ヤマメもイワナもいる
日本海に面し背後に中国山地を控える山陰地方は、渓流釣りファンの間でも、そのフィールドの豊かさが意外に知られていないエリアの1つです。特に鳥取県は棲息する渓流魚(マス類)のバリエーションも豊富で、サクラマス、ヤマメ、ニッコウイワナ、ゴギなどの魚がいます。これらは大きく分ければ、ヤマメとイワナということになりますが、全国的に見ても魚影は豊かといえます。
釣り場は主に鳥取県の三大河川といえる、千代川(せんだいがわ)、天神川、日野川の本流や支流になりますが、ヤマメは主に開けた平野部でねらうことができ、山間に入った渓流や源流部ではイワナをねらうことができます。ゴギというのはイワナの中でもこの地方に固有の亜種とされるもので、魚を上から見た時に頭部までくっきりとした虫食い模様が見られるのが特徴です。
鳥取県は東西で地質や地形が大きく変わるのも特徴で、東側には扇ノ山と氷ノ山があり、西側には中国山地の中でも最も標高が高い大山(だいせん)があります。これらの山々と日本海側気候による冬期の降雪、そしてブナ、トチ、ミズナラなどの巨木群も見られる豊かな森によって、水量豊富な川とそこに泳ぐ渓流魚が保たれています。
ルアーやフライでチャレンジ
この地域の渓流魚たちは、ヤマメもイワナも、他のエリアに比べれば釣り人の数が相対的に少ないため、ルアーにも毛バリにも非常に素直に反応してくれます。一方で、ゴギはイワナの仲間の中でも警戒心が強いといわれていて、時にはテクニックを求められる場面もあります。ちなみにゴギが棲息するのは鳥取県の中でも大山付近より西側で、それ以外のエリアで釣れるイワナはニッコウイワナがメインになります。また、大山周辺のニッコウイワナは腹部のオレンジ色が非常にきれいです。
いずれにしても相手は自然に生きる魚であり、いくら素直といっても、不用意に近づけば釣りにくくなります。川を歩く時は慎重にアプローチしましょう。
釣り方はルアーフィッシング、フライフィッシング、テンカラなどがおすすめです。平均的なサイズは20㎝台ですが、渓流魚で大物の目安の1つとされる「尺(30cm)」サイズも十分にねらえます。
タックルは、ルアーフィッシングなら5~6フィート台の渓流用ルアーロッドにスピニングリールを組み合わせ、ラインはPEラインの0.6~0.8号、先端のリーダーはナイロンの6ポンド程度をセットし、50mmサイズのトラウトフィッシング用シンキングミノーを使えばどこでも楽しめます。
フライフィッシングの場合は、渓流で使用する7~8フィート台の#3または#4クラスのタックルを使い、エルクヘアカディスやパラシュートと呼ばれる一般的なドライフライ(水面に浮かべて流すタイプのフライ)を使えばヤマメもイワナも同じようにねらえます。
この地域の渓流釣りは、例年3~9月が解禁期間となっていて、解禁からしばらくの春は平野部でのヤマメねらいが面白いでしょう。初夏を迎え気温が上がってくると山間部でのイワナ釣りが楽しい季節になってきます。秋はどちらも同じように楽しめます。