秋の渓流を楽しむ
栃木県の北部にある塩原温泉郷は、温泉街の中を流れる箒川の渓谷に沿った11地区の温泉地の総称。昔から塩原十一湯と呼ばれ、大網・福渡・塩釜・塩の湯・畑下・門前・古町・中塩原・上塩原・新湯・元湯という湯本が点在する。源泉の数は約150。温泉の発見は西暦806年といわれており、1200年以上の歴史を持つ関東屈指の温泉地だ。
辺りは10月下旬には紅葉が見ごろを迎え、美しく色付いた森に囲まれてロッドを振ることができる。釣り場となるポイントの近くには駐車スペースやトイレが設けられているので、初めて訪れる人でも安心して釣りが楽しめる。対象魚はサイズのよいことで定評のあるニジマスだ。
ヤマメやイワナをねらう日本の渓流釣りは、秋に行なわれる魚たちの産卵を保護するため、釣りのできる期間を9月までに定めている場所が多い。つまり、10月以降を春までの間、禁漁期間にするのだが、近年、ニジマスに関しては一定のルールを決めたうえで、秋や冬も釣りが楽しめるようにする場所が増えている。箒川はこうした釣り場のひとつになっている。
抜群のロケーションと変化に富むポイント
塩原温泉は明治・大正の時代から与謝野鉄幹・晶子や尾崎紅葉など多くの文人が訪れ温泉と散策を楽しんだ風光明媚な土地。尾崎紅葉はこの土地で取材旅行をし、代表作である『金色夜叉』を書き上げた。ほかにも塩原温泉には、野口雨情、夏目漱石、室生犀星など、著名作家にちなんだ文学碑が約80基もある。
釣り場となる箒川も大岩が点在し、底まで見通せる透明度の高い水が流れる。そのクリアな水の中で、50cmを超える大きなニジマスが釣れるとあって人気は高い。川を管理する塩原漁協による放流量も多く、川は瀬と淵が連続して変化に富んでいる。
秋のニジマス釣りはルアー、フライフィッシング、テンカラで楽しめる。毎年、下流の箒川ダムから上流の七ツ岩と呼ばれる地区までが釣り場となっており、釣った魚は再放流するキャッチ&リリース(C&R)専用の釣り場となっている。七ツ岩のすぐ上流が塩原の温泉街だ。
いずれの釣り方も一般的な渓流用のタックルで楽しめるが、大きな魚もいるので少し丈夫なタイプを用意しておくと安心。なお、水温が下がる時期でもあり、水に濡れずに川を歩けるウエーダーは必要になる。魚を取り込むためのランディングネットも大きめのものを用意しておきたい。
温泉や散策も満喫しながら
C&Rエリアはそれほど長い区間ではないものの、日の短い秋の1日を遊ぶには充分な広さ。川から上がれば、渓流を眺めながらつかることのできる露天風呂もあり、川で冷えた身体をゆったりとリセットするのにうってつけだ。秋の行楽日和に大ものねらいの腕試しに出掛けるもよし。あるいは、家族で温泉や文学散策も兼ねたファミリーフィッシングに出掛けるもよし。それぞれのスタイルで楽しんでみてはいかがだろう。
この釣り場へのアクセス
羽田空港からレンタカーを利用。東北自動車道・西那須野塩原ICを降りて右折。R400を塩原温泉郷方面に走って箒川へ。
釣り場情報
〈箒川/ニジマス〉
シーズン | 1月下旬~翌年1月上旬まで(詳しくは塩原漁業協同組合のホームページを参照) |
遊漁料 |
日券2,000円(現場売り+500円/中学生及び身体障害3級以上半額、小学生以下無料) |
釣り時間 | 午前5時~日没まで |
問合先 | 塩原漁協(https://www4.hp-ez.com/hp/siobara-gyo/) |
- 釣り場情報は2016年8月現在のものです。