人気ナンバーワンのメジナ釣り
鹿児島の本土から約22km。東シナ海に浮かぶ甑島は、北から上、中、下の3島が連なった有人島で、上甑と中甑が橋でつながっている。年間の平均気温は17.5℃。南から流れてくる黒潮の恩恵を受け、自然豊かな島には数多くの釣りの対象魚が生息するが、冬場に人気の魚となればまずはメジナが挙げられる。
甑島にはクチブトメジナとオナガメジナの2種がいてどちらも釣り人の好敵手となっている。いずれも警戒心の強い魚で、コマセと呼ぶ寄せエサに、ハリに付けたオキアミを紛れさせて釣っていく。潮の流れを読み解くのがコツで、メジナは潮を釣れといわれるほどである。そして、ハリに掛かるとスピードのある走りで下層に力強く突っ込もうとする。ポイントの見極めからやり取りまで、攻略のすべてが多くの釣り人を魅了するため人気がある。一般にクチブトでは50cm以上、オナガなら60cm以上が釣り人の目標と言えるが、甑島はその双方が叶えられる釣り場ととらえられている。
クチブトメジナ。釣り人は単にクチブトあるいはグレと呼ぶことが多い。ハイシーズンには50cmアップの良型が期待できる
地磯のヒラスズキ釣りも熱い
冬の季節風が吹くと、甑島の沿岸には乳白色の波濤(サラシ)が広がる。そうなると活気付くのがヒラスズキだ。北寄りの風により沿岸に押し流された小魚が、サラシの周りを漂うのをねらってヒラスズキが襲い掛かる。小魚の代表格はキビナゴ。体長10cm程度であることから、それに見合う大きさのルアーで探っていく。風のある状況での釣りとなるため、飛距離を出すために9~15 cmまでの大きく重量のあるルアーが多用される。
この釣りの醍醐味は、風を計算に入れたキャストとルアーのコース取り。ねらいのポイントでヒラスズキの反応が得られた時は、何度経験しても興奮する。白いサラシの中に、ヒラスズキの銀色の魚体が躍る光景もまた目に焼き付く。
とはいえ、海が荒れすぎると危険なため、チャンスは強い風が吹いたあとの穏やかな日になる。天気は落ち着いても、海の波はまだ残っているという状態がベストなタイミングだ。そんな日は釣っていても清々しく、寒くもない。離島であることも幸いして、甑島には反応のよいヒラスズキが潜んでいる。
そのほかの対象魚もチャンスあり
メジナねらいの釣りは、瀬渡し船を利用する沖磯の釣りと、健脚派向きの地磯(陸地から歩いて行ける磯)の釣りのどちらも盛ん。強烈な引きを求めて九州各県のみならず、関東や関西からも愛好者が訪れる。
また、地磯ではオオモンハタ、フエフキダイなども人気の対象魚。甑島の沿岸は急峻な地形でどこでもサオをだせるわけではないが、そのことが逆に資源を保つことにも役立っている。地磯を釣る場合は砂利浜に隣接する場所を選ぶと総じてアクセスがしやすい。また、瀬渡し船を利用して、歩くと距離のある地磯により短時間で入る方法もある。
そのほか、より気軽に釣りを楽しみたい場合は、軽装でできるエギングがおすすめだ。島にはレンタルバイクやレンタル小型電気自動車などがあり、漁港を転々と巡りながらアオリイカをねらうことができる。沖磯や地磯でエギングをやるのも楽しい。なお、甑島では5月の1ヵ月間はアオリイカが禁漁になる。春以降に訪れる際は注意したい。
この釣り場へのアクセス
鹿児島空港を利用。串木野新港からフェリー「ニューこしき」、川内港から高速船「甑島」が運行している。串木野新港までは、空港からバスで川内駅に移動し、電車で串木野駅に行きバスで串木野新港へ。川内港へは川内駅からバスを利用する。
釣り場情報
〈メジナ〉
シーズン | 10月中旬~3月 |
問合先 | 蝶栄丸 (渡船。本土の串木野港から沖磯への直行が可能。http://www.choueimaru.net/)、 ポイント鹿児島谷山店 (釣具店。http://www.point-i.jp/index.php?id=taniyama) |
〈ヒラスズキ〉
シーズン | 10月~4月 |
問合先 | ポイント鹿児島谷山店 (釣具店。http://www.point-i.jp/index.php?id=taniyama) |
- 釣り場情報は2016年1月現在のものです。