ベテランもビギナーも楽しめる川
標高2475mの甲武信ヶ岳に端を発し、埼玉県と東京都という、日本屈指の人口密集地を貫通して東京湾に流れ込む荒川。上流には織物の里としても知られる秩父盆地があり、ダイナミックな荒川本流のほか、深いV字形渓谷を成す滝川、大洞川などの支流、さらに集落地を流れ比較的穏やかな里川の風情を見せる薄川や小森川といった支流など、バリエーション豊かな水脈が枝を広げる。「秩父」は釣り人の間で、昔から渓流魚の豊富な奥座敷の響きを持つ。険谷の相を成す最上流域はベテランでも攻略のしがいがあり、一方で穏やかな里川エリアは道路沿いを流れておりビギナーでも釣りがしやすい。
本流ヤマメをエサ釣りでねらう
一帯を管轄する秩父漁協はヤマメやイワナを毎年多数放流している。また、自然繁殖したヒレのピンと張ったきれいな魚も多く見られる。本流のおすすめエリアは上流の大滝地区。岩盤帯が多く、渓流をやや広くしたイメージで淵が連続する。水温が安定してくる4月下旬頃からは、美形ヤマメが瀬の中で活発にエサを追う。中核部は支流大血川の合流点から上流にある落合ダム下流までの区間。ただし、川に降りられる場所に限りがあるので、入川に際してはあらかじめ地図もよく確認しよう。釣り方はエサ釣りがよい。7mクラスの長さに余裕のあるサオを使い、解禁当初ならキンパクやオニチョロなどの川虫、それ以降なら秩父の渓流で魚の反応が非常によいピンチョロを使うとよい釣果が得られる。
穏やかな支流なら毛バリも楽しい
近年人気が高まっているテンカラや、同じく毛バリを使うフライフィッシングなら、特に解禁当初はもう少し流れが穏やかで落差の少ないエリアが釣りやすい。その場合は支流の小森川(ただし途中の朴の木橋より上流は禁漁区)や薄川の上流部、あるいは中津川などがおすすめだ。中津川の上流部にはC&R(キャッチ&リリース)区間もある。これらの支流は水深の浅いポイントにもヤマメやイワナがいるので、周囲に比べて少しでも深くなっている小さな淵や堰堤の下を特に丁寧にねらうとよい。もちろん、エサ釣りでねらっても釣れる。
初夏になれば最上流域にもチャレンジ
雪の影響はそれほどない秩父エリアだが、本流も支流も標高が1000mを超える源流部は水温の上昇も遅く、たとえば滝川や大洞川といった渓谷相の支流で釣りが楽しくなるのは6月の初夏以降だ。ただし、その分だけ釣れる魚のコンディションはよい。鮮やかなオレンジ色の斑点を体表にまとう、秩父らしい野性味あふれるイワナに出会えるのもこの時期からになる。
首都圏からのアクセスのよさと、釣り場の多さ、さらには釣りを楽しめるシーズンの長さを兼ね備える秩父の荒川水系。長瀞地区のライン下りや美味しい手打ち蕎麦店など、周辺の観光要素にも事欠かないので、ぜひ気軽に足をのばしてほしい。
この釣り場へのアクセス
羽田空港から首都高速経由で関越道へ。花園ICからR140で秩父方面に向かう。
釣り場情報
〈荒川/ヤマメ、イワナ、ニジマス〉
解禁期間 | 3/1~9/30 |
遊漁料 | 1日1800円 |
管轄漁協 | 秩父漁協(http://gk-chichibu.blog.so-net.ne.jp/) |
- 釣り場情報は2018年2月現在のものです。