晩秋から始まるアオリイカのシーズン
近年、本州では「餌木」と呼ばれる、エビや小魚を模した和製ルアーによるイカ釣りの人気が高まっている。なかでも人気のターゲットとなっているのは、南方系のアオリイカで、サイズが大きいことのほかに、食べると非常に美味しい。ただ、高い人気にともなって、1kgを超えるような良型に出会うことは日本各地のフィールドで簡単ではなくなってきている。ところが、10年くらい前からやはり爆発的な人気となっている沖縄では、まだまだ大型のアオリイカを高い可能性でねらうことができ、餌木の釣り、通称「エギング」のファンにとっては、非常に注目度の高いフィールドとなっているのだ。
本州では小型の数釣りなら秋、大型ねらいなら春がベストシーズンとされているが、沖縄では11月~2月の秋から冬にかけてがベストシーズン。また、最近注目の船からのディープエギング(深場をねらい、ティップランエギングなどとも呼ばれる)は、さらに遅い3月~6月がベストシーズンになる。
3種のアオリイカと陸からの釣り
アオリイカとひとくちにいっても、沖縄では以前からシルイチャー、アカイチャー、クアイチャーと3種に分けて区別している。クアイチャーは100g程度までの小型の個体なので、エギングでねらうアオリイカは主に最もポピュラーなシルイチャーと、アカイチャーの2種類だ。イチャーとは沖縄の方言でイカのことで、体色からシルイチャー(白イカ)アカイチャー(赤イカ)と区別しているが、死んでしまうとどちらも白くなってしまうので区別するのは難しい。3種の中でも特に大きくなるのがアカイチャーで、平均2~3kg、時には5kgオーバーの大型が釣れることもある。
手軽に試せるのは陸地からのエギング。沖縄は遠浅な海岸が多く、本土の釣り人にはこんな浅場で釣れるのかと驚かれるようなポイントが多い。漁港周辺は比較的水深があるのだが、リーフ内のポイントをねらう場合は水深1~3mと浅いので、シャロータイプと呼ばれる浅場用の餌木を準備するとよい。沖縄本島のエギングポイントは、まずは地理が把握しやすい漁港周辺がおすすめ。都屋漁港(読谷村)、古宇利漁港(本島北部の今帰仁村から橋で渡れる古宇利島)などの漁港、あるいはうるま市の海中道路にある人工岩や南部の奥武島などをまずはおすすめしたい。
ボートエギングにもチャレンジ
陸からの釣りも楽しいが、アングラーの増加に伴い、陸からのエギングは沖縄でも年々釣りのプレッシャーが高まっている。そこでおすすめなのが、ボートからのエギングだ。こちらであれば、ほぼ確実にアオリイカに巡り会える。沖縄でできるボートエギングには、10mくらいまでの浅場をキャストしてシルイチャーをねらうやり方と、餌木にシンカー(オモリ)を付けて30mより深いポイントでアカイチャーをねらう釣り方がある。1回の出船で両方の釣り方でねらうこともあるが、1月~2月はキャスティングでシルイチャーねらい、3月~6月は深場でアカイチャーねらいにした方が安定して釣れる。県内にはおすすめのガイドボートがいくつかあるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
さらに多彩なボートからの釣り
アオリイカのほかには、沖縄で「ヨナバルマジク」と呼ぶ、タイワンダイの釣りも面白い。沖縄にもタイと名の付く魚は多いのだが、正真正銘のタイ科の魚は、レンコダイ、クロダイ、そしてこのタイワンダイのわずかに3種。なかでも姿が美しく、その華麗さに似合わない強い引きで釣り人を魅了するのがタイワンダイだ。年中釣れるのだが、秋から冬場にかけては深場(50~90m)にいたものが浅場(30~40m)に移動してくるので釣りやすくなる。釣り場は沖縄本島の中城湾や金武湾などが有名。ほかに大浦湾、嘉手納沖、大宜見沖などでも釣れる。仕掛けはタイワンダイだけがねらいならマダイ釣りとほぼ同じものが流用できるが、タイワンダイ以外にも5kgオーバーのヒラアジ、フエフキダイやハタの仲間などいろいろ釣れるので、これらの魚もねらうならヒラマサ釣り用のタックルや仕掛けを使用するとよい。さらに、沖縄の秋冬の夜の沖釣りで注目の大型のタチウオ(オキナワオオタチ)もシーズン。夜釣りになるが、案内してくれる船宿がいくつかあり、大きさはなんと平均140~160cm、時には180cm以上。一度体験したら、沖縄ならではのビッグターゲットにきっと驚くはずだ。
この釣り場へのアクセス
那覇空港から各漁港まではレンタカーを利用。
釣り場情報
〈沖縄本島〉
シーズン | おすすめは11~2月 |
問合先 | 海風(アオリイカ/船宿/ティプラン釣法に近いスタイルで比較的浅場をねらう釣り方/うるま市。http://umikaze88.net/)、 |
- 釣り場情報は2015年1月現在のものです。