日本古来の狩猟文化が息づく土地
秋田県の北の玄関口である大舘能代空港から車で約1時間。北秋田市の山間部に位置する阿仁地区は、かつて山を渡り歩きながら、ツキノワグマやカモシカを獲っていたマタギと呼ばれる人々が住んだ里です。いくつかの集落があり、根子(ねっこ)、比立内(ひたちない)、打当(うっとう)など地名も独特。その1つである打当温泉マタギの湯に併設された資料館では、単に獲物を得るだけではなく、山を敬う独自のしきたりの中で育まれてきた日本古来の狩猟文化を知ることができます。
打当温泉マタギの湯
- 住所:秋田県北秋田市阿仁打当字仙北渡道上ミ 67
- TEL:0186-84-2612
- ウェブサイト:打当温泉マタギの湯
マタギの湯は土地の素材を生かした野趣あふれる料理や、身体がよく温まるといわれる温泉も評判。それらは冬に訪れても魅力的ですが、短い夏に一気に緑の濃さを増す、北東北の山々に囲まれながら味わっても非常に心地よいものです。
夏の川魚を代表する鮎
豊かな山がある土地は川も潤います。北秋田市を南北に貫流する阿仁川は、秋田県内でも屈指の大河である米代川の支流。その米代川を通じて日本海ともつながっています。夏の名物は鮎。春に海から遡上してきた天然鮎は、夏の間に川の苔を食べて急速に育ち、釣って楽しく、食べて美味しいサイズになります。その鮎を釣る代表的な技法が「鮎の友釣り」です。生きたオトリ鮎に鈎を付けて川に放ち、川にいる鮎(野鮎)にナワバリに侵入してきたライバルと思わせて体当たりさせ釣り上げます。
野鮎の体当たりは時に目が覚めるほどスピーディ。一度体験すると忘れられない爽快感がありますが、阿仁川ではそのような鮎の友釣りに気軽に挑戦できます。それが地元の阿仁川漁協が実施している「アユ釣り体験教室」です。釣り竿などの道具も不要で、川に入るためのウエーダーやタイツも無料で貸し出し。さらに鮎釣りの経験が豊富な先生がサポートに付いてくれます。費用は川で鮎を釣るのに必要な遊漁券(1,500円)とオトリ鮎2尾(1,200円)の合計2,700円(すべて税込み)のみ。例年7月10日から8月いっぱい、申し込みがあれば随時開催してくれます。
阿仁川漁協(アユ釣り体験教室)
- 住所:秋田県北秋田市米内沢字柳原
- TEL:0186-72-4540
- ウェブサイト:阿仁川漁協(アユ釣り体験教室)
ローカル列車でのんびり鉄道散歩
ほかにも鉄道好きなら阿仁川に沿って走るローカル列車「秋田内陸縦貫鉄道(愛称スマイルレール)」を〝乗り鉄〟するのもおすすめ。車窓からは沿線に広がる自然をたっぷり眺められ、1日乗り放題のお得なワンデーパスもあり、途中下車しながら散策やカフェ巡りをすることもできます。各駅にある無料の駐車スペースを使えば、レンタカー&秋田内陸線の旅を楽しむことも可能。どこか懐かしい、ゆったりとした時間を過ごせます。
秋田内陸縦貫鉄道
- 住所:秋田県北秋田市阿仁銀山字下新町41-1
- TEL:0186-82-3231
- ウェブサイト:秋田内陸縦貫鉄道
ゴンドラに乗って絶景を堪能
秋田内陸線の阿仁合駅が最寄りで、人気の観光スポットになっているのが阿仁ゴンドラ。森吉山(もりよしざん/標高1,454m)のふもとにある阿仁スキー場から、山頂付近の「阿仁ゴンドラ山頂駅(標高1,167m)」まで延びているゴンドラで、乗車するだけでも開けた眺望を楽しむことができます。
北秋田市営森吉山 阿仁スキー場(阿仁ゴンドラ)
- 住所:秋田県北秋田市阿仁鍵ノ滝79-5
- TEL:0186-82-3311
- ウェブサイト:北秋田市営森吉山 阿仁スキー場(阿仁ゴンドラ)
さらに森吉山の山頂までは、ブナ帯コース、こめつがコース、ヒバクラコースなど複数の登山ルートがあり、体力や好みに応じてアプローチすることが可能。森吉山は夏になると約300種類の高山植物が咲き誇り、隣接する山のない独立峰なので、山頂からは鳥海山、田沢湖、岩手山、白神山地、男鹿半島、日本海など、東北の名だたる名所がパノラマで見られます。
何を見つけられるかは自分しだい。雄大さの中にも、どこか親しみやすさや優しさを感じさせる北秋田の自然や文化に、この夏、会いに出かけてみてはいかがでしょう。
協力:つり人社
- 記載の内容は2023年3月現在の情報です。変更となる場合があるのでご注意ください。