初夏に人気のサクラマス釣り
閉伊川は三陸に直接注ぐ沿岸水系の中では最も流程の長い河川だ。流程は約80km、岩手県盛岡市と旧川井村の境界に近い岩神山(1103m)より流れ出て、多くの支流を集めながら旧川井村、旧新里村を走り抜け、宮古市から海に注ぐ。
サクラマスの釣り場となるのは主に下流部。川に沿って国道が走っており、入川場所やサオをだすポイントは捜しやすい
この川でまず人気があるのがサクラマス釣りだ。サクラマスはヤマメが海に降って大型化してから川に戻ってくるもので、ダムや堰などの人の手による構造物で川が寸断されているところが多い日本では、現在では希少な魚となっているが、閉伊川では今も釣れるチャンスがある。さらに、サクラマスの釣り場といえば、海が近いことからあまり景色に変化のない開けた区間が多くなるが、閉伊川は開けてはいるものの、山の中で釣りをしているような感覚に浸れる場所が多い。
釣り場は宮古の市街地からも近いエリアになるが、川に沿って国道が走っているのでアクセスしやすく、それでいて水質、河川環境はすこぶる良好である。雨が降ると濁ることもあるが、周囲に田んぼが少ないので、サクラマスの釣り場としては、田植えなどの人為的な影響も極めて小さくなっているのもこの川の特徴だ。
サクラマスの釣りの季節は5月以降が目安で、その頃に釣れる魚はいわゆるフレッシュラン(海から遡上したての魚)であるため、スピード、ファイト、どちらも楽しむことができ、また白銀色で輝くような美しい魚体をしている。ちなみに、ひとたびヒットさせたら、流れの強さもあって瀬の中を100m以上も走られることもある。
また、サクラマスは腹帯地区にあるダムの放水口より上流まで遡上しているそうだが、地元の釣り人たちはここよりも上流はねらわない。いわばローカルルールだが、外から訪れる釣り人も同じように、ここよりも下流でサオをだしてほしい。
ヤマメやイワナの釣り場も豊富
上流は深い森に囲まれた渓流の趣になる。こちらではヤマメやイワナをねらう渓流釣りが人気だ。薬師川、御山川、達曽部沢などの支流も多く、それぞれ好釣り場となっている。本流が雨で増水した時の逃げ場捜しに困らないのもうれしい。
本流のヤマメは本流の中流域となる箱石周辺を中心に幅のある美しい魚がねらえる。箱石大橋上下は5月中旬がベストシーズン。エサ釣り、ルアーフィッシング、フライフィッシングといずれの釣り方もできるが、エサ釣りの場合、本流とはいえサオは7~8mクラスで充分に大ものがねらえる。5月の声を聞く頃になると平均22~23㎝前後、盛期は25~30㎝の幅広ヤマメが釣れる。さらに季節が進み7月になってアユ釣りが解禁になると、川幅30m以上の広がりを持つ下流部も釣り場になる。また、各支流の下流部もヤマメの数が多いので、小ぢんまりとした流れが好きな人は、そうした場所をねらうとよいだろう。
本流の上流部は全体にイワナの魚影が濃い。河畔林が川岸まで迫っているような場所の深みをねらうと型のよいイワナが飛び出す。ただし、閉伊川の水量は多く流れの押しは見た目以上に強いので、怪我には気を付けて楽しんでもらいたい。
森の中で楽しむアユ釣り
そして閉伊川は、夏のアユ釣りも人気がある。釣り方はアユの友釣り。コツは豊かな森を縫って流れる閉伊川の特徴ともいえるが、目印を高めにして、オモリや背バリを使用し、オトリアユをしっかり底の流れに馴染ませること。変化に富んだ川相であることから、足を使って広範囲を釣り歩けば入れ掛かりも珍しくない。アユ釣りのポイントは長く、下流から上流の川内地区までの広範囲で、支流の小国川や刈屋川も釣り場だ。オトリアユの販売所は複数あり、漁協のHPで確認できる。
この釣り場へのアクセス
秋田空港または仙台空港からレンタカーで宮古方面へ
釣り場情報
〈閉伊川/サクラマス、ヤマメ、イワナ〉
解禁期間 | 3/1~6/30(サクラマス)、3/1~9/30(ヤマメ、イワナ) |
遊漁料 | 1日1000円 |
管轄漁協 | 閉伊川漁協(http://www.heigawa.jp/) |
〈閉伊川/アユ〉
解禁期間 | 7/1~11/30(アユ) |
遊漁料 | 1日1500円 |
管轄漁協 | 閉伊川漁協(http://www.heigawa.jp/) |
- 釣り場情報は2020年4月現在のものです。