新鮮なイカが地域おこしのシンボル
四方を海に囲まれた九州の中でも、世界有数の漁場として知られる玄界灘に面し、リアス式海岸が広がる佐賀県唐津市の呼子町。福岡空港からレンタカーで約1時間とアクセスがよく、美しい自然に恵まれた小さな港町には、一年を通じて県内外から多くの観光客が訪れます。盛んなのは漁業。なかでも季節によって複数の種類が水揚げされるイカは全国的にも有名で、地域おこしのシンボルにもなっています。
現地には新鮮なイカを食べられるレストランが点在し、身が透明な姿造りはプリプリとした食感。獲られてから新鮮なうちに天日干しされているイカもあちこちで見かけます。
日本三大朝市の一つに数えられる呼子の朝市では、散策も楽しみながら気軽に購入ができます。
魅力をさらに知るなら「釣り」もおすすめ
そして呼子の沖合から西隣の長崎県松浦沖にかけては、イカ釣りも楽しまれています。釣れるイカの種類や釣り方は季節によって変わりますが、夏はケンサキイカ、秋からはアオリイカのシーズン。どちらも非常に美味しいイカで、スッテやエギと呼ばれる、イカ釣り用の和式ルアー(疑似餌)を使ってねらいます。
興味が湧いたら呼子周辺でイカ釣りを案内している遊漁船に問い合わせてみるのがおすすめです。釣り入門者でも問題なく、「乗合船(のりあいせん)」といって、個別に予約したお客さん同士が一緒に釣りをする方法があり、少人数なら釣り道具の貸し出しも相談できます。風光明媚な海に浮かびながら、自分の手で美味しいイカをねらう時間はきっと良い思い出になるでしょう。
悠久の歴史を刻む史跡や景勝地
呼子周辺は大陸への最も安全な航路の拠点でもあったことから、長い歴史を持つ建造物や史跡も多くあります。呼子町の加部島にある田島神社は、弥生時代後期には建てられていたという由緒あるお社(やしろ)。三柱の女神を祀った九州でも最古の神社の一つであり、航海の安全と縁結びのパワースポットとして知られ、今も篤い信仰を集めています。加部島へは呼子大橋を渡って陸路で行きますが、島の北端には一面に広がる草原と絶壁の先に玄界灘が望める杉ノ原展望台(加部島展望台)もあり、ドライブコースとしてもおすすめです。
田島神社
- 住所:佐賀県唐津市呼子町加部島3956
- TEL:0955-82-3347
また、豊臣秀吉の朝鮮出兵に際して、1592(文禄元)年にこの地に築かれ、大阪城に次ぐ規模を誇ったのが唐津市鎮西町にある名護屋城です。今は広い公園に石垣などがわずかに残るだけですが、散策をしてみると規模の大きさが実感でき、徳川家康を含む130以上の諸大名がこの城の周囲に陣屋を構築し、全国から20万人を超える人々が集まったという歴史に思いを馳せることができます。また、敷地内にある佐賀県立名護屋城博物館では、当時の様子や日本と朝鮮半島の長い交流の歴史を学べる展示も見られます。
佐賀県立名護屋城博物館
- 住所:佐賀県唐津市鎮西町名護屋1931-3
- TEL:0955-82-4905
- ウェブサイト:佐賀県立名護屋城博物館
唐津市内も見どころは多彩
呼子町だけでなく、唐津藩の城下町として栄えてきた唐津市内も見どころは多彩。丘の上から町を見下ろす唐津城は、西側の城内地区に石垣や土堀などの城下町の風情を残し、散策コースとしても人気で、周囲には唐津出身で日本を代表する建築家・辰野金吾の弟子である田中実が設計した旧唐津銀行などもあります。また、毎年秋(11月2日~11月4日)には、ユネスコ無形文化遺産にもなっている「唐津くんち(唐津神社の秋季例大祭)」が行われ、提灯の灯りに照らされた14台の曳山(ひきやま)が城下町を練り歩きます。
唐津市内には大型のリゾートホテルもあるため、ホテル滞在型の旅行を楽しみたい方なら、それらを拠点に呼子を観光するのもおすすめ。九州の歴史や自然の魅力がアクセスしやすいエリアに集まっている唐津・呼子へ、ぜひお出かけになってみてはいかがでしょう。
- 記載の内容は2023年6月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。
協力:つり人社