水位の安定しやすい川
関東平野を流れる鬼怒川は、坂東太郎と称される利根川の支流として最も長い全長176.7kmを誇る。栃木県と群馬県の県境付近、燕巣山、物見山、鬼怒沼山などを繋ぐ稜線に端を発し、栃木県の日光市、宇都宮市、茨城県の筑西市、下妻市などを流下したのち、守谷市付近で利根川下流域に合流する大きな川だ。
鬼怒川は大きな川ながら、上流のダムの放水により水位が変動しやすい利根川に比べると、比較的水位が安定する傾向がある。特に中流部は平坦で穏やかな流れを見せる場所が多く、そうした流れの様子が「絹川」と表現され、鬼怒川の語源となったともいわれる。
また、ヤマメやアユの釣り場となる中流部までのアクセスもよく、所要時間は都心からでも2時間弱。さらに渓谷の様相を呈してくる上流域へも3時間程度で行けるため、釣り人を惹きつける要因になっている。源流部ではイワナも釣れる。
遠方からの釣り客が多いのは中流部のアユ釣りとヤマメ釣りだ。アユ釣りは6月に入ると下流の区間から順次解禁となり、よいシーズンの後半には25cmクラスの大型もねらえて人気が高い。一方、近年の鬼怒川本流では、それよりも前の時期から楽しめるヤマメ釣りの注目度が年々高まっている。
釣り人が憧れる本流の尺ヤマメ
鬼怒川中流部のヤマメ釣りは、区間により多少異なるが3月からスタート。その後、6月いっぱいまでフライ、ルアー、エサ釣りなどを楽しむファンの姿をよく見かける。なかでも遠方からのファンが多く集まるのはフライフィッシング。
鬼怒川の中流部は、ガガンボ、コカゲロウ、カゲロウ、トビケラなどの水生昆虫の種類が豊富だ。これらの虫が川で羽化し、ヤマメがそれを盛んに食べる。
その際、ヤマメが水中から浮上して、水生昆虫に襲いかかる「ライズ」の光景が見られることも多く、フライフィッシングではこのライズを捜しながら釣るスタイルが大変人気がある。広い流れで育った大型のヤマメが盛んにライズする光景を一度でも見てしまえば、フライフィシングのファンは通わずにはいられない……というわけだ。
大型ヤマメのライズをねらえるのは、下流の茨城県境から上流の日光市高徳の道谷原発電所取水堰までの広い区間。特に氏家周辺は水位が少なめで釣りやすく人気が高い。解禁直後からしばらくは区間内の下流部が釣り場になり、5月以降になると、上流の大谷川合流点付近が有望になる。なお、エサ釣りの場合はいずれのエリアもポイントが広く大きいことから、7m超の本流ザオが必要になる。
温泉と合わせて楽しめる上流部も人気
また、鬼怒川といえば江戸時代に発見され、当時は日光詣の大名や僧侶のみが入ることを許されたという由緒ある鬼怒川温泉が有名だが、釣りと合わせて楽しむならのそのさらに上流にある川治温泉がおすすめ。川治温泉は周辺に「男鹿川キャッチ&リリース」「川治温泉キャッチ&リリース」の2つの釣り専用区があり、どちらもルアー・フライ・テンカラ釣り専用区だが、ニジマス、ヤマメ、イワナが多い。
特に「川治温泉キャッチ&リリース」の区間は全体に歩きやすく、トイレもあり、ビギナーや女性アングラーにも釣りやすい。お湯も「傷は川治、火傷は滝(鬼怒川温泉)」と並んで称えられた名湯なので、周辺の龍王峡に見られる自然美や、日光の社寺の観光と合わせて長逗留してみるのもおすすめだ。
この釣り場へのアクセス
羽田空港を出て首都高経由で東北道へ。
中流部へは北関東道・真岡ICや東北道・上河内SAスマートICなどを下車。
上流部へは日光宇都宮道路・今市ICを下車して鬼怒川温泉・川治温泉方面へ向かう。
釣り場情報
〈鬼怒川/アユ〉
解禁期間 | 6月~(区間により異なる) |
遊漁料 |
1日2,700円 |
交通 | 北関東道・真岡ICや東北道・上河内SAスマートICなどを下車して鬼怒川本流へ |
管轄漁協 |
鬼怒川漁協(http://www.kinugawa-gyokyou.com/) |
問合先 |
かとう釣具店(釣具店/宇都宮市。http://www.fskatoh.com/) |
〈鬼怒川/ヤマメ、イワナ、ニジマス〉
解禁期間 | 3月以降(区間により異なる)~9月19日 |
遊漁料 |
1日1,500円(鬼怒川漁協、おじか・きぬ漁協) |
交通 | 中流部(鬼怒川漁協管轄)は北関東道・真岡ICや東北道・上河内SAスマートICなどを下車して鬼怒川本流へ。 上流部(おじか・きぬ漁協管轄)は、日光宇都宮道路・今市ICを下車して鬼怒川温泉・川治温泉方面へ |
管轄漁協 |
鬼怒川漁協(http://www.kinugawa-gyokyou.com/) おじか・きぬ漁協(http://ojikakinu.web.fc2.com/) |
問合先 | かとう釣具店(釣具店/宇都宮市。http://www.fskatoh.com/) |
- 釣り場情報は2015年5月現在のものです。