落差の少ない浅場に大ものが潜む
岩手県の南部、北上市の西側にある小倉山を水源とし、北上川水系の一大支流である和賀川に注ぐ流程23㎞ほどの北本内川。
県内でも有数の豪雪地帯にあるため、例年6月になっても残雪が見られるが、一方で和賀川合流付近を起点とする林道沿いには民家が全くなく、一帯にはブナの原生林も見られ、自然が多く残った川は岩手県の川の中でも屈指の美しさで知られる。釣り場は瀬あり淵ありで変化に富み、それでいて高低差はそれほどないため、川に入ることができればどこまでも釣り上がりたくなる。
ただ、川へのアプローチに使う林道は、冬の積雪もあって毎年崩落による車両通行止が起きやすい。年によっては釣り場までかなり距離があるので、出かける際は漁協等に最新の状況を確認のうえ、無理をしない範囲で釣りを楽しむようにしたい。
上流まで釣れるヤマメ。良型のイワナも豊富
前述のとおり川は全体的になだらかで、深い淵もあるのだが、それ以外の浅場が非常に多い。その浅場のちょっとした変化にヤマメやイワナが付く。浅い流れはそれだけ釣り人の存在が気づかれやすいが、魚との距離をうまく取り、見過ごしてしまいそうなわずかな深みを丹念にねらっていけるようになると、「これほど魚がいるのか」と驚くような経験ができるのが面白いところだ。
この川で人気なのはなんといってもヤマメ。平坦な場所が多い北本内川は、平地流を好むヤマメが広範囲に棲息する。夏の終わりから秋にかけては、多くのアングラーにとって憧れである尺ヤマメ(30㎝)、あるいは尺上ヤマメに出会えるチャンスもある。
ヤマメ釣りの基本は流心ねらい。ヤマメは川の中で流れが一番強い(=その場所で水の流れが最も多いところ)に付く性質があるが、この川ではくるぶしほどの水深の場所でも尺ヤマメのような大型が居着く可能性があるので、他の河川を釣る時以上に、一見するとチャラ瀬のような全体に浅い(ただし一部には他よりも掘れた深いところもある)場所でそうした流心を見逃さないようにすることが大切だ。夏場は特にこの傾向が強い。季節が進み、産卵のために上流を目指して活発に移動するようになる秋の入口になると、ある程度深さのある大きめの淵に入りやすくなる。
また、北本内川はイワナも多く生息している。平坦でまっすぐな流れを好むヤマメに対し、イワナはシーズンを通じて、どちらかというと水深のある場所、具体的には淵にある反転流(岸に沿って流れが巻き返している部分。流心からは外れたところ)などの、流れが緩やかになっている部分にじっと定位していることが多い。そのため、釣る時もヤマメとは違うそうした流れを意識的にねらっていくと釣果が得られやすい。
この釣り場へのアクセス
秋田空港、仙台空港などからレンタカーで北上市・西和賀町方面へ
釣り場情報
〈北本内川/ヤマメ、イワナ〉
解禁期間 | 3/1~9/30 |
遊漁料 | 1日1000円 |
管轄漁協 | 和賀川淡水漁協(http://www2.pref.iwate.jp/~hp0315/ryuiki/jirei/009.html) |
- 釣り場情報は2020年7月現在のものです。