歴史と風情の残る水系
茨城県と千葉県にまたがる霞ヶ浦は、水面積220km²を誇り、滋賀県の琵琶湖に次いで日本第2位の広大な湖である。水域別にいうと西浦、北浦、外浪逆浦(そとなさかうら)、常陸(ひたち)利根川から成り立っているが、釣り人の間では最も大きな西浦エリアを指し、霞ヶ浦と呼ぶことが多い。この西浦一つとっても大きな入り江がいくつもあって、古くは土浦を基点に伸びるワンドを土浦入(つちうらいり)、また、石岡を基点に伸びる入り江は高浜入(たかはまいり)など、情緒豊かな地名で呼んだ。
霞ヶ浦は淡水魚の宝庫といっても過言ではない。漁業では明治13年、初めて霞ヶ浦に浮かんだとされる帆曳き船のシラウオ漁とワカサギ漁が知られるところ。この風情ある漁船は、昭和40年にはトロール船に代わったが、現在も観光帆曳き船として活躍しており、その優雅な姿を湖上に眺めることができる。
小さくても艶やかなタナゴの釣り
釣りの対象魚としては、フナ、コイ、タナゴ、ワカサギ、バスフィッシングが人気。地元の釣りファンは冬期、食べて美味しいワカサギのオカッパリ釣りに夢中だが、遠来の釣り人には「寒(かん)」の冠を戴く"寒タナゴ釣り"が絶大な人気を誇っている。
タナゴは日本の田園地帯に生息する小型のコイ科の魚で、日本では江戸時代にはすでに人気のあった釣りの対象魚。華麗な漆塗りを施した竹のタナゴザオと繊細なウキ仕掛けなどがあり、江戸前の粋が今も息づく日本ならではの釣りだ。
霞ヶ浦水系に棲んでいるタナゴの仲間は生存が危ぶまれているゼニタナゴを別として、ヤリタナゴ、アカヒレタビラ、タナゴ、タイリクバラタナゴ、カネヒラ、オオタナゴの6種類。特に冬場に盛んな寒タナゴ釣りは"オカメタナゴ"の愛称で呼ばれるタイリクバラタナゴが主役だ。春から初夏のような婚姻色は望めないが、太陽に反射してシルバーブルーに輝く魚体は凍える寒さを忘れさせてくれるほど美しい。湖岸に点々と築かれた小さな舟溜まり、通称"ドック"や土手道の裏側を流れる"土手下のホソ"に越冬中のオカメタナゴが潜んでいる。
1m超も夢ではない有数の大ゴイ釣り場
また、霞ヶ浦は日本を代表するコイ釣り場でもあり、数多くのメーターオーバーが釣りあげられている。厳寒期のコイ釣りもおもしろい。寒くなると釣り人の数がガクンと減り、ゆったりとアタリを待つことができる。また、近年水郷一帯でコイ釣りファンを悩ませるアメリカナマズの活性も下がり、当たればコイの可能性が高いのもうれしい。厳寒期にエサに反応してくるのは、比較的体力がある大型というのも魅力の1つだ。
ポイントを選ぶ際は風向きに注意したい。コイは向かい風を釣るのがセオリーだが、厳寒期は冷たい風が当たらない風裏に入ったほうがよい場合もある。冷たい北寄りの風を避けるのにおすすめの釣り場が和田公園前のワンド。霞ヶ浦を代表するコイ釣り場である。駐車場、トイレも近いのでファミリーで訪れるのにもよいだろう。
巨ゴイ釣り場でいえば、隣の北浦に軍配があがるが、超大ものをねらうなら霞ヶ浦というベテランは多い。この冬は記録級の大ものをねらってみてはいかがだろうか。
釣りを楽しんだ帰り道には、霞ヶ浦の拠点に建てられた道の駅に立ち寄ってみたい。レンコンなどの朝摘み野菜をはじめ、霞ヶ浦で獲れた小魚の佃煮やワカサギ、シラウオの釜揚げなどなど、地元特産の美味しい土産が手頃な価格で買い求められる。
この釣り場へのアクセス
羽田空港から首都高経由で常磐自動車道に入り、桜土浦、土浦北、千代田石岡の各ICへ。また、北浦方面へは東関道自動車道を利用。終点の潮来ICから北上する。
釣り場情報
〈霞ヶ浦/フナ、コイ、タナゴ、ワカサギ〉
- コイとワカサギは禁漁期間が設定されており、以下の解禁期間のみ釣りができる
- 水産動物の産卵や成育適した区域が「保護水面」や「禁止区域」に指定されており、保護水面や禁止区域には湖岸に標柱、沖合に点滅ブイなどがあるので注意する
解禁期間 | (フナ、タナゴ)通年、(ワカサギ)7/21~1/20、3/1~4/30、(コイ)6/11~5/10 |
交通 |
常磐自動車道・桜土浦IC、土浦北IC、千代田石岡IC、東関東自動車道・潮来ICなどから各湖岸へ |
問合先 | 上州屋キャンベル土浦店(釣具店/土浦市。http://www.johshuya.co.jp/shop/shop.php?s=35) キャスティング鹿島神栖店(釣具店/神栖市。http://castingnet.jp/shop/shop.php?s=29) |
- 釣り場情報は2015年1月現在のものです。