人間も魚もせきつい動物
せきつい動物を大きく分類すると、5種類の仲間に分けることができます。マブナやマダイのように、常に水中で生活しヒレを使って泳ぐ「魚類」。カエルのように、子供の時は水中で生活し、親になると陸上で生活する「両生類」。ヘビやトカゲのように、乾燥した場所でも生活できる体を最初に持った「爬虫類」。ハトやスズメのように、翼を持って空を飛ぶことのできる「鳥類」。そしてイヌやウサギや人間のように、陸上で生活でき、体に毛をもった「哺乳類」です。これらのせきつい動物は、元々は共通の祖先を持ち、そこから長い時間をかけて進化・分化してきました。
一方で違いもあります。水中で生活していた魚類はえら呼吸をしています。えら呼吸は水中に溶けている酸素を取り入れているので水が必要です。水中で呼吸している金魚の様子を見ると、えら蓋を盛んに開いたり閉じたりしています。これは強制的に口から水を吸い込んでいるのです。ちなみに同じ魚類でも、サメにはえら蓋がなく、泳ぐことをやめたら口から水が入らなくなり死んでしまいます。これに対して私たちは肺という器官を持ち、水がなくても陸上で肺呼吸できるようになっています。ただ、実は魚の中にも一部には肺呼吸をする仲間がいて、彼らは口を水面から出して空気を直接吸い込んでいます。
リリースはなるべく手を触れずに
魚と人間の違いには体温もあります。動物は体を動かすために熱を必要としますが、魚類、両生類、爬虫類は、自分で体温を高くすることが苦手で、外気温に左右されます。そのため外気温が低くなると動きが悪くなり、これらの仲間を変温動物と言います。これに対して鳥類や哺乳類は自分で体温を一定に維持できるので恒温動物と呼ばれています。
変温動物である魚は、急激な温度変化に弱い生き物です。前日と比べ急に気温や水温が下がってしまった時は、活動も低下しがちになり、エサも食べにくくなるため釣れにくくなります。ただし、水温が下がっても、その状態がしばらく続けば再び活性は上がります。
いずれにしても、人間の体温と魚の体温との差は結構あります。近年は「キャッチ&リリース」といって、釣れた魚がさらに大きくなるように、再び放す行為が積極的に行なわれていますが、人の体温を36度、魚がいた水中を15度や20度と考えると、釣り人が不用意に魚を掴んだ場合、魚にとっては軽いやけど状態になっていると考えても不思議ではありません。
つまり、釣った魚をせっかくリリースするのであれば、あらかじめ手を水に付けてよく冷やしておいたり、もしくはハリを簡単に外せるリリーサーなどの器具を使って、なるべく魚に手で直接触れないようにすることが効果的と言えます。そんなことも覚えておくと役に立ちます。