秋も楽しい山間の本流
松本盆地を南から北に向かって流れる長野県の犀川は、日本一の長さを誇る大河・信濃川の支流にあたる。水量豊富な流れは、昔からニジマス、ブラウントラウト、ヤマメ、イワナなど多くのトラウトたちを育んできた。
途中にある生坂ダムを境に、釣り場は大きく2つの区間に分かれる。上流側は長野自動車道・安曇野インターチェンジからすぐアクセスできる、旧豊科町・明科町(現在の安曇野市)の町中を流れる。遠くには北アルプスの雄大な山並みが望め、広い河原と開けた平坦な流れが続くのが特徴だ。
一方、ダムより下流は「犀峡」と呼ばれて景勝地にもなっており、川まですぐに迫った山の間を縫うように流れている。しかもその流れが、いわゆる渓流とは違い、水量豊富な本流と呼ぶにふさわしいようすを保っている。近年、秋の釣り場として注目を浴びているのはこの下流区間。管轄する犀川殖産漁協が「ニジマス釣りの通年解禁」を導入したことで、全国の多くの川では9月で終了するマス釣りが、ニジマスに限っては紅葉シーズンも含めて楽しめるようになった。
大型マスに対応できるタックルで釣る
犀川のニジマスは40cmを超える良型が多く、50cm、60cmという大きさも珍しくない。現在、川には人の手を介さず自然に世代交代を重ねている銀色味が強いニジマスと、漁協が定期的に放流している全体に体色の濃いタイプのニジマスの2タイプがいるが、どちらもヒットすれば豊富な水量の流れに乗って疾走し、釣り人を楽しませてくれる。エサ釣りであれば、長尺の本流ザオが満月に曲がるさまは豪快のひとこと。ルアーフィッシングやフライフィッシングでも、両手で扱う大ものようのダブルハンドロッドに力強いマスの引きが伝わってくる。
現在、犀川下流部(犀川殖産漁協区間)の釣り場は、大半が「キャッチ&リリース(C&R)」区間になっている。釣ったニジマスは生きたまま流れに戻し、使用できるハリはエサ釣り、ルアー、フライと釣り方にかかわらず、基本的に1本バリ、ルアーでも最大2本バリまでというのがルールだ。
エサ釣りではサオは10m近い本流ザオを用意し、イトは大ものを前提に3号くらいの通し仕掛けで、ハリは12~16号クラスの大もの用を使う。エサは釣りエサ用のミミズのほか、数粒をガーゼにくるんだイクラや、マグロの切り身も有効だ。
フライフィッシングでは先端に沈むタイプのラインを付けるスカジットシステムと呼ばれるタイプの仕掛けが有効で、フライは水中を漂わせるチューブフライやウエットフライを使う。ルアーフィッシングでは7~9cmの大きめのミノーを使う。
地元の食と合わせた旅も楽しみ
秋の犀川本流は対岸の木々が赤く色づき、空は青く、流れから顔を出すニジマスもまた鮮やかな紅色やピンク色に彩られている。気候もよく、心からリラックスして楽しめる。また、釣りの拠点にもなる道の駅「長野市大岡」では、地元のそば粉を使った手打ちそばが楽しめ、秋の新そばシーズンには他のシーズン以上に香り高い芳香が爽やかな喉ごしとともに鼻をくすぐる。犀川に沿って走る国道19号は「ジンギスカン街道」と名付けられ、名産の信州産サフォークを使ったジンギスカンも食べられるので、釣りと食、2本立てで釣り旅を満喫できるはずだ。
この釣り場へのアクセス
犀川へは、最寄り空港から高速道路を利用。長野自動車道・安曇野ICからR19で生坂村方面へ。犀川沿いに走り、生坂ダムを越えたあたりからが犀川殖産漁協の管轄する下流部になる。
釣り場情報
〈犀川/ニジマス〉
解禁期間 |
通年 |
遊漁料 |
1日1,000円 |
管轄漁協 | 犀川殖産漁協(http://www.ngn.janis.or.jp/~saigawa/) |
問合先 | 上州屋長野川中島店(http://www.johshuya.co.jp/shop/choka.php?s=170) |
- 釣り場情報は2015年10月現在のものです。