間と決められており(芦ノ湖ではすべての釣りが12月中旬で禁漁)、釣り方はボートを使ってドジャーと呼ばれる集魚板やルアーをゆっくり引っ張るトロウリングが一般的だ。ヒメマスは食べると大変美味しく、専用の仕掛けが湖畔の釣具店でも売っているのでチャレンジしてみると楽しいだろう。
ニジマスやブラウントラウトは晩秋になると再び朝晩を中心に湖岸近くを回遊するようになるため、浅瀬に立ち込んでフライフィッシングやルアーフィッシングでねらえる。
芦ノ湖は噴煙をあげる大涌谷、静謐なたたずまいの箱根神社、箱根彫刻の森美術館など周辺の観光スポットにも事欠かない。家族での週末旅行に釣りと観光を組み合わせて訪れるにもおすすめだ。
この釣り場へのアクセス
羽田空港から首都高を経由し小田原厚木道路へ。箱根新道に入り芦ノ湖大観ICを下りると湖南側の箱根湾に出る。
釣り場情報
〈芦ノ湖/ワカサギ、コイ、マス類〉
解禁期間 | 3月1日(特別解禁)~12月14日 |
遊漁料 | 日券1,300円、現場売り2,000円、年券16,500円 |
管轄漁協 | 芦ノ湖漁協(http://www.ashinoko.or.jp/) |
問合先 | フィッシングショップノザキ(ボート店・釣具店。http://www.fs-nozaki.com/) 芦ノ湖フィッシングセンター(ボート店・釣具店。http://www.ashinoko-fc.co.jp/afc/) |
- 釣り場情報は2016年8月現在のものです。